Hiroshi Eguchi

Michael Pollan's BARBECUE

2016.5.9

スーパーに行ったら分厚い皮付きの豚肉が売られていて、マイケル・ポーランの「Cooked/人間は料理をする」に出てきたバーベキューを作れるじゃないかと嬉しくなった。
この本の素晴らしさは僕が今さら語ることでもないけれど、「火=バーベキュー、水=煮込み料理、空気=パン、土=発酵食品」という、4つの根源的なメニューについて、彼が自ら料理をすることを目的に、出来る限りオリジナルな食材を手に入れ、専門のシェフから学ぶ様を記した、胸躍るノンフィクションだ。
本を読んで以来、肩ロースのバーベキューを作ってみたかったのだった。

本が手元になかったのでレシピはネットで探してみたら本人が紹介しているページがあった。
肉を焼くのにこんなにたくさんの工程があるなんて、ちょっとした詩のようだ。


ポイントはやっぱり皮のカリカリ部分で、最後に皮を高温で熱することで一気にカリカリ化する。これが美味しい。

レシピ訳したので載せておきます。

--
PORK SHOULDER BARBECUE(from epicurious)

材料:
豚肉用
・大さじ2:コーシャーソルト
・大さじ2:グラニュー糖
・5- 6ポンドの豚肉肩(好ましくは「ボストンバット」を求める)+骨や皮膚
・2握り:ヒッコリーチップ(他の木材チップでもよい)
・1:使い捨てアルミ箔浅い鍋
・1:スモークボックス(注を参照)

バーベキューソース
・2カップ:リンゴ酢
・1カップ:水
・1/4カップ:パックブラウンシュガー
・2と3/4小さじ:細かい海塩
・4杯:唐辛子フレーク
・小さじ1:挽きたての黒コショウ

準備:
豚肉の準備
1.小さなボウルに、塩と砂糖を混ぜます。グリルする1〜3日前に、豚の肩の表面すべてに、惜しみなく塩・砂糖をこすりつけます。¼カップも必要としない場合があります。(参考:肉のポンド当たり小さじ2です)。
2.もし幸運にも肩肉の皮付きが手に入ったら1インチ間隔でチェックの切れ目を入れて、切れ目の内側にもよくこすりつけてください。
3.冷蔵庫で保管して、グリルの前に室温に戻してください。

バーベキュー
1.スモーク用ガスグリルを準備します。約30分間、水に木材チップを浸して脇に置きます。これは直接火にあたらないようにします。
2.グリルでは、調理火の下に格子の上に、使い捨ての皿やトレイを置きます。パンに水で約半分入れます。これは、たれをキャッチし、グリルの内側を湿った状態にします。
3.グリル内の温度は、200°Fと300°Fの間になるようにバーナーを調整します。
4.バーナーを調整し火を安定させます。木材チップをスモークボックスに配置します。グリルで肉を入れる数分前に、熱源の上に直接スモークボックスを置きます。(煙が早くたちます)。
5.ドリップパン、皮や脂肪側を上に、上記のグリルで肉を置きます。
6.グリルをカバーし、4〜6時間豚肉の肩をロースト。かかる時間は、肉の部分、グリル、および調理温度によって異なります。低い温度は良いですが、調理するのに非常に時間がかかります。300°Fを超えたり、または200°Fを下回らないことを確認するため、時々チェックしてください。
7.肉の内部の温度が195°Fくらいがベストです。豚肉の肩の温度が急速に上昇し、その後(時には数時間)150℃でとどまる場合も心配しないでください。これは「ストール」と呼ばれています。我慢して、それが195°Fに到達するのを待ちます。肉はタッチに緩和感じているかどうかを確認したり、フォークでそれを引き離すことができます。うまくいかない場合、さらに30分行います。
8.肉は深い茶色の色になります。肩の外側には、いくつかの焦げ色のついたサクサクの領域(すなわち、皮がパチパチとして)ができない場合は、数分間500°Fまで温度を上げます。 (燃焼してしまわないようにするために目を離さない)
9.グリルから肉を取り出して、少なくとも20から30分間休ませます​。

・ヴィネガー・バーベキューソース
1.中型のボウルに酢、水、砂糖、塩、唐辛子フレーク、黒胡椒を組み合わせて、砂糖と塩が溶けるまでよく混ぜます。
2.フォークで豚肉の肩を引っ張ったり、包丁で切って皮をはがします。小さく刻んで皮のパチパチ、サクサクしたものを酢のバーベキューソースを混ぜます。
3.十分な酸(酢)と塩があるのを確認して、調味料を調整します。テーブルの上に投手にソースの残りの部分を入れてください。ソフトロールを添えます。
4.付け合せにはコー​​ルスローと豆と米がよく合うでしょう。

・注意:あなたはスモーク・ボックスを持っていない場合、浅くて狭い箔で覆われたアルミニウム皿の上に穴を穿孔することにより、代用することができます。
・バリエーション:いくつかの小さな変更で、同じ豚肩がアジアンテイストにすることができます。同じのように肩肉を調理して、酢のバーベキューソースを省略します。代わりに、ダシベースのジンジャー・アンド・ねぎディップソースを使います。味がまろやかになるよう使用する数時間前にソースを作ります。

  • 2016.6.20
    Methanol limit

    Methanol limit

    2016.6.20

    今回輸入した12種のうち、8種のブランデーについて、厚生省からメタノール含有量の検査をするように指示された。

    その前に、なぜ、ブランデーにメタノールが含まれているのかというと、原料となる果実類にペクチンが含まれるかららしい。
    ジャムのとろみをつけるあのペクチン。
    特に果皮にはペクチンが多く含まれていて、発酵過程でペクチンのメトキシ基が酵素と作用してごく微量のメタノールになる。それを蒸留するので、アルコール(エタノール)濃度とともにメタノールの濃度が上がる。
    だから、果物をつかったワインなどにもメタノールは含まれる。ただその量が多くないので問題にはならない。

    メタノールの日本の食品衛生法の規制値は、1mg/cm3(1000ppm=0.1%)。ちなみにイタリアのメタノール基準は4400ppm、カナダは8000ppm。

    さて、検査結果だが、結論から言うと8種のうち4種で基準値を超えてしまった。
    隠すことでもないので正直に書くと、規制値1mg/cm3に対して、
    No.376: Benjamin Cherry from Hesselbach Valleyが、1.5mg/cm3
    No.370: Vinschgauer Williams-Christ Pearが、3.2mg/cm3
    No.129: Old Apricot from the Sherry Cask - with Dried Apricotsが、3.9mg/cm3
    No.125: Old Plum from the Sherry Cask with dried Plumsが、4.4mg/cm3
    といった具合だ。

    ではこの4種は日本では流通出来ないかというと、実はそうではない。
    「製菓用原料に限る」ことで輸入できる。つまり、飲料ではなくお菓子を作るときの材料に使うという用途であれば、お目こぼしが受けられる。

    日本で流通しているグラッパの日本語のラベルに「用途:製菓用原料に限る」と書いてあるのはそういうわけで、
    グラッパをお菓子に使うなんて贅沢な人がいるもんだなあって思ってたけど、そういうことではない、というかそういうことであるというか...。

    しかし、お店で「用途:製菓用原料に限る」って書いてあったら、普通の人はなかなか買わないよなあ。
    「製菓用原料に限る」とは書いてありますが、飲んでも健康上の問題はないんですが、メタノールが基準値を若干超えていて、その対応処置として・・」って理由を説明することもできないし、なかなか悩ましい。


    結局、厚生省宛に誓約書を書き、ラベルも修正して、ようやく輸入が認められる。
    いつになったら成田から僕の手元に届くのかわからなくなってきたがおそらく今週中には届くんじゃないかな。

    でもメタノールのことは、多くの人にとっても悩み深い問題らしくて、今回色々調べていたら、興味深い記事がいくつもあった。

    メタノールはどれだけ飲むと危険か
    イタリア産滓とりブランデー、グラッパの今日的事情 
    メタノール含量の低いフルーツブランデーの製造方法(PDF)

    確かに輸入する時だけでなく、作る時も同じ問題にあたるのだから、先に知っておくのは悪くない。
    それにこんなにもたくさんの同士がいることがわかったのも収穫。レッツポジティブ。

June

  • 2016.6.18
    GRAND ROYAL green

    GRAND ROYAL green

    2016.6.18

    千葉の鴨川でハーブとエディブルフラワーの農園を営む、GRAND ROYAL green、井上隆太郎さんのところに遊びに行った。
    鴨川といえば海のイメージだったけれど、長狭街道を内陸の方へ行くと、棚田のある小高い山に囲まれた緑豊かな地域が広がる。

    着いた時には井上さんは出かけていて、適当に庭でも見て待っていてください。と言われるものの、そこにあるのはただの庭。

    ところが井上さんが帰ってきて、暗くなる前に急いで、と、一通り案内してくれると、さっきまでの庭が、突然、色と香り、さらに味までがあふれた空間に変身する。
    いかにもな言い回しだと書きながら思うものの本当なのだから仕方がない。

    爽やかな甘みのあるステビアの葉、ホーリーバジルの深みのある香り、酸味のある真っ赤な花、ミントとは一味違う柔らかな香りのハッカ、塩味と歯ごたえのあるアイスプラント...。見た目と味のギャップもいちいち面白い。


    その日は泊まらせてもらって、翌日は朝からスタッフもやってきてみんなで山に入る。
    イベント用のたて込みのため、藤のつるを取りに行く。

    つるで橋のようなものを作りたいそうで、とにかく長いやつに目をつけて、みんなで、引っ張る!
    この時期出没するというヘビにビビリながらも、ダットサントラック一台分のつるを収穫。

    園芸に関わる仕事ながら、人と違う植物を扱い、人と違うプレゼンテーションをすることで、高度に差別化されている。
    ビースティ・ボーイズが好きだから、屋号はGRAND ROYAL green、香りをそのまま楽しめるお酒がないから自分でビターズを作ってみたい、など、欲求と行動が素直にリンクしているのも見ていて気持ちがいい。

    恐れいりました。

    -
    GRAND ROYAL green
    千葉県鴨川市北風原122-1
    http://www.grandroyalgreen.com/

  • 2016.6.8
    Pink shoes

    Pink shoes

    2016.6.8

    「成田に着いた荷物に子ども用の靴が入っていたんですが、これは何ですか?」
    と通関業者から連絡。

    忘れ物を一緒に送ってくれるのはありがたいけれど、これもまた申告しないといけない。

    メタノールの検査も出したし、背面に貼るラベルも作った。
    色々ありますがもうちょっとです。

May

  • 2016.5.20
    Don't Stack

    Don't Stack

    2016.5.20

    そろそろ日本に帰るのにも関わらず、一つ困っていることがあって、それは未だに日本で注文もらった分を出荷できていないこと。

    言い訳のようで書くのも恐縮だけど、これには色々な理由があって、まずはお酒の輸出入の大変さがある。
    例えば、アブサンのニガヨモギに含まれているツジョン(thujone)という成分。
    このツジョンの含有量が10ppm(10mg/kg)以内じゃないと日本には輸入できない(ちなみにEU内の基準は35mg/kg、アメリカは10mg/kg)。しかし、ツジョンの含有量を検査できる機関は日本には存在しない。だからうっかり日本に送ると、そのまま送り返すか破棄するしかなくなってしまう。
    まるで禅問答のようだけど、これには一応解決策があって、現地の公的機関に事前に検査に出して、検査証をもらってからそれを厚生省に提出して、許可をもらうことになる。

    また、ブランデーのアルコールは果実の発酵によって生じるのだけど、その際に有毒のメタノールが微量だけど発生することがあるらしく、メタノール成分調査を輸入の度に行わなければならないとか。
    もちろん口に入るものなので、万全を期すことは大事だけど、今まで本の輸入くらいしかしたことのなかった僕にとっては、ここまでやるか、ってことの連続でそれだけでくじけそうになってしまう。

    さらに問題をややこしくしているのが、スティーレミューレでこれまでドイツ国外に輸出をしたことがないこと。
    輸出に関わる書類を作るのがまた面倒臭いらしい。らしいというのはこの部分はドイツ語マタ−で僕には出来ないので、クリストフにやってもらうのだけどかなかなかやってくれない。
    機嫌が良さそうな時を狙って、「そういえばエクスポートなんだけど・・」と催促したりするのだけど、、やったこともないこともあってどうしても先送りになってしまう。

    ようやく、ツジョンの含有量の結果が出て(ちなみにアルファ、ベータ、トータルで4.7mg/kgでした)、さあ出荷しようとしたら、
    輸出に必要なEORI numberというのが失効していることがわかって、再度取ってもらったり、などいろいろあって...
    ようやく出荷ができそうです。

    今日は全部を箱詰めして、パレットに載せて、ラップを巻く作業。グラスもあるので大きく「Don't Stack/上積禁止」を書いて、こっちでやれることは一応終了。あとはフォワーダーが取りに来てくれるのを待つばかり。220キロ。

    結局、自分で出して自分で受け取ることに。
    通関で更にまだ何かありそうな気がしますが、、もう少々だけお待ち下さい。



  • 2016.5.16
    Distillery Visit: Michelehof

    Distillery Visit: Michelehof

    2016.5.16

    中山さんと山野さん(以下W英之)が来てくれたので、ちょっと休みをもらって、オーストリア、スイスへ、蒸留所&建築を見るための小旅行に出かけた。

    最初に訪れたのはオーストリア、ブレゲンツ郊外のHardという町にあるMichelehofという蒸留所。

    前回は伺う旨連絡をしておいたものの返事がもらえず、小学生高学年くらいのかわいらしい娘に案内してもらった。それはそれで楽しかったのだけど、肝心なことはわからずじまい。
    今回は事前にやり取りをしていたこともあって、主人のアルバートさんが大きな体、大きな声で案内してくれた。

    2007年、3代目の彼の代に古い農家家屋をPhilip Lutzという地元の建築家によって、フルリノベーションしている。自分の森で採れた木を使って2年かけて建てたという。

    間口は15m程度と狭いが、奥行きがとにかくある。外から見えているショップと蒸留所の部分から、奥に進むと加工所・作業所、そしてトラクター等の大型機材を置くスペースと、100m以上あるだろう。

    建物の手前部分は2階建てになっていて、上にはセラーと素敵なテイスティグルームもある。

    それを家族で、というよりほぼアルバートさん一人でまかなっている。果樹園が10数ヘクタールあって、その果樹の世話もやって、さらに乳牛も飼っているのだから、いったいどうやっているのか見当もつかない。

    しかし、一人でやるための工夫が随所に見られる。
    まず、作っている種類はそこまで多くない。ブランデーが25種程度と、地元のビール会社とコラボレーション(おそらくは麦汁を供給してもらって)して、ウィスキーを作っている。

    原料の果物は、原料の加工と発酵タンクのある部屋に運び込まれると、マッシュされ、そのまま3トンのタンクに入るようになっている。
    タンクは2つ。このタンクで発酵が終わったものは直接ポンプで蒸留機につながっている。


    蒸留の終わったものは、フルーツブランデーはステンレスのスクエアなタンクに、ウィスキーは木の樽に入れられて、フォークリフトで二階のセラーに運ばれる。

    ここでウィスキーは数年熟成、ブランデーは随時必要なときに下のボトリング部屋に下げて希薄、フィルトレーションをした後にボトリングをする。という具合だ。
    ボトリングのタイミングは、下のショップの棚に並んだ在庫量で調整する。

    ちなみに蒸留が終わった後、ポットに残る老廃物は外のタンクに貯めて、定期的にバイオガス業者に持ち込んで買い取ってもらっているそうだ。

    と、そんな具合で、一連の流れに本当に無駄がない。

    実現するために原料を一時保管しておくための大型の冷凍庫があったり、二台の蒸留機の連携プレイなどの話も、いちいち参考になる。

    ちなみに僕がStählemühleから来たことにも興味を持ってくれていて、やり方との違いを聞かれたりする。

    一言で言えば、効率は度外視、非効率でもとにかく手をかけたやり方を良しとするStählemühle、
    求めるクオリティはすでに確立されていて、それを実現するためにどれだけ効率的に作業が出来るかを突き詰めたのがMichelehof。

    どちらも僕にとっては必要なアプローチで、二人のちょうど真ん中くらいに自分のいる場所があるんじゃないかと思う。それくらい参考になった見学でした。



    Michelehof
    Marktstraße 26 6971 Hard
    Austria
    T +43 5574 72412
    michelehof@aon.at

  • 2016.5.13
    Tales of tails

    Tales of tails

    2016.5.13

    以前も書いたけれど、蒸留によって生じる液体は、最初の部分(ヘッド)、真ん中の部分(ボディ)、最後の部分(テイル)に分けられる。
    お酒になるのはそのうちのボディの部分だけだが、ヘッドとテイルの部分は捨ててしまうわけではなく、別に取って置く。


    テイルの量は蒸留の状況によって異なるので様々だけど大体数リットルから十リットルくらい、アルコール度数は20~30度くらいある。だから何回分か集まると一回分蒸留機を動かせる量になる。
    テイルとはいえ、一度蒸留を経ているので純度が高く、また例えば複数のベリーをまとめて蒸留すれば、ベリーのキュベということになり、予想もしなかったようなものが出来たりするらしい。


    この時期は一年間に取っておいたテイルを集めて再度蒸留をする期間。
    ほぼ一週間、蒸留だけをやらせてもらえるなかなかない機会だ。
    こうして、収穫とも醸造とも切り離した状態で、集中して蒸留だけやらせてもらえると、さすがの僕も理解が進む。


    ちなみに、テイルだけを集めて蒸留をしても、やっぱりテイルは出る。
    つまりTail of tail。残りの残り。
    さすがにもうお役御免かと思ったら、これを集めてさらに蒸留し純度の高いアルコールを作って、10種以上のハーブを漬け込み、飲用ではなく、肌につける製品を作るという。
    この地域で昔から伝わるレシピで作られる、日焼けや虫さされに効くという、まあ万能薬。

    恐るべし蒸留の錬金術師。

  • 2016.5.12
    15th Nieves

    15th Nieves

    2016.5.12

    空港にヒロコを送りに行った帰り、チューリヒに寄り道して、Nievesの新しい店に行ってみた。

    壁面にはVitsoeの棚にNievesの出版物が整然と並ぶ。フロアには620 chairと621 tableが置かれたクリーンで大人っぽい空間だ。

    Nievesの本は僕にとってはいつでも特別なものだ。彼の趣味嗜好と、ネットワークと、デザイン力と、人柄と、まだ他にもたくさんあるだろうけれど、つまりは彼一人の力で本を作って、世界中に販売している。
    無理のない循環を本を通じて行っている彼に影響を受けて、本を作り始めたり、彼のような人ともっと出会いたくてブックフェアをやってみたりした。まあつまりはファンであり大切な友だちでもあるのです。

    以前(と言ってももう10年前くらい)に訪れたときは、まだチューリヒのギャラリーやショップの入る雑居ビルの一角を、事務所兼予約制のショップにしていたから、独立したショップになってずいぶんな出世だと思ったものの、
    設立15周年になるという今も、やっぱりデスク一つに一人で座って、淡々と接客をしながら作業もするというスタイルは変わらない。本当に素晴らしいなあと思う。

    夜は自宅で晩ごはんをごちそうになり、翌日は蚤の市に彼と同じヘアスタイルの息子と一緒に出かけた。子どもよりも前のめりにCreative Playthingsの動物シリーズを漁る姿にうれしくなった。

    そういえば、彼の絵本「Ghost Knigi」は、自身で英語版を出した後、2014年にドイツ版がDiogenesから出て、今ではフランス、イラン、中国、台湾、韓国で出版され、ちょっとしたグローバル展開が進んでいるみたいです。
    日本語版も出したいそうで、もし興味のある出版社の方がいたらご一報ください。


    Nieves
    Köchlistrasse 5 8004 Zurich
    Switzerland
    Open on Appointment
    +41 (0)44 586 87 89
    post@nieves.ch

  • 2016.5.10
    Hiroko and Hiroshi

    Hiroko and Hiroshi

    2016.5.10

    ヒロコが遊びに来てくれた。
    ヒロシとヒロコで。ってみんなに一通り挨拶したら、すぐに覚えてもらえる便利な名前だ。

    彼女が以前メルボルンに住んでいた時に、家族で遊びに行って一緒にニュージーランドをドライブして回ったこともある。子どもたちにもすっかり親戚のような存在だ。

    毎日特に特別なことをするわけでもなく、動物の世話をしたり湖の周りを歩いたりして、夜はここで作っている色々なお酒を飲んでもらう。
    親しい人が来てくれた時に、どうしてもどこか連れて行きたくなってしまうのだけど、向こうはここに遊びに来てくれたのだから、この場所でできることを。

    動物たちの爪切りでも小屋の柵を押さえてもらったりと、仕事も少し手伝ってもらった。
    楽しんでくれたかな。

  • 2016.5.9
    Michael Pollan's BARBECUE

    Michael Pollan's BARBECUE

    2016.5.9

    スーパーに行ったら分厚い皮付きの豚肉が売られていて、マイケル・ポーランの「Cooked/人間は料理をする」に出てきたバーベキューを作れるじゃないかと嬉しくなった。
    この本の素晴らしさは僕が今さら語ることでもないけれど、「火=バーベキュー、水=煮込み料理、空気=パン、土=発酵食品」という、4つの根源的なメニューについて、彼が自ら料理をすることを目的に、出来る限りオリジナルな食材を手に入れ、専門のシェフから学ぶ様を記した、胸躍るノンフィクションだ。
    本を読んで以来、肩ロースのバーベキューを作ってみたかったのだった。

    本が手元になかったのでレシピはネットで探してみたら本人が紹介しているページがあった。
    肉を焼くのにこんなにたくさんの工程があるなんて、ちょっとした詩のようだ。


    ポイントはやっぱり皮のカリカリ部分で、最後に皮を高温で熱することで一気にカリカリ化する。これが美味しい。

    レシピ訳したので載せておきます。

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    PORK SHOULDER BARBECUE(from epicurious)

    材料:
    豚肉用
    ・大さじ2:コーシャーソルト
    ・大さじ2:グラニュー糖
    ・5- 6ポンドの豚肉肩(好ましくは「ボストンバット」を求める)+骨や皮膚
    ・2握り:ヒッコリーチップ(他の木材チップでもよい)
    ・1:使い捨てアルミ箔浅い鍋
    ・1:スモークボックス(注を参照)

    バーベキューソース
    ・2カップ:リンゴ酢
    ・1カップ:水
    ・1/4カップ:パックブラウンシュガー
    ・2と3/4小さじ:細かい海塩
    ・4杯:唐辛子フレーク
    ・小さじ1:挽きたての黒コショウ

    準備:
    豚肉の準備
    1.小さなボウルに、塩と砂糖を混ぜます。グリルする1〜3日前に、豚の肩の表面すべてに、惜しみなく塩・砂糖をこすりつけます。¼カップも必要としない場合があります。(参考:肉のポンド当たり小さじ2です)。
    2.もし幸運にも肩肉の皮付きが手に入ったら1インチ間隔でチェックの切れ目を入れて、切れ目の内側にもよくこすりつけてください。
    3.冷蔵庫で保管して、グリルの前に室温に戻してください。

    バーベキュー
    1.スモーク用ガスグリルを準備します。約30分間、水に木材チップを浸して脇に置きます。これは直接火にあたらないようにします。
    2.グリルでは、調理火の下に格子の上に、使い捨ての皿やトレイを置きます。パンに水で約半分入れます。これは、たれをキャッチし、グリルの内側を湿った状態にします。
    3.グリル内の温度は、200°Fと300°Fの間になるようにバーナーを調整します。
    4.バーナーを調整し火を安定させます。木材チップをスモークボックスに配置します。グリルで肉を入れる数分前に、熱源の上に直接スモークボックスを置きます。(煙が早くたちます)。
    5.ドリップパン、皮や脂肪側を上に、上記のグリルで肉を置きます。
    6.グリルをカバーし、4〜6時間豚肉の肩をロースト。かかる時間は、肉の部分、グリル、および調理温度によって異なります。低い温度は良いですが、調理するのに非常に時間がかかります。300°Fを超えたり、または200°Fを下回らないことを確認するため、時々チェックしてください。
    7.肉の内部の温度が195°Fくらいがベストです。豚肉の肩の温度が急速に上昇し、その後(時には数時間)150℃でとどまる場合も心配しないでください。これは「ストール」と呼ばれています。我慢して、それが195°Fに到達するのを待ちます。肉はタッチに緩和感じているかどうかを確認したり、フォークでそれを引き離すことができます。うまくいかない場合、さらに30分行います。
    8.肉は深い茶色の色になります。肩の外側には、いくつかの焦げ色のついたサクサクの領域(すなわち、皮がパチパチとして)ができない場合は、数分間500°Fまで温度を上げます。 (燃焼してしまわないようにするために目を離さない)
    9.グリルから肉を取り出して、少なくとも20から30分間休ませます​。

    ・ヴィネガー・バーベキューソース
    1.中型のボウルに酢、水、砂糖、塩、唐辛子フレーク、黒胡椒を組み合わせて、砂糖と塩が溶けるまでよく混ぜます。
    2.フォークで豚肉の肩を引っ張ったり、包丁で切って皮をはがします。小さく刻んで皮のパチパチ、サクサクしたものを酢のバーベキューソースを混ぜます。
    3.十分な酸(酢)と塩があるのを確認して、調味料を調整します。テーブルの上に投手にソースの残りの部分を入れてください。ソフトロールを添えます。
    4.付け合せにはコー​​ルスローと豆と米がよく合うでしょう。

    ・注意:あなたはスモーク・ボックスを持っていない場合、浅くて狭い箔で覆われたアルミニウム皿の上に穴を穿孔することにより、代用することができます。
    ・バリエーション:いくつかの小さな変更で、同じ豚肩がアジアンテイストにすることができます。同じのように肩肉を調理して、酢のバーベキューソースを省略します。代わりに、ダシベースのジンジャー・アンド・ねぎディップソースを使います。味がまろやかになるよう使用する数時間前にソースを作ります。

  • 2016.5.9
    CK's Nail Salon

    CK's Nail Salon

    2016.5.9

    「今日は羊の爪切るから。」
    って朝言われた時は、ちょっと楽しそうだなって思ったくらいで、こんなに大変だとは知らなかった。


    まずは、羊の群れを追い込んで小屋に入れるまでが一苦労。
    「ホーイホーイ」ってよくわからない掛け声をかけながら、横一列になって追い込んでいくのだけど、
    必ずずる賢いやつがいて、一匹でも裏をかいて逃げられるとまた最初からやり直し。それを数回繰り返す。
    みんな大真面目だから、なんでホイホイ言ってるのなんて聞ける雰囲気じゃない。

    小屋に入った羊を一匹づつ引っ張り出して羽交い締めにして、コントラバス奏者のように羊をお腹を向けて座らせるのに二苦労。
    たいていはひっくり返されると観念しておとなしくなるが、諦めの悪いやつはひたすら暴れる。

    そして、蹄なのか爪なのかよくわからないほど、奇妙に伸びた物体をナイフとハサミで切るのに三苦労。

    3月に生まれたばかりの子どもたちはまだ爪も愛らしいが、長老クラスになると爪は石のように硬く、爪を切るというよりも、骨を削り取るという感じ。
    しかもうっかり深爪すると血が流れ出てくる。

    二十数匹の羊の爪を切り終えた時にはみんなぐったり。
    しかも次は十数匹のヤギが待っている。

    午後は体格の大きな二色ヤギの爪切り。もう追い込むところから難儀する。
    クリストフのネイルサロンだなんて言って笑っていたのは最初だけ。

    後ろ脚を押さえている僕も始終蹴っ飛ばされるし、クリストフがYear's worst job というだけあって、なかなかのハードコアな仕事だった。

    これが春と秋、年に2回ある。
    とにかく自分だけでも爪はこまめに切ろう、というのが一日を終えた感想です。

  • 2016.5.5
    Dandelion

    Dandelion

    2016.5.5

    blowing dandelion seeds like a snow.

  • 2016.5.2
    Out of the Jar

    Out of the Jar

    2016.5.2

    やってしまった。
    流れてしまった蒸留したてのブランデー。これがOut of the Jarか。
    損害額一万ユーロくらいだから全然大丈夫だよ。って皮肉を神妙な顔をして聞き流す。

  • 2016.5.1
    This years model

    This years model

    2016.5.1

    2016年の新作リスト(PDF)が出来上がってきた。

    去年滞在していた時に収穫や加工を手伝ったものもいくつかあって、なんとも感慨深い。

    いくつか僕の注目を紹介すると、
    一つは、Sizilianische Kaktusfeige(シチリア島のウチワサボテン)。
    実は見た目はコロコロとして可愛らしいけれど、表面には細かい棘があって、手袋をして加工したのが懐かしい
    ちなみにメキシコでは二日酔いの特効薬だと言われているそうで、それがお酒になるのも面白い。

    青くて爽やかな香り、飲んでみると上品なメスカルのようだ。微かな酸味もあってとても美味しい。

    もう一つは、Wilder Meisterwurz加工の様子
    イタリア北部、アルプス山中で採れたMeisterWurz(カワラボウフウ)を使ったガイスト。

    MeisterWurzは昔から薬用植物として使われていて、イタリアのこの辺りではチーズの香りづけにも使われているそう。
    いかにも体に良さそうな土臭い苦めの香り。飲んでみると意外とすっきりして甘みも感じる。これも好み。

    他にも、隣町のシュトッカで採れた日本のナシ(上品)、
    ブルターニュのアーティチョーク(異色)、
    シュツットガルト近郊の農園、Keltenhofで作られたバジル・ガイスト(問題作)
    などなどバラエティ揃い。

    もちろん、7月16日のOpen Day Distillery では全てテイスティングできます。

April

  • 2016.4.28
    Schnapszahl

    Schnapszahl

    2016.4.28

    朝クリスチャンに会うと、今日が誕生日だということを覚えていてくれてハグされる。
    で、いくつになったのかと聞かれて答えると、「あら、シュナップスイヤーじゃない!」と。

    ゾロ目のことをドイツではSchnapszahlというそうだ。
    元々はゲームであがりの数がゾロ目だった人が、みんなにシュナップスを一杯おごらなくちゃいけないorおごられる、みたいなルールがあって、そこからついた名前らしい。

    シュナップスの年、まさに蒸留酒の歳。33歳、頑張ります。


    クリストフからのプレゼントはもちろん(?)、シュナップスカップ。おちょこ風


    居酒屋ディナーと手作りケーキで泣ける。

  • 2016.4.28
    Open day distillery 16th July 2016

    Open day distillery 16th July 2016

    2016.4.28

    Stählemühle.jpにも掲載しましたが、"open day distillery"(蒸留所開き)の案内です。
    --
    2年に一度、ただ一日だけ開催される、スティーレミューレの"open day distillery"(蒸留所開き)。
    2016年7月16日(土)、親愛なる顧客の皆様、熱心な愛好家のために、スティーレミューレのドアを再びオープンします。

    蒸留所は普段は製造を行っており、一般公開は行っていません。
    この一日だけが、蒸留所の様子を間近に見るただひとつのチャンスです。

    特別に公開されるショップ、ハーブガーデンの芳香、果樹園の散策、そしてもちろん、Stählemühleのすべての蒸留酒のテイスティングを用意して、あなたをお待ちしています。
    さらに、招待されたゲスト出展者の数々。ワイナリー、香辛料メーカー、ハーブ調香メーカー、果物栽培者、シェフ...。 彼らが鼻孔と舌を刺激するパーフェクトな機会を提供します。

    "open day distillery"は無料ですが、登録した方のみが入場できます。

    2016年5月20日までにメールにてお申し込みいただいた方には、6月中旬頃に招待メールをお送りします。

    残念ながら、"open day distillery"は今年が最後になります。イベントには多くの労力と時間が必要なのです。
    あなたのイベントへの参加を心からお待ちしています!

    ボーデン湖からご挨拶
    Christoph Keller & Christiane Schoeller


    お申し込みはこのページから申し込むか、info@staehlemuehle.jp 宛に
    性別、名前、E-mailアドレス、住所、参加人数を記載の上お申込ください。
    登録された方には、2016年初夏に「公式」の招待状を、E-mailアドレスに発送します。
    近隣の宿泊施設のリストを用意しました。
    http://www.staehlemuehle.de/de/media/HerbergenTdOB2016.pdf
    --

    僕のスティーレミューレでの修行もここで一段落の予定です。
    日本からわざわざ来るだけの価値はあると思います。ぜひ。

  • 2016.4.25
    distillery visit: Organic Distillery

    distillery visit: Organic Distillery

    2016.4.25

    Ginn & Ginnieというジンを作っている蒸留所が、ボーデン湖の近くのフリードリヒスハーフェンにあって、Stählemühleに見学に来てくれたBar Nemanjaの北條さんがこの後に訪問するというので、同行させてもらった。
    迎えてくれたのは、クリスティン・ブルーガーさんという女性。
    元々調香師を志して香りの勉強をした後、現在はsensory scientistという肩書を持ち、アロマ&フードコンサルタントを行う会社Aroma/Reichを経営する傍ら、
    実家が果樹栽培農家で小さな蒸留所を持っていたので、その蒸留所部分を4代目として引き継いで、ジンを作っているという。長い。

    蒸留所は果樹園の片隅、小さな小屋の中にあり、240リットルのArnold Holstein社の蒸留機が置かれている他は、窓際に大きなテーブルがあって、そこにテイスティング用のグラスや、エタノールに漬けられた様々な素材が並んでいる清潔な実験室のような空間。
    (撮影禁止のため写真はありません)

    Ginn & Ginnieという名前の通り、GinnとGinnieという二種類のジンを作っていて、それぞれ成分が異なる。
    Ginnの方は、ウッディーで柑橘系の香りが強く、男性的なイメージのジン。
    Ginnieの方は、ラベンダー、ジャスミン、カルダモンなどのフローラルな香りとペッパーのスパイシーさが組み合わさった、女性的なイメージのジン。
    もちろん、僕がここまで飲み分けられたわけではなく、彼女の流暢な英語の説明で教えてもらった。
    すべてオーガニックの素材を使い、フルーツとハーブを分けてマセレートして、別々に蒸留した後にブレンドするそう。
    ジンを構成する4つのメインの香りを別々に嗅がせて、それを当てさせるだとか、
    ペッパーを加えるとアタック感が強まって、実際よりもアルコール度数を高く感じる、だとか。まるで彼女のレクチャーに来たよう。
    テイスティングも成分ごとにムエットにつけて香りを嗅いだ後に、ペロリとなめるのが彼女のやり方。

    ちなみにこのジン、200ccのボトルで55ユーロ、一般的なサイズ(ここではマグナムと呼ばれる)の500ccボトルで115ユーロする、かなり高額のジンです。

    それで、僕がどう思ったかと言うと、もちろんすごく美味しいし、香りも素晴らしいのだけど、Too much creativeな気がしてしまった。
    そんなにいじくらなくてもなあって気がしてしまった。
    彼女からは早速Facebookの友だちリクエストもくれていて書きづらくはあるんだけれども。

    以前、金井醸造所におじゃました時に、金井さんとこたつに入ってワインを飲みながら話をしていて、自然にというのではなくて、自由にって言葉が何度も出てきた。
    どういう意味かと聞くと、ぶどうが育ちたいように、発酵したいように、状況は整えつつも肝心の部分はぶどうに任せる。というような意味で、それは、なんだか子育てのようで、すごくいいなあと思った。
    まだ何もやってないくせに偉そうだけど、それくらいの主従関係で、お酒造りに関われたらいいんじゃないかと思う。

    でも、彼女は極端だとしても、現在のジンのシーンは大なり小なりToo much creativeな感じがしていて、クリストフがmonkey 47でやってきたことにも責任の一端があるんじゃないかと思うのだけど、クラフトってどうしても人や製法を過度に語ることで、ありがたく思わせるという部分がある。
    今、恐らく世界で2000を超えるジンの蒸留所があって、そこで差別化するには何かを語らないわけにはいかない。美味しいものをつくれば誰かが気づいてくれるというのは幻想でしかない。
    お酒の半分くらいはマーケティングとファンタジーでできてるんじゃないか説を唱える僕としては(あと1/4は税金)、仕方ないかなと思う部分もあるんだけけれど、どうせストーリーを語るなら、自分の技術よりも自然や素材を語るべきじゃないかと思ったりする。

    でももし、Ginn & Ginnieが香りだったらどうだろう? 良いストーリーだなと思う気がする。
    香りはよりクリエイティブで、お酒はより自然のもので、って同じ素材を使っているのに求めているものが違うのはなぜだろう。
    そうなるとお酒にファンタジーを求めているのは僕の方かもしれない。

  • 2016.4.18
    distillery visit: Boroni Giovanni

    distillery visit: Boroni Giovanni

    2016.4.18

    ミラノの帰り、ベルガモでちょっと寄り道した後、イタリア北部のペルーゴの小さな村にある蒸留所、Boroni Giovanniを訪れた。
    1852年にGentian(リンドウの根)を蒸留することからはじまったこの蒸留所は、三代目のCesareさんが継いだ今も150年前と変わらず、家族だけで、アルチザン的な手法で蒸留を行っている。
    Gentianの他、IMPERATORIA(ボウフウの一種)、Genepro(ジュニパーベリー)等から蒸留酒を作っている。

    先日、フェリチタで飲んだ一連の蒸留酒があまりに衝撃的だったため、半日かけて向かったものの、4月だというのに山間には雪が残るこんな山奥でお酒なんて作れるんだろうかと思ってしまうくらいのへんぴなところにある。

    説明してくれたのはMarisaさん。イタリア語のため、なかなかコミュニケーションをとるのに難儀するが、知りたいことはほとんど一つで、
    どうやってリンドウの根やジュニパーの実といった、糖分のほとんどないものを発酵させているのかということ。
    それについては、「企業(家族)秘密。」と一言で片付けられてしまったのだけど、よっぱど悔しそうな顔をしていたのか、写真もダメだよって言いながら、秘密の部屋を見せてくれた。


    そこにあったのは...。彼女と約束したので秘密にしておきます。

    ラベルは創業当時からのもの。


    年代物のアランビック式の蒸留機、根を刻むための断裁機、博物館にあってもおかしくないくらいの雰囲気のあるものだけど、どれも現役。
    この装置じゃないとできないだろうと思わせる強烈な味と香りがある。
    なるほどこれはこれで説得力のある世界だった。


    --
    Boroni Giovanni
    Frazione Borzago 12 - 38088 Spiazzo TN
    TEL. +39 0465 801521
    http://www.distilleriagenziana.it/

  • 2016.4.18
    Dilution

    Dilution

    2016.4.18

    Dilution(希釈)作業について、ひとことで言うなら、volからmasへということになる。
    理系の人ならもうこれで終わりでもいいのだろうけれど、残念ながら僕にはなんのことやらわからない。

    まず、蒸留を終えた液体はだいたい80%前後のアルコール度数で、これを飲みやすいように希薄化(水で薄めること)をディリューションと言う。

    その際に、元の液体に、水をどれくらい加えると何度になるかというのを正確に行う必要があり、そこで冒頭の、vol(容量)からmas(重量)という変換が必要になってくる。

    用意するのは、アルコール度数計と温度計、それに重量計。
    まず、元の液体のアルコール度数を計測する。アルコール度数計で測る。
    これが容量あたりの度数(vol)で、一般的に言われるアルコール度数。
    これを20℃の時の度数(vol)に変換し、次にこれを20℃の時の重さ(mas)に変換する。
    そのために使うのは分厚いバインダー。

    これは参照表で、アルコールの温度、度数ごとに、20℃の時のアルコールの重量(mas)が引けるようになっている。
    アルコールの重量がわかったら、いよいよ想定度数にするための水の量を計算する。

    まるっきり数字がダメな僕にトーマスが根気よく教えてくれた証がこの紙。

    これは度数96.7%のアルコール(エタノール)を40.2%にするには、どれくらいの水を加えればいいかということを示している。

    まず左上に元のアルコール度数をvolからmasに変換したもの、左下に加える水の度数を書く。水は0度(vol)なので0度(mas)のまま。
    中心に想定度数を書いて、それもmasに変換する。
    中心を通るように対角線を引いて、比率を計算する。

    比率が出たら、アルコールの量をその比率でかければ、加える水の量が計算できるというわけだ。


    アルコール度数と温度を測れて計算してくれるデジタル測量機があればバインダーは不要。だだし2000ユーロします。


    実際の作業は、同じ部屋に一晩アルコールと水を置いて、温度を揃えてから行う。

    ちなみに加える水はミネラルやカルシウムができるだけ少ない、軟水が使われる。余計な味を付けないためと、あとは冷却した時に白濁するのを防ぐという理由もあるようだ。
    加水するときはできるだけゆっくりと加えるのも注意点。

    最後に実際にアルコール度数を計測して±0.2度の範囲に収まっていればOK。

    大部分の人には何も面白くない話で恐縮ですが、将来の自分のために書いておきます。


    雪解け水の手に入る時期以外は、ブラックフォレストで採水したミネラルウォーターを使うという豪気。

  • 2016.4.17
    Milan

    Milan

    2016.4.17

  • 2016.4.16
    Brewery Visit: HOPFENGUT

    Brewery Visit: HOPFENGUT

    2016.4.16

    先日のスローフードマーケットで、ドイツにしては珍しくクラフトビールっぽい出で立ちのところが出展していて、(ドイツの、特にこのあたりではおっさんがジョッキ持ち上げているようなラベルの古っぽいビールばかりで、それっぽいビールは見たことがない。でもまあそれがいい)、
    飲ませてもらうとペールエールなんかホップの香り強めのかなり今っぽい味だ。ちょっと興味を持って話を聞いたりしたら、醸造所もボーデン湖そばで、けっこう近い。

    HOPFENGUTのサイトを見ると、ほらお洒落な感じだ。テイスティングのイベントなんかもやっているそうで、週末を利用して行ってみることにした。
    ボーデン湖をずっと南下していって、フリードリヒスハーフェンを過ぎ、リンダウのちょっと手前から北へ上がって行くと、今までのぶどう畑がりんご畑になって、いつの間にか見慣れない畑に変わる。
    これがすべてホップの畑だと気づいたのは、通りの名前がその名もHopfenstigeだとか、Hopfengutだったから。

    HOP MuseumなるものがどうやらHOPFENGUTの一部にあって、その看板を目印に目的地に到着。

    一階も二階も人でごった返していて、どうやら今日は誰かの誕生日会で貸し切りのようだ。突然楽器の演奏がはじまったりして、田舎のお祭りに紛れ込んだみたいだ。
    新しくブランディングしてみたものの、来る人はやっぱり地元の人たちって感じが好感が持てる。

    売店を見せてもらうと、リンゴのブランデーや、ホップを使ったリキュール、どう使うのかわからないけれど、ホップそのものもコーヒーのようなパッケージで売っている。

    結局誰と話をしていいかもわからず、ビール飲んで帰ってきただけなので特に教訓はないけれど、ビールって地ビールといいつつ麦もホップも地元で採れるわけではなくて、どちらか言うと何を加えるかがそのビールの個性になっているような気がする中、原料そのものが採れるというのはシンプルでわかりやすいなあと思った次第です。

  • 2016.4.15
    Bee House

    Bee House

    2016.4.15

    今日は夕方から幼稚園で父親と子どものみ参加できるイベントがあるそうだ。
    何のイベントかと祐布子に聞いても、たまたま別の母親から聞いただけでよくわからないという。

    そういえば日本の幼稚園でも父親会みたいなものがあったなと思いつつ、早めに上がらせてもらって一応参加してみると、すでにけっこうな人。
    しかも皆、手押し車や麻袋などに小枝や丸太、松ぼっくりや樹皮などを積み込んでやってきている。
    一体何がはじまるんだと思っていると、ドイツ語での説明の後、ひと家族に一つ木箱が渡され、これに持ってきたものを配置して詰め込むという作業が待っていた。
    隣に作業をしていた父親が英語を話してくれたので、やっとわかったのだけど、どうやらミツバチの巣を作るということらしい。

    小枝やワラの断面が木箱の表面に来るように並べる。
    ハチによってサイズや好みがあるので、断面の穴のサイズをうまいこと調整しつつ並べるということらしい。
    しかし、完成のイメージがないので、いったいどういうものが正解なのかがよくわからない。おそらく周りもそうで、皆困惑しつつも思い思いに手を動かしている様が見て取れる。



    ただ並べるだけなのに、こうも性格の違いが出るものか。


    手ぶらで行ったため、素材は適当に色々なところからもらってこれるものの、いかんせん工具がなくどうにも雑な仕上りになってしまった。


    終わった後、例によってビールとホットドッグが配られて、軽く談笑した後解散。

    親子のレクリエーションというには、子どもたちはすぐに飽きて遊具で遊んでいたので、ほとんどの時間が単独の作業だったけれど、久しぶりにどうでもいいものを作ってリフレッシュできた。



    蒸留所に戻ったら、庭に手本があった。

  • 2016.4.11
    Filtration

    Filtration

    2016.4.11

    まだ日が昇る前、トーマスがオレンジのバンに乗って蒸留所にやってくる。
    トーマスは自分の蒸留所もやっているので、早朝だけこちらに手伝いに来てくれているのだ。
    それに合わせて早起きして、彼に教えてもらっているのがフィルトレーション、つまりろ過だ。

    順番としては、蒸留の後、しばらくセラーで成分を安定させた後に、アルコール度数調整のための希釈(これについては後ほど)を経て、フィルトレーション、になる。

    今やっているのは、機械を使うやり方。
    タンクを2つ並べてフィルトレーションマシンを通すわけだけど、その準備が前日からある。
    暖かくなってきたこの時期は、ろ過するのにちょうどいい温度になるように(2度〜4度)、前日の夕方に冷凍庫に50リットルのタンクを入れておかなくてはならない。。
    さらにオレンジの場合、蒸留したものに多くのオイル分が含まれるので、まずは表面に浮いている分を手ですくうという作業も必要。
    やっとフィルターをセットして、ろ過する流量をできるだけゆっくりになるよう圧力を調整してスタート。

    淡く白濁したものが、マシンを通すことで、クリアな液体になってタンクに注がれる。
    また、元のタンクも随時表面にオイルが浮いてくるので、その分は別に取って、オイルを抽出する。

    ホースから何も出なくなったところでスイッチをOFF、タンクに三ツ星マークを付けて完了。次はいよいよボトリングだ。


    --
    一方アブサンやリキュールのフィルトレーションは、巨大なコーヒーフィルターのような扇型のドリッパーを使って、ハンドドリップ(?)でろ過をする。
    一見同じように見える濾紙だけど、目の粗さで種類がある。

    今回は真ん中の2を選ぶ。このあたりは元の液体の状態と、ろ過した後の姿をイメージして調整する。
    たとえば出来あがったものはある程度濁りがあってもいい(むしろいい)リキュール類は、粗めの濾紙で漉す、といった具合だ。


    Blutwurz(たちきじむしろ(立ち雉蓆))のリキュール。ドイツ語で「血の根」と言うように、根を漬けると真っ赤になる。


    アブサンのフィルトレーション。鮮やかなグリーンと共になんとも芳しい香りが立ち上る。

    ただし、このやり方で行う場合、時間がすごくかかる。
    徐々に詰まって、落ちていく量が減っていく濾紙を、タイミングを見て交換をしながら行うのだけど、その替え時が難しい。
    chiobenが昔、鶏を一晩かけて炙って鶏油を取った、なんて話をしてたななんて思い出しながら、液体が落ちる音に耳を澄ます。

  • 2016.4.8
    translation: On Making Gin

    translation: On Making Gin

    2016.4.8

    ジンの個性ってどんなボタニカル成分(ハーブ、スパイス、フルーツ等)を使っているのかで語られがちであるけれど、でもそれはジンのある一面でしかない。

    例えばジンの定義が何かと聞かれてもなかなか正確に答えづらいと思う。
    「ジュニパーの香りのする蒸留酒。」くらい広い範囲で言っておけばOKかと思うと、それすらも正確ではなかったりする。
    製法も、元となるアルコールにも、特に決まりはない。ジンの面白さや奥深さって実はその曖昧さにあるんじゃないかという気がしている。

    The Craft of Gin」という本に書かれた、On Making Ginという章がなかなかしっかりまとまっていたので、簡単に訳してみた。
    クリストフは、「この本は実際にジン作ったことのないヤツの書いたファンタジーだ。」って笑ってたけど、でもまあファンタジーもお酒の大切な要素だったりもするので。

    --
    ジンを作るもの
    ( 「The Craft of Gin」Chapter two: On Making Gin
    (Aaron J Knoll,David T Smith/White Mule Press ,2013 / )

    蒸留か注入か
    ジンの製法でまず大きく2つに分けられるのは、
    ・ボタニカル成分を含んだものを蒸留したものか
    ・ボタニカル成分を中性穀物アルコールに注入(侵漬)したものか
    というもの。どちらの製法も、高品質のジンを作る方法として知られています。

    1.蒸留したジン
    まず「蒸留したジン」。これはメジャーな蒸留所が作る一般的な方法です。タンカレーやビフィーターに代表される、多くのクラシックなロンドンジンスタイルのジンはこの方法です。
    そして、たいていのクラフトジンもこの方法を取っています。それは、洗練されたデリケートな仕上りが期待できるからです。

    「蒸留したジン」の香りづけの方法は主に二種類。蒸留気体が通る途中にボタニカル成分を入れた「ジンヘッド」(ジンバスケット、ジンハットとも呼ばれます。)
    部分を通すことで、気体に香りを移すか、
    ボタニカル成分をアルコールに直接漬け込み、蒸留機のポットにもそのまま加えるという方法です。
    どちらにしても、ボタニカル成分は蒸留に先駆けて加えられます。
    「蒸留したジン」はシンプルな製造工程で行われます。まず、ベースとなるスピリッツは発酵穀物を用いた95度程度の高アルコールのもの。
    ジンバスケットは、たいてい蒸留機のコラムの上部、アルコールの蒸気が通る途中に設置されます。ポットが115°F(46℃)以上になり、蒸気が通り抜ける際に、ボタニカルの香りが吹き込まれるのです。

    蒸留のバリエーション:減圧蒸留
    減圧蒸留は、より低い温度での蒸留を可能にします。蒸留したジンにおいて、減圧蒸留を用いることで、ボタニカルを原料スピリッツに直接加えるだけで十分な香りが抽出でき、ジンバスケットが不要になります。
    低い温度で蒸留することで、ボタニカルの香り成分をよりよい状態で取り出せ、正真正銘の香りが取り込めると指摘する蒸留所もあります。
    OxleyGreenhook Ginsmithはこの方法です。

    蒸留のバリエーション:単一蒸留
    多くの蒸留所では、ボタニカル成分を一度にまとめて蒸留しますが、他の方法で行う蒸留所も存在します。
    例えば、ジュニパーはジュニパーだけ、コリアンダーはコリアンダーだけ、それぞれの成分ごとに蒸留を行い、その後単一の香りを持つ蒸留酒をブレンドして最終的なジンに仕上げます。
    Sacred GinLeopoldMoore'sなどがこの方法を採っています。
    この方法の利点は、成分が安定するため、バッチが変わっても予測可能なこと。
    欠点はもちろん時間がかかること。ボタニカル成分を使うほどに時間がかかることになります。

    2. コンパウンド・ジン:ボタニカルを注入したジン
    「蒸留したジン」に対して、もう一つのジンの製法は、「ジュニパーの香りの付いたスピリッツはジンである」というジンの定義から来ています。
    シンプルに中性穀物アルコールにジュニパーを直接注入し、漬け込むだけ。
    レシピはインターネットで"DIY Home brewed gin(自家製醸造ジン)"で検索すればたくさん出てきます。たいていはウォッカをベースに作ることが多いようです。
    この種のジンは以前は家庭で簡易に作れることから「バスタブ・ジン」と呼ばれることが多かったのですが、この方法では高品質なジンが作れない、ということではありません。
    この方法の大きな利点は、まずコストが安いこと。大量の醸造用のアルコールを購入し、漬け込み、ろ過することで、蒸留することなくジンを作ることができます。地元のリカーショップで売っているような安価なジンがこの方法で作られています。
    二番目の利点は、ボタニカルの持つ、より微妙なニュアンスを強度に取り出すことができること。だからクラフトジン・メーカーでも、蒸留では取り出せないジュニパーの異なる一面を引き出すために、この方法をおこなっているところもあります。
    Bendistilleryのフラッグシップ、Crater Lake Ginは、通常の蒸留の後に、ジュニパーの注入(侵漬)を行っています。
    「バスタブ・ジン」は「コンパウンド(混ぜ合わせた) ・ジン」の方がより一般的に呼ばれます。通常の蒸留の後に、ボタニカルのわずかな風合いを加えます。
    ジンの純粋主義者からは見下されることもありますが、Bendistilleryはコンパウンド・ジンが、高品質なジンを製造できることを証明しました。

    --
    この文中に出てくる、「中性穀物アルコール」とは何か、が気になるところですが、そこもジンによって実に様々なものが使われれています。
    次の項で書かれているので、そのうち気が向いたら訳してみます。


    ジンで使われるポピュラーなボタニカルを、使用頻度に応じてサイズを変更した図。

  • 2016.4.6
    Plum blossom

    Plum blossom

    2016.4.6

    いきなり春が来て、木々が突然芽吹き、プラムの花が満開だ。

    昨年の秋に収穫したプラム畑も、今は真っ白の花が一面に咲いている。



    ラマに花見を阻まれる。

  • 2016.4.1
    Joke Day

    Joke Day

    2016.4.1

    「グーテンモルゲン! 今日はジョークを言っていい日って知ってるか? 嘘はダメだけどジョークならいいんだぜ。」

    って朝一にオティから言われる。久しぶりにリアルな世界でエイプリル・フールのこと聞いた気がする。
    そんな彼と、羊の餌小屋の地面に冬の間に15cmほども積み重なった、フンの地層を掘り起こしてるんだから、現実の方が冗談のよう。


    昼から出てきたパトリックがニヤニヤと近づいてきてやっぱり言う。
    「ヒロシ、今日はジョークデイって知ってるか?
    オティがトラクターがバックしてくる時に、足踏まれたことにしようぜ。」

    って中学生かってくらい無邪気ないたずらを提案してくる。

    トラクターがバックしてきて、パトリックが足を押さえてうずくまって、僕が大丈夫か!!って叫んで、オティがオロオロして、
    大成功!

    なにやってんだろうオレたち。


March

  • 2016.3.31
    Markt des guten Geschmacks

    Markt des guten Geschmacks

    2016.3.31

    シュツットガルトのメッセで行われる、Markt des guten Geschmacksという展示会にStählemühleが出展するので手伝いに行く。
    英語にするとMarket for Good Taste、別名スローフードフェアというらしい。
    日本ではすっかり聞かなくなった「スローフード」という言葉だけど、ドイツの、少なくともこの会場内ではそこかしこで使われている。
    地域ごとにスローフード協会の支部のようなものがあって、そこが取りまとめて、ブースがまとまって島になっている。

    我らがスティーレミューレはボーデンゼーチーム。シンゲンのツーリスト・インフォメーションやら、ジャムやペーストを売る夫婦の店などあって、まあ一言でいえばバラバラ。
    でもなんだかほのぼのとした感じです。

    スティーレミューレブースでは、100種類ほどの銘柄を2ユーロで試飲できる。大人気で常に人が絶えない。
    試飲をきっかけにもちろんボトルを買って欲しいから飲んでもらったところで感想を聞いたり、ちょっとうんちくを話してみたり。こういうことはクリストフはもちろんだけど、ジュリアンが天才的にうまい。
    ちょっとした冗談をはさみつつ、集団が来たらブラインドで飲ませて銘柄を当てさせてみたり。普段働かないくせに接客だけはコツを心得ていて憎いくらいだ。

    僕も懸命に接客してみるがドイツ語だけという人ばかりでなかなかコミュニケーションが取れず難儀する。
    それでも最後の方は、お互いなんとなくわかるようになってくるから面白い。

    広大なメッセの2つのホールを使ったフェアで、人が増えてくる前に一回りしてみたけれど、
    正直な感じのブースが多くて好感が持てる。裏を返せば野暮ったいってことだったりもするけれど、パンやチーズ、ビールなどはさすがにどこも美味しい。
    あとは、パッケージをお洒落にしたスパイスショップが多いのと、コーヒーを扱う店の少なさと、チーズ臭が会場全体を覆っていることとか。

    22時に終了して、もう日が変わる時間にクリストフの車で家に帰る。車内で感想を聞かれて、まあ上に書いたようなことを話す。

  • 2016.3.26
    Alsace

    Alsace

    2016.3.26

    今まで気付かなかったが、スティーレミューレから西に向かいライン川を超えれば、もうフランス。
    しかもアルザスじゃないか。

    アルザスの中心地、イースターで賑わう旧市街コルマールを経由して、ワイナリー巡りへ。
    見渡す限り剪定の済んだぶどう畑。
    最初に行ったのはPierre Frick
    1970年からビオロジック、1981年からビオディナミを始めたという、アルザスの有機農法の先駆者。ピエールさん自ら眼光鋭くテイスティングさせてくれる。

    Gérard Schuellerに行くつもりが、間違えて別のSCHUELLERへ。古い建物が並ぶ入り組んだ住宅街にあって、これはこれでなかなか。


    Binner。時間がなくてほとんど話せなかったけれど、ぶどう畑に隣接した恵まれた環境で作られている。



    オー・ド・ヴィも作っている。


    今回、シーズンオフでかつ土曜日ということもあって、テイスティング中心で、畑を見せてもらったり、ゆっくり話を聞くことはできなかったけれど、
    美味しいワインはそれだけで十分で、美味しいということが何よりも説得力があるという当たり前のことに気付かされた次第。
    ストーリーも大事だけど、何より大事なのはそこだよなあ。

  • 2016.3.24
    Frank Leader

    Frank Leader

    2016.3.24

    イースターの休みを利用して、Frank Leader一家が遊びに来てくれた。

    お土産はFrank Leaderのスキンケア商品、Traditionのセット。
    以前、オーストリア、ブレゲンツの製造元を訪れたことがあって、
    革新的なスキンケア製品を作っている会社と、フランクの服作りにも通じる、伝統的なことを現代にどうアップデートするかってことが結びついた面白いプロダクトだと思う。

    例えば、「Weizenbier Haarshampoo」(ヴァイツェンビールのシャンプー)という商品では、昔ドイツではビールで頭を洗うことがあった(臭そう・・)というエピソードから、ビールを原料に加えたシャンプーだったり、
    「Essin der Ciebe」(泥棒のビネガー・コンディショナー)という商品は、16世紀にペストが流行った時に、病気の家に侵入している泥棒がなぜか病に感染しないといことがあって、逮捕した泥棒を問い詰めたところ、泥棒界に伝わるハーブなどを使った病気よけの秘薬があった、というエピソードからレシピを考えたハーバルなコンディショナーだったり。

    単純に効用を誇示するのでもなく、パッケージをお洒落にしたということではなく、背景となる物語を語りつつ商品の魅力としているところが素晴らしい。
    この辺りの才能は毎回の彼のコレクションでも存分に発揮されている。

    娘同士が同じ歳だったりして、フランクともマキさんともゆっくり話ができたのも今回の収穫でした。しかしお洒落な家族だよ。

  • 2016.3.22
    peacock hips

    peacock hips

    2016.3.22

    3ヶ月半ぶりにStählemühleに戻ってきた。
    今年は雪がほとんどふらなかったそうだ。それもあってか、木々は冬の寂しい様子だけど地面の草には緑が残っていて、そこまで印象は変わらない。
    クリストフをはじめみんな元気そうだ。クリスマスにプレゼントを贈ったことをそれぞれからお礼を言われ、暖かく迎えてもらった。

    変わっていたことといえば、早朝、大きな奇声が聞こえた。外を見てみると、巨大な棒状のものがゆっくりと動いている。
    孔雀だ。
    以前飼っていたのが逃げてしまったという話を聞いていたけれど、昨年のクリスマスに突然戻ってきたらしい。

    力を誇示しているのか求愛しているのか、そこここで人や動物に羽を拡げて見せつけてくる。
    報われない後ろ姿はなかなか味がある。

    羊には3匹の赤ちゃんが今月のはじめに生まれたそうだ。
    そのうち一匹、黒ぶちの母親は乳がでない。別々の母親と子の組み合わせでは授乳をしないそうで(むしろ近づくと蹴っ飛ばされたりする)、3時間に一度、哺乳瓶からミルクを飲ませなくてはならない。


    2つあった倉庫と作業所を、年末に一つにまとめたそうで、それも見に行ってきた。
    天高8mの壁をクレーンを使ってペンキを塗ったのがオティの自慢だ。
    600㎡の巨大な敷地に、出来上がったものを瓶に入れるボトリングの作業、できあがったボトルを箱に入れて保管する等、実際に製品にする部分を担っている。
    Stählemühleの敷地内で行われるのは、動物を飼ってみたり、蒸留や加工をひたすら手にかけて行うノスタルジックにすら思えるものづくりの部分だけど、こういう実務的なところがしっかりある。

    出来上がったばかりのアーティチョークのガイスト。


  • 2016.3.13
    Fukuoka

    Fukuoka

    2016.3.13

    どうしても気になる場所があって週末で福岡。糸島、田主丸、ひめはる。一ヶ月前は聞き慣れない名前だったのに、今やgoogleマップの見すぎで既視感すらある。


  • 2016.3.8
    Koichi Yanagimoto

    Koichi Yanagimoto

    2016.3.8

    代官山で書店をはじめてしばらくして、オンラインであるお客さんからの注文が頻繁にあることに気づいた。
    珍し目の古本をアップすると、それが何時であろうと数時間以内に注文がある。
    特にブラックベアのペーパーバックに関しては、まとめて数十冊の注文をくれたりする。何者だろうかと思っていたら、その人がお店にやってきて、それが柳本浩市さんだった。
    初めて会った時のことはなんとなくしか覚えていないけれど、Craftでやるイベントのフライヤーを持ってきてくれて、そのまま数時間しゃべりっぱなしだったような気がする。

    その後、お店には定期的に寄ってくれるようになった。「Zwarte Beertjes」 という本を作るときに、ちょっとだけ彼が持っていなかったものを提供させてもらったりしたけれど、もので対抗できたのはそれが最初で最後。
    何でも持っているし、何でも知っている。
    彼に、「いやーこれは知らなかったなあ」って一言言わせたくて頑張ったこともあったけれど、知識も持っているモノも決してかなうわけがないって、いい声で朗々と語る声を聞きながら遠のく意識の片隅で気付かさせる。
    東京でお店をやっている人は柳本さんのせい(おかげ)で、けっこうそういう体験をしたんじゃないかと思う。

    僕の場合は割と早い時期にそういう体験をしたせいで、深く掘り下げていく方向は早々に諦めて、常に移り気に品揃えを変えてみたり、色々な人とイベントや展示をやったりするようになった。あとは自分自身が感じたことや体験したことを文章にしたりするようになったのも、彼のせい(おかげ)だった気がする。

    そういえば、「Mind The Gap」という鉄道にまつわるグラフィックを集めた本をGlyph.が出版したときに、うちでリリースパーティをすることになった。鉄道の本なのだから、ケータリングは鉄道模型に乗ってカレーが運ばれてくるナイアガラしかないだろう、ということになって、ナイアガラにカレーのケータリングをお願いした。
    当日の昼に、車掌(店長)から電話がかかってきて、「やっぱり腰が痛いので、大鍋のカレーと車掌の帽子だけ貸してあげるからあとは好きにやって」と言う。
    カレーと帽子だけを持ち帰り、今日は主役だからっておだてて、車掌の帽子を柳本さんにかぶせてカレーの給仕をやってもらった。主役なのに。

    そのせいもあったかないのか、僕とはモノの話をしても手応えがないと思ったのか、以前ほど真面目な話はしなくなってしまった。

    ここ数年は年始に青山ブックセンターで行われる洋書バーゲンで、パージナとGlyph.の間に入れてもらって、二人の静かにでも張りつめたコレクション自慢を聞くのが楽しみだった。

    そんな彼が天国で何のコレクションを始めているだろうと想像すると、ちょっとおかしい。ご冥福をお祈りします。

  • 2016.3.3
    Uenohara

    Uenohara

    2016.3.3

    上野原は日本のドイツだよ、と青山さんが言うので、彼に案内してもらって大月、上野原、秦野に行ってきた。

    大月では廃校物件、上野原では競売物件を見るという一泊の旅。

    言われたからでもないけれど、特に秦野はドイツの南の方みたいだ。山が深くて、適度に人の住む場所があって、文化的な様子もある。
    芸術村からシュタイナー学園のあたりなんて夕方の空気も相まってかなり素敵だ。
    ただし決定的に違うのは山に生えている木で、四方を杉で囲まれると絶望的な気持ちになる。

    上野原の人里離れた山奥にある風林亭。うどん屋といいつつ、酵母を加えて若干発酵させたパン生地のような生地を使い、外の薪窯で沸かした湯でゆでたなまめかしく美しい麺を、目の前でのばす手延べ麺を使ったフルコース。美味しかったな。

February

  • 2016.2.16
    Pálinka / Rakija

    Pálinka / Rakija

    2016.2.16

    洋酒ライターの石倉一雄さんとお会いした。
    石倉さんは、Food Watch Japanという食にまつわるサイトで、「東欧フルーツブランデー紀行」という連載を行っている。

    圧倒的に情報のないブルーツブランデーに興味を持っているだけでも珍しいのに、色々なところに掛けあって、ハンガリーとセルビアに取材にまで行ってきたというのだから恐れ入る。
    そんな石倉さんが僕のことを知り、連絡を頂いて会うことになった。

    テイスティングで使えるようお願いしてくれていたバーで、早速、東欧のフルーツブランデー事情を実物を飲ませてもらいつつ、教えてもらう。
    フルーツブランデーは、ハンガリーではPálinka(パーリンカ)、 セルビアではRakija(ラキア)と呼ばれている。
    そのあたりのことは連載を読んでいたので、事前にWikipediaで調べたら、ずいぶん原始的な装置が出てきて、まあそのようなものを想像していたのだけど、現在は最新の蒸留機を使って作られているそう。ボトルもとても洗練されている。

    何種類か飲ませてもらう。
    リンゴのパーリンカ。リンゴの種類はむつ。日本の品種がハンガリーで盛んに栽培されているらしい。
    他にもキルシュ、マルメロ、ぶどうなど。フルーツの香りを素直に楽しめるいいフルーツブランデーばかりだ。

    マルメロについては、参考までにと、巣鴨にある果物屋、かりん加工店松岸のかりん酒と比べてみる。

    フレッシュな香りを楽しむラキアと、長く漬けて果実味を楽しむ日本の果実酒。方向性が全く異なっていて面白い。


    一通り終わった後は、居酒屋に移動して、日本酒など飲みつつお互いの話を。
    石倉さんは、子どもの頃から人とは違うことに興味を持ち、興味を持ったらとことん調べてみないと気がすまないという性格だったそうだ。
    ライターになったきっかけも、バーでバーテンダーとカクテルの起源について話をしていたら、同じバーに居合わせた漫画家の藤原カムイさんにリサーチをお願いされて、というのだから面白い。

    その洋酒に関する知識は、「日本でカクテルが定着したのはいつなのか」という記事や、「世界・日本で最初の女性バーテンダーは誰か」など、そんなことよく調べたなあって記事で読める。

    帰り際、「江口さんは誰も味方がいない中、一人でフルーツブランデーの道なき道を進んでいるように思っているかもしれませんが、江口さんのやっていることを興味を持って見つめている人が実はたくさんいますよ。頑張ってください。」

    なんてありがたいことを言われて、サボっていたサイトを慌てて更新している次第です。

  • 2016.2.14
    KOCHI

    KOCHI

    2016.2.14

    二年ぶりの高知。全長2キロはあるという日曜市では、道沿いの露天で目につくものをポイポイと買って、最後の店で大きめの柑橘を買ってそこから宅急便で送ってもらう。これが前回の滞在で学んだこと。
    ワンダフル、Wワンダフル、とにかくワンダフルの3段活用も健在だし、前の晩はずっと来たかったにこみちゃんにも来られたしで、短い時間だったけど満喫しました。

  • 2016.2.13
    Tabi bagle (Marugame)

    Tabi bagle (Marugame)

    2016.2.13

    高知に出張があったので、ちょっと前入りして高松、バスで丸亀へ。坂出で一旦降りて坂出人工土地、はスルーして、下にあるうどん屋「こむぎ屋」に。
    わざわざ途中で降りてまで行くべきかと問われると自信ないけれど、この店すごく好きだ。まずお店のおばちゃんがみんな元気でしかも優しいのがいい。
    カウンターにオーダーを伝えに行ってそのまま席に戻る。うどんは持ってきてくれるけどおでんは自分で取りに行く。食べた後にもう一度カウンターで自己申告で食べたものを伝えて支払いをする。
    独自のシステムを、みんなが粛々とやっていて、周りの見ながらそれっぽく振る舞うのが楽しい。
    あ、うどんもおいしいです。

    丸亀から、新しい旅ベーグルへ。パトリックとはここで待ち合わせている。ところが、タクシーの運転手に住所を伝えても、畑のあるところに何軒か住宅があるだけ。

    そのうちの一軒の駐車場の奥に、コンテナを改造したお店様のものが、ポンと置いてあった。
    入ると半分がキッチンで半分がショップ。谷中の店と変わらないか、何ならちょっと小さくなっている。
    そこに絶え間なく車がやってきて、地元らしい人たちが次々とベーグルを買っていく。


    「13:30からオープン」の張り紙に愕然とする雨のおじさん。


    7時にオープンして、お昼前には売り切れ。その後2種類のベーグルのみ焼いて、13:30にもう一度オープンして、30分後には売り切れて閉店。
    せっかく広い土地があるのだから、カフェとかやったりすればいいのに、って店主のマツジュンに聞いたら、
    「バカだなあ、そんなことしたら人も雇わないといけないし、働く時間だって増えちゃうじゃんか」と笑われる。

    それもこれも、どこでやっても同じことをやって同じようにお客さんが来てくれるという自信のあるゆえなんだろう。
    毎日の生活に近い店をやりつつ、自分の生活も整ったものにする。それがみんながやりたくても出来ないことなんだよなあ。

    店を閉めて、巨大な温室をうどん屋にした「まごころ」(ここも好き)に連れていってもらった後、車で高速道路の路肩のバス停までおくってもらいバスで高知へ。豪雨。


    -
    旅ベーグル
    香川県丸亀市中津町979-1
    0877-43-2341
    http://www.tabibagel.net


  • 2016.2.12
    waltz

    waltz

    2016.2.12

    もう10年近く前、中目黒に1LDKがオープンした時に、本棚にけっこういい本が置いてあった。ちょうどいい具合の写真集やアートブックがさりげなく並んでいる。
    当時店長だった関さんと少し話すようになった頃、「この本誰が選んでるんですか?」ってずっと聞きたかったことを尋ねたら、「アマゾンの人が選んでくれているんです」って。
    そんな取り組み、世界のどこでも聞いたことない。

    詳しく聞いてみると、アマゾンに本選んでくれないかってお願いしたら、会社としてはできないので個人的にやりますって言ってくれた人がいたそうで、それが、角田太郎さん。
    僕の想像力のなさゆえ、それまでアマゾンに人がいるって当たり前のことを考えたこともなかった。
    それをきっかけに紹介してもらい仲良くなって、何度かご飯を食べに行ったりした。

    その後すっかりご無沙汰していたが、「中目黒のカセットテープ屋「Waltz」」の記事で、角田さんの名前を見た。いつの間にかアマゾン辞めて、こんなおもしろそうなことをやっているなんて、ちっとも知らなかった。
    早速行ってみた。中目黒の端、Y字路の一角にある。
    置いてあるのはカセットテープ、レコード、古本、ちょっと雑誌。70-90年代くらいの時代で切り取られた、懐かしいけど恥ずかしくない、絶妙のセレクトだ。

    カウンターにいる角田さんに、「こんな店よくやりましたねえ。」って言うと、僕のせいでもあるんだと意外なことを言う。
    角田さんはアマゾン・ジャパンの前は、Waveにいて、音楽はもちろん、本にもとても詳しい。
    以前一緒にご飯を食べていた時に、誰が好きだとか、どの本がいいやら、そんな話をしていたら、僕が
    「なんだ、角田さんもこっち側の人なんじゃないですか。」と言ったそうだ。
    それで角田さんは、「こっち側」のことを意識するようになって、ついにはこっち側で何ができるかって考えるようになったという。ネットじゃなくてこっち、デジタルじゃなくてこっち。
    そんなこと言ったの全然覚えてなかったし、偉そうなこと言ってて赤面してしまうけれど、でもまあなんか嬉しいものです。
    僕自身はどっち側かすらわからないところにおりますが。

    しかしこの店、次々とお客さんがやってきてなかなかの繁盛店だ。
    僕もドイツに置きっぱなしの車がカセットテープしか聞けないので、カセットテープを物色する。うわ懐かしい。Vaselinsの「The Way of the Vaselines」に思わず手が伸びる。
    でもさすがの値付けで、ほしいなと思うとちょっと高い。
    結局ライ・クーダーとコステロ。カセットで聴きたい感じっていうのが何かあるような気がする。

    -
    waltz
    東京都目黒区中目黒4-15-5
    03-5734-1017
    waltz-store.co.jp

  • 2016.2.3
    felicita

    felicita

    2016.2.3

    幅さんがぜひ紹介したいと予約してくれて、felicitaを訪れた。
    支配人の永島農さんが、平日の数日のみ1Fのカウンターに入り、あの手この手で変わったお酒を飲ませてくれるらしい。

    「今日は面白いお酒をご用意します。」という宣言とともに、あれ、最初に出てきたのはビール。
    とはいえ普通のビールとは全く違ってとても酸っぱい。色も濃くてちょっと濁りもある。
    スイスのジュラにある、BFMという醸造所の「L'ABBAYE DE SAINT BON-CHIEN」というサワーエール。醸造した後にワイン用の木樽で一年間熟成し、その最中にランビック用の酵母を加えて酸味のある味を出している。らしい。
    予想外の先制攻撃に期待が高まる。

    ワインは赤か白かなんて尾原くんとゴニョゴニョやってたら、「赤ワインの作り方で作った白ワインを飲んでみませんか?」と、よくわからないことを言われて、出てきたのはRadikonのオスラヴィエ。確かに見た目は白、ごくオレンジに近い色、飲んでみると白とは信じがたい濃厚さ。白ワイン種のぶどうである、ピノ・グリージョ、シャルドネ、ソーヴィニヨンを、ジュースにして発酵させる白ワインのやり方ではなく、実ごと木製の発酵槽で攪拌をしながら発酵させたものらしい。
    うーん。面白い。

    次はイタリアのハーブブランデー。ジョヴァンニ ボローニという蒸留所のもの。トリノから西に行った山の中で、家族経営、ハンドピッキングで原料を調達して醸造、蒸留をしているという。
    種類はAloe Vera(アロエ)、MASTERWORT(マイスターヴルツの根)、Genziana(リンドウの根)といった具合でかなり変わっている。
    糖分の少ないハーブ由来なのでスピリッツなのかと思ったら、発酵させて蒸留するブランデーらしい。こんなこと出来るんだねえ。
    サイトの写真も、いったい何時代?ってくらいの環境で作っていて、素敵だ。

    その後はイタリア、ヴェネト州のCapovilla(カポヴィラ)のフルーツブランデー。目白の田中屋でも見た、ボトルも美しい高級フルーツブランデーの王様。作っているところを撮った動画も素晴らしい。

    続いてはグラッパと言えばの、ロマーノ・レヴィは、彼が生前に手書きでラベルを描いてもらったものを奥から取り出して飲ませてくれる。

    最後はウィスキー。意外にもスーパーニッカ。しかし、そのスーパーニッカを一滴だけ水に垂らす。
    本当にわずかな香りだけ。それを頭で増幅させて飲んでください。
    ...と、そんな具合。

    その他もマッサ・ヴェッキアとか出てきた気もするのだけど、もう記憶容量を超えてしまってただただ飲むだけの人になってしまった。

    こうやってテキストだけで書くと、なんだかうんちくチックに聞こえるかもしれないけれど、実際は全然そういうことはなく、ただ驚きのある美味しいお酒が次々と出てくる。
    しかも料理と共に絶妙のタイミングで、適切な説明(割合としては会話7割、うんちく3割くらい)と共に出てくるのだからもう楽しくて仕方がない。

    対面でストーリーを伝えられて実際に味わってもらえる、そういう場所として改めてバーって最強だ。
    それにしてもバーカウンターがここまでエンターテインメントになるとは。感服しました。

    -
    felicita
    東京都港区 3-18-4
    03-3408-0141
    http://www.felicita.co.jp/


January

December

  • 2015.12.28
    Translate: Why You Should Try Swapping the Vodka in Your Cocktail for Eau de Vie

    Translate: Why You Should Try Swapping the Vodka in Your Cocktail for Eau de Vie

    2015.12.28

    テイスティング・イベントをやっていると必ず聞かれるのが、「フルーツブランデーをどうやって飲むのがいいのか?」という質問。

    何か参考になるものがないかなと探してみたら、THE WALL STREET JOURNALで、「Why You Should Try Swapping the Vodka in Your Cocktail for Eau de Vie (カクテルに使うウォッカを、オー・ド・ヴィーにしてみたらどうだろう?)」という記事を見つけたので、翻訳してみました。

    飲み方もそうだけど、アメリカにおけるフルーツブランデーの歴史や、マーケットの広がりもわかって面白い記事でした。
    しかし表記はやっぱり英語でも苦労しているみたいですね。

    --

    Why You Should Try Swapping the Vodka in Your Cocktail for Eau de Vie? By ELIZABETH G. DUNN(THE WALL STREET JOURNAL Sept. 21, 2015)

    カクテルに使うウォッカを、オー・ド・ヴィーにしてみたらどうだろう?

    アメリカのクラフト・ディスティラー(蒸留所)が作る、クリアなフルーツブランデー、オー・ド・ヴィーが、カクテルバーを含む新しいマーケットに広がっている。それは同時に小規模農家を支援することにもつながっている。

    -
    オー・ド・ヴィーは「命の水」を意味するフランス語です。これは、中世のペストの特効薬や、おばあさんが脚付きの小さなグラスから注意深く飲んでいる姿を思いおこさせます。

    だからこそ、カリフォルニアの Crispin Cider社のマーケティングに精通した創設者による、新しい蒸留所、Copper & Kingsは、そのようなイメージを完全に払拭するために、フルーツから作る蒸留酒を、"immature brandy,"(未成熟なブランデー)、"unaged brandy"(熟成させないブランデー)、または "American pisco."(pisco:ペルー原産のブドウ果汁を原料とした蒸留酒)と呼んでいます。


    シンプルに定義すると、オー・ド・ヴィーは熟成させていないフルーツブランデーということができます。梨、リンゴ、ラスベリー、その他の果物を、発酵させて、複数回蒸留することで出来上がるのは、クリアで、(ジンやウォッカのような)スピリッツの強さを持ち、甘さは全くないもののフルーツの芳香が残っています。
    例えば、フレーバーウォッカよりも、ずっと繊細で、より複雑で、ファーム・トゥ・テーブルなバージョンを想像してみてください。


    オー・ド・ヴィーは、アメリカにおいてはニッチなマーケットにすぎません。しかし確実に前進しています。バーテンダーたちは、ウォッカなどのホワイトスピリッツに代わって、そのもの自体に魅力があるオー・ド・ヴィーを採用しています。

    「オー・ド・ヴィーは、ウィスキーを好む人にとってのホワイトスピリッツなんだ。」

    Copper & Kings社のオーナー、Joe Heronは言います。彼らは2014年にオー・ド・ヴィーを発表しました。
    サンフランシスコ、アラメダに蒸留所を持つSt. Georges Spiritsは、30年にわたりオー・ド・ヴィーを作ってきました。これまで90%以上は輸出されてきましたが、現在はアメリカのマーケットに対応するだけの品質・量のフルーツを見つけることが難しい状況になっています。


    この現象が興味深いのは、これが初めてではないことです。
    18世紀から19世紀のはじめにかけて、アメリカ人のファーマーたちは、小さな果樹園を持ち、そこで採れた果物に最大の価値を持たせるために、および貯蔵寿命を伸ばすために、ブランデーを作りました。
    ジョージ・ワシントンはワシントン州のマウント・バーノンで桃を使ってオー・ド・ヴィーの製造を行っていたことで知られています。現在、この歴史的な土地ではオー・ド・ヴィーの生産を再開し、ギフトショップで販売しています。
    しかし、ぶどう畑や果樹園は、南北戦争中に軍隊によってひとまとめに破壊され、ほとんどは二度と立て直されることはありませんでした。
    穀物を原料とした蒸留酒は、それ以来栄えるようになったのです。


    オー・ド・ヴィーの魅力をもう一つ加えるならば、オー・ド・ヴィーの蒸留所は、味や香りは十分ながらグロッサリーストアに納品するには形が不完全な果物に、有効な市場を提供することで、小規模な果樹農家をサポートしています。

    St. George Spiritsの創業者、Jörg Rupfは、彼らが作る梨のオー・ド・ヴィーの場合、彼らが好むのは、小さくて、乾燥地で作られたものだと語ります。
    帽岩地域でピーチと梨のオー・ド・ヴィーを作る、Lance Hansonは、すべてのフルーツ原料を、コロラドのノースフォークヴァレーのオーガニック農家から仕入れています。その際に農家に支払う値段は、他のバイヤーのほぼ倍です。
    「私たちは、地元の生産者のカンフル剤になるような、高いレベルのミッションを持っている」と彼は語ります。


    オー・ド・ヴィーはどのように飲むのがいいのでしょうか? ヨーロッパでは伝統的に、食後にストレートで提供されることが多いようです。しかし、カクテルのベースとして使っても素晴らしいものです。
    ソーダやトニックウォーターとミックスしたり、ギムレットやモスコミュールといった伝統的なジンやウォッカベースのカクテルの代替としても有効です。
    ケンタッキー州のルイビルで、Bar Metaを営む、Jeremy Johnsonは、レモンを絞ったオンザロックでオー・ド・ヴィーをまずは飲むことを勧めます。
    その後は実験。
    「それは軽くてはっきりとした、そして2,3種類を混合するカクテルに適しています。ただ、あまりにも多くのフレーバーの中でオー・ド・ヴィーを埋没しないように注意してください。ウォッカとは異なり、オー・ド・ヴィーには圧倒的なニュアンスを持っていますから。」
    ジョンソン氏は語りました。

  • 2015.12.22
    Tasting tour report / YAECA HOME STORE (Tokyo)

    Tasting tour report / YAECA HOME STORE (Tokyo)

    2015.12.22

    テイスティング・ツアー番外編は、YAECA HOME STOREにて、細川亜衣さんによるHOMEをテーマにしたクリスマスメニューと共に。
    全体のコーディネーションを冷水希三子さん、パンはFermentationの茂木恵美子さん、台湾茶をChanowaの出野尚子さん、という豪華な面々。

    Stählemühleのフルーツブランデーについて簡単に説明した後、食事に合わせてオーダーしてもらう。
    また、細川亜衣さんには料理にも使ってもらった。
    猪肉の茴香煮にはAbsinthe "Keller et Fils"を、リンゴのパンナコッタにはMitcham Mint


    バーコーナーでは訪れたお客様にもテイスティングしてもらった。目の前で率直な感想をもらえるのが嬉しい。

    終了後、打ち上げを兼ねて作ってくれた、岸本えりさんの料理がまた素晴らしかったこと。


    ホスピタリティーあふれるYAECAの皆さんもどうもありがとうございました。
    クリスマスのいい思い出が出来ました。

    YAECA HOME STORE
    http://www.yaeca.com/

  • 2015.12.20
    Tasting tour report / Bar Benfiddich (Tokyo)

    Tasting tour report / Bar Benfiddich (Tokyo)

    2015.12.20

    テイスティング・ツアー3カ所目は、西新宿のボタニカル・バー、Bar Benfiddich
    薬草酒やアブサンを中心に、オールドボトルまでを網羅した品揃えと、
    自ら畑を持ちハーブなどの栽培を行い、そのハーブを用いて自作のカクテルを作るなど、研究と創意に満ち溢れた尊敬すべきバーです。
    (「ゴボウでスーズ作ってみる」や「テキーラの原料でアブサン作ってみる」や「自家製トニックウォーターを作ってみた」などブログの記事も最高です。)


    そんなBar Benfiddichの鹿山さんに相手になってもらって、二時間半のトーク&テイスティングを行いました。

    日曜の午後だというのに、集まってくれたたくさんの方々。特筆すべきは、バーテンダーや輸入酒販売業者などプロの方々に来てもらえたこと。

    適度な緊張感もありつつ、皆さんの探究心にあふれる質問のおかげで(ハーブを浸漬するときのアルコール度数は?とか。)、僕もいい勉強になりました。

    一通りテイスティングしてもらった後、最後に、No. 56: Sueabian Juniper/シュヴァーベン・ジュニパー と、リンゴのフェンネルのフレッシュジュースを使ったオリジナルカクテルを提供してもらいました。

    Bar Benfiddich
    http://ameblo.jp/kayama0927/

  • 2015.12.13
    Tasting tour report / FOOD FOR THOUGHT (Tokyo)

    Tasting tour report / FOOD FOR THOUGHT (Tokyo)

    2015.12.13

    料理家の渡辺有子さんのアトリエ、FOOD FOR THOUGHTでのテイスティング・イベント。
    今回は、彼女が作る料理と共にフルーツブランデーを味わってもらう。

    最初のレバーペーストには、ボヘミアン・ラズベリーのフルーツブランデー。

    赤パプリカのローストにはシチリアのブラッドオレンジ。
    そしてメインは、野菜やハーブとじっくり煮込んだビーフシチューの上に、ブラックフォレストをイメージしたという黒キャベツのローストを載せたもの。それには、シェリー樽で熟成したオールド・アプリコットのフルーツブランデーを合わせてもらった。

    食前、食後酒のイメージが強いブランデーだけど、こうして料理と合わせて飲むのも新しい発見がある。

    壁面では、山本祐布子による、ボタニカルドローイングの展示も。

    デザートには、Stählemühleの"Crème d'Orange - Triple Sec"(オレンジリキュール)を使ったクリームを載せたプリン。

    最後までフルーツブランデーとの組み合わせをしっかり考えられた有子さんのメニューに感激しました。



    FOOD FOR THOUGHT
    http://520fft.tumblr.com

  • 2015.12.10
    haluta AndelLund

    haluta AndelLund

    2015.12.10

    今回、haluta365の山村さんにお世話になったから書くわけではないけれど、上田に行くのだったら火曜日か週末を日程に入れて、haluta AndelLundに行ったらいいと思う。
    今年の春に「千曲川でスケッチ」という本を作るときに立ち寄った時には、まだ敷地内にいくつか倉庫があってその中に無造作に家具が積まれている、という状況だったけれど、今回はすっかりお店然としていた。

    しかし、普通のインテリアショップや中古家具屋と異なるのは、それが圧倒的に大きいということ。
    敷地は4000坪、ショップになっている建物は体育館を天井を半分、スペースを倍にしたくらいの広大な空間で、北欧の名作家具が、テーブル、チェア、チェスト、ソファ...と種類ごとに整然と並べられている。先の方は霞んで見えるくらい。


    最初は、うわウェグナーだ、うわタピオヴァラだ、なんて言ってるんだけど、
    そのうち何が起こるかというと、家具の塊にしか見えなくなってくる。
    わざわざ自分が所有しなくても、ここに来れば全部あるじゃないかという諦めのような、物欲が溶けていくような不思議な感覚が味わえる。


    子どもたちはどうしていいかわからなくなって、走り出す。


    岸政彦さんの「断片的なものの社会学」で、無数にある小石を一つ拾い上げて、ただただずっと見ていると「この小石」になる瞬間になるって話があったけれど、
    その逆というか、一般的には一点もの、珍しいもの、として扱われている(実際珍しいんですが)北欧のビンテージ家具が塊になってしまう瞬間。
    こういう感覚は他ではなかなか体験できない。

    でもその一方で、本当に欲しいものはこの先にあるのだろうなとも思う。


    haluta AndelLund
    長野県上田市小泉821-1 
    0268-71-3005
    http://www.haluta.jp/shop/

  • 2015.12.9
    Stählemühle Japan Website & Leaflet

    Stählemühle Japan Website & Leaflet

    2015.12.9

    帰ってきたらやりたかったこともう一つ。
    Stählemühleの日本語サイト、Stählemühle Japan のウェブサイトを立ち上げました。
    ドイツ本国のStählemühleと連携しながら、Stählemühleの日本での展開の報告と、国内の販売を行うオンラインショップを運営します。

    オンラインショップでは、個人の方からのご注文ももちろんですが、酒屋、飲食店からの問い合わせも大歓迎です。

    また、同時に紙のリーフレットも刷り上がりました。観音を開くとStählemühleの紹介、さらに開くと12種類の銘柄の紹介が現れます。

    ウェブサイト、リーフレット共に、写真は濱田英明さん、イラストは山本祐布子さん、デザインは谷戸正樹さんにお願いしました。
    本国の印刷物やサイトの雰囲気を踏襲しつつ、日本でも受け入れられやすいように色々と工夫しました。
    特に谷戸さんとは、ドイツと日本でSkype越しに何度もミーティングをして、紙を指ではじく音で紙の厚さを決めたりと、かなりの無理なオーダーに応えてもらいました。

    どうぞご愛顧をよろしくお願いします。

    Stählemühle Japan
    staehlemuehle.jp
    オンラインショップ
    https://staehlemuehle.stores.jp/

  • 2015.12.8
    Tasting tour report / Fika (Ueda)

    Tasting tour report / Fika (Ueda)

    2015.12.8

    上田、Fikaでのテイスティングイベント、無事終了しました。
    元は自転車屋だったという古い建物を改装したFikaの店内は趣があって、二階の会場は低めの天高と暖かい照明が親密な雰囲気を作り出してくれる。
    夜になると、生産者あり、書店経営者あり、家具屋さんあり、地元上田の人あり、松本の人あり、佐久の人ありとバラエティに富んだ人たちが集まってくれた。


    写真や映像を見てもらいながら、随時フルーツブランデーを飲んでもらう。
    山村光春さんのさすがの進行&リアクションで、僕も楽しく話すことができた。
    生産者の人もいたから、ミニキウイからリキュールを作ると僕が言えば、日本ではさるなしですねって返ってくるし、フルーツブランデーの香りや味にも積極的に感想を言ってくれて、来た人たちも喜んでくれたように思う。
    Fikaの料理もしっかり、そしてばっちりフルーツブランデーに合っていた。

    今まで山の中で誰に向けてというよりただただ自分のためにやってきたことを、こうやって受け止めてくれる人がいることが、これからどんなに励みになることかと思う。
    テイスティング・ツアー、まだまだ続きます。


    メニュー
    ・自家製ソーセージ・レンズ豆の煮込み 無農薬にんじんのロースト
    ・シャルキュトリ盛り合わせ
    ・アンチョビとオリーブのパイ
    ・パプリカとパルミジャーノチーズのパイ
    ・地元のいろいろ野菜とクスクスのサラダ
    ・地元のベビーリーフとシーザーサラダ
    ・ハルタとルヴァンのパン
    ・カヌレ
    ・キャラメルバナナのパウンドケーキ

    all photos by Hideaki Hamada

  • 2015.12.7
    looking for the site

    looking for the site

    2015.12.7

    日本の蒸留所はどんなところがいいんだろう?
    上田Fikaでのイベントへの道中、候補地をいくつか見て回ることにした。
    佐久穂町役場の方に案内してもらった場所は、佐久穂町で今年の春に廃校になったばかりの中学校と小学校。

    以前も書いたけど、クリストフから蒸留所の条件として出てきたのは、フルーツの採れる場所、水のいい場所、そしてストーリーのある場所、という3つがあって、
    それで最初の2つを満たすものとして長野、そしてストーリーという意味では学校なんていいかもなって思ったものの、
    スケールが大きすぎるし、持っているストーリーもどうやら違うようだ。
    思い出がまだ生々しく、何だか悲しくなって立ちすくむ。

  • 2015.12.4
    Stopped at the customs

    Stopped at the customs

    2015.12.4

    出発前に送った、Tasting Tour用のフルーツブランデーたちが川崎税関に届いたと連絡が来た。
    今回、自分で輸入手続きをやってみようと思っている。もちろん業者にお願いしたら簡単だし、将来的にはそうしたいけれど、自分で流れを知っておきたい。
    ドイツから東京検疫に事前相談をしていた時は、東京の税関に届くようなことを聞いていたので、いきなり出鼻をくじかれれる。

    夏に取った酒類販売免許の出番がやっときたと喜ぶも、税関に電話をすると、表示証届出申請書は出したかと聞かれる。そういえば輸入したお酒や食品には決まって日本語のラベルが貼られているけれど、それは誰か貼っている。
    そうか、それが僕だ。


    慌ててラベルのレイアウトをする。記載内容の他、文字サイズも6pt以上にするなど、細かいルールがある。メールで送ってチェックしてもらい、OKもらったら本数分のラベルをプリントアウトして出発。すでに午後。

    税関では小さな部屋に通され、職員立会いの元、一本一本にラベルを貼っていく。

    やっと終わったと思ったら、今度は検疫に行って、食品等輸入届出書と、原料および製造工程表を提出して来て下さいとのこと。
    原料および製造工程表は英語でもいいということなので、ドイツにいる間に作っておいた。事前相談で内容も見てもらっているので、けっこう自信がある。
    しかし、提出した税関の人が書類を受け取り、デスクに戻って翻訳サイトを開いた時点で今日荷物を持ち帰るのは諦めた。

    先は長い。

  • 2015.12.2
    meeting with curiosity

    meeting with curiosity

    2015.12.2

    帰国して最初にお願いしたのが、Tasting tourのための打ち合わせ。
    オレンジのリキュールを使ってデザートを作ることを考えている、Food For Thoughtの渡辺有子さん、
    アブサンを手に不敵に笑う、Bar Benfiddichの鹿山博康さん、
    そして、打ち合わせもそこそこにクラフトビールを飲み続ける、APOTHEKE FRAGRANCE代表(と僕)。

    彼らの好奇心にかかると、Stählemühleのフルーツブランデーがどんなことになるやら。僕が一番楽しみにしています。

November

  • 2015.11.26
    Defocus

    Defocus

    2015.11.26

    出発の朝、カメラをセットして撮ったのだけどまさかのピンぼけ。
    こういう大事なところでいつも外すよなあと自分が嫌になる。
    でも後ろのStählemühleのサインに合ってるからよしとするべきか。
    いずれにしても3ヶ月間いてこれが唯一の集合写真。

    お世話になりました。また来年3月に。

  • 2015.11.25
    starting/ending snow

    starting/ending snow

    2015.11.25

    出発の前日、Stählemühleに雪が降った。
    例年よりは随分遅いらしい。

    今週はずっと蒸留週のため、朝から晩まで二時間おきに蒸留所で作業がある。
    その合間を縫って、雪かきをして、
    シャイで素早いヤギたちを皆で変な掛け声をかけながら小屋に追い込んで入れたり、
    蒸留後の排水を積んだタンクを浄化槽に捨てに行ったり。
    そしてオフィスではクリスマス前の大量注文に応えるべく出荷に次ぐ出荷。クリスマスパッケージも好評のようだ。

    ヒロシは出発の準備があるだろうから今日は作業しなくていいよと言われるものの、
    忙しそうに働いているみんなを見ているとついフラフラと外に出て、なんとなしに付き合ってしまう。

    こんな時にいなくなるのが申し訳なくて、悔しいぜ。


  • 2015.11.24
    Blue Barrel Control Revised

    Blue Barrel Control Revised

    2015.11.24

    2ヶ月前の屈辱を果たす時がついに来た。

    160リットルのりんごが入った樽を、蒸留機を使わせてもらっている農家の倉庫へと運ぶ。

    両手でしっかり掴み、全体重をかけて引く。

    動かない。

    持ち手を変えてもう一度。

    ついに動いた!
    あとはお腹にバーを当てて、元に戻らないようにバランスを取りつつ運んでいく。

    これも毎日マントラのように唱え続けた「Eat Meat」のたまもの。
    これで帰れる。

  • 2015.11.23
    Fairwell Party

    Fairwell Party

    2015.11.23

    夜、世話になったStählemühleのみんなを招いてフェアウェルパーティ。

    昆布出汁のスープに浮かべたロールキャベツ、こっちに来てすっかり気に入ったマーシュのサラダに牛肉のたたき、
    それとこのあたりの地粉で打ったうどん。
    うどん以外は大好評でみんな喜んで食べてくれた。

    みんなにちゃんとお礼を言いたかったけれど、案の定、ダンケダンケみたいなこと言ってお茶を濁してしまったので、ここにこっそり書いておく。

    Patrick, Thank you arranging our car , fix the car , exchange winter tires... all about our car! I'm also appreciate teaching care of animals. It's a good experience for my children to feed various animals.

    Lotta, Thank you for playing our children every time. You are the first friend of Mito and Saya. My family love you very much.

    Chrisitiane, Your bright smile gave us empowered us. I could spend everyday comfy cause you did all the clerical work.

    Otti, Your mantra "Eat meat Hiroshi!" changed me macho! I am super appreciate you to teach bad student patiently. Your work style - looking for something improvements anytime and enjoy everything - is impress me very much.

    And Christoph, Thank you for everything! I deeply appreciate you to give me such a precious oppotunity. I was happy more than anything else that I could touch the sense of beauty of you for three months. I am very excited to be able to work with you continually!

    あと、たまたま遊びに来ただけなのに、買い出し行ったりうどん打ったり、すっかり手伝ってもらった三浦さんにも感謝。写真もほとんど彼の撮ったものです。

  • 2015.11.22
    Bregenzwald

    Bregenzwald

    2015.11.22

    最後の週末なのでちょっと遠出。数度の修理を経てついに完治した(希望)、ポロでオーストリアのBregenzwaldへ向かった。
    ブレゲンツヴァルトは、文字通りBregenzというコンスタンス湖沿いの町から長いトンネルを抜けて、Wald(森)へと行った先にある。

    山沿いの道にはペンションやレストランがそこいらにあって、スキー客で冬は賑わうのだろう。シーズン直前の今は閉まっているところも多い。

    無骨一辺倒のドイツから来ると、民家も公共物もちょっとした洒落っ気があってうれしくなる。
    通りがかりに藤本壮介の手がけたバス停があったり、Peter Zumthorの建築による、伝統的な技術の展示・紹介や、職人間の交流を促すプラットフォーム施設、「Werkraum Bregenzerwald」なんてスペースもあったりする。
    「空気感(アトモスフェア)」の紹介ページや、建築過程の動画を見て期待していた分もあって、「地元の工務店、デザイナーによる家具や建具の展示100」みたいな今の展示内容にはちょっと肩すかし。


    宿の窓から見える山の緑が美しい。しかし、宿の主人は今晩からきっと雪が降ると言う。

    冗談かと思ったが翌朝起きたら果たしてこのような景色に。


    しかし田舎に暮らしても結局田舎を求めて旅をするのだから人間て。


  • 2015.11.22
    Guest from Good Meals

    Guest from Good Meals

    2015.11.22

    最後のお客さんは東京から、Tokyo Family Restaurant/GOOD MEALS SHOPのオーナー、三浦タケさん。

    香港で乗り継いでチューリヒまで飛行機で、そこから電車でさらに二時間。計約30時間かけて来てくれた。
    ジンや蒸留に興味のある彼は、来るなりクリストフを質問攻め。
    おかげで隣にいた僕もなかなか聞けないような突っ込んだ内容の話が聞けて役得でした。

    三浦さんとは歳も近くて活動している場所も近いのに、なかなかゆっくり話す機会がなかった。お互いが考えていることをこのタイミングで話せたのが嬉しい。
    数年後、一緒にできることもきっとたくさんある。そうなれるように僕が頑張らないとだ。

    人使いの荒い職場&家庭で、マプフェルの選別やら樽運びやら、色々手伝ってもらい恐縮です。

  • 2015.11.21
    Visit : METZLER

    Visit : METZLER

    2015.11.21

    Brazgenwaldに行ったのは、METZLER社を訪れてみたいと思ったから。
    Frank LeaderのTraditionシリーズのハンドクリームがとても使い良く、先日ベルリンで彼に会った時にどうやって作っているのか聞いたら、教えてくれたのがこのMETZLER社だった。

    Brazgenwaldの中腹、Eggという小さな町から山へと車を走らせ、民家もなくなった頃にモダンな建物がどんと2つ。
    体育館ほどの大きな方の建物からはヤギたちがこっちを見ている。
    案内してくれたのは、Magdalena Metzlerさん。まだ24歳。おじいさんが始めたMETZLER社の3代目の息子さんと結婚して、生後数ヶ月の娘がいる。

    ここではヤギを100数頭、乳牛を10数頭飼っている。太陽光発電を利用した冷暖房装置や、高い天井を活かした換気のシステムも整っていて、建物内はとても清潔。干し草の匂いのするほかは嫌な匂いもない。
    今の時期は寒いので室内にいるが、夏場は目の前の牧草地に昼間は放しているそうだ。


    長老のエルビス。100頭以上のメスに対してオスは4頭。頑張れ長老。

    絞った乳は、ダイレクトに隣の建物のタンクに運ばれ、チーズの製造工程へとすすむ。
    隣の建物がショップとチーズ工場。入ると床が透明になっていて、地下で乾燥中のチーズが見える。清潔な環境で高品質のチーズが作られている。
    作りたてのチーズはどれもフレッシュでおいしい。シェーブルチーズは臭いからって敬遠している人はびっくりすると思う。

    すっかり感心していたが、今日訪れた目的はチーズではなかった。


    チーズを作る際に、乳のうち使うのは10%ほどの主に乳脂肪分。残りの90%は、Molke(英語でWhey,日本語で乳清)と呼ばれる液体が残る。
    今までは廃棄されていたこのMolkeを使って、食品や化粧品を作るのがMETZLER社のもう半分の事業。

    そちらは、通りを挟んだもう一つの建物で行われている。
    食品は地元のフルーツを使った、粉末MOLKEジュースや、スープパウダー、
    化粧品は、ハーブやフラワーエッセンスを配合した、ローション、シャンプー・コンディショナー、石けん、バスミルクなど、体に身につける様々なものを作っている。



    乳清配合の化粧品は他でも作っていないわけではないけれど、動物の飼育から、チーズの生産、Molkeの加工まで一貫して行っているところはなかなかないように思う。
    循環の中から生まれた、無理のないプロダクトだから、声高に効果をアピールしなくても、こうして徐々に評価されているのだろう。
    自社で製造設備を持っているため、例えばビール会社が原料を持ち込んで、Molkeにホップをブレンドしたボディクリームを作る、なんてことにも対応している。
    この建物も手狭になってきて、来年には新しい製造ラインを稼働するための建物を建てるそうだ。


    蒸留する際に出る、ヘッドと言われる最初のオイル成分と、Molkeとを組み合わせたら何か面白いものができるんじゃないかなと妄想する。


    Metzler Käse-Molke GmbH
    Bruggan 1025
    6863 Egg Austria
    www.molkeprodukte.at

  • 2015.11.20
    Stählemühle tasting tour in Japan

    Stählemühle tasting tour in Japan

    2015.11.20

    Stählemühleのフルーツブランデー・ハーブスピリッツを実際に体験してもらえるイベントを長野・東京・熊本・千葉で開催します。
    Stählemühleで蒸留酒作りを行ってきた僕、江口宏志がその体験を語りながら、Stählemühleオーナーのクリストフ・ケラーとセレクションした銘柄をテイスティングして頂きます。
    各会場では、料理家やバーテンダー、調香師など各分野のプロフェッショナルの方にお願いし、特別なメニューを考案してもらいました。また、彼らとのトークは個人的にもとても楽しみにしています。

    「フルーツを味わうということを超えて、木の下で起こること全てがグラスの中にある。」と評されるStählemühleの世界を、日本で初めて体験してもらえる機会になります。ぜひお越しください。


    Place and Date / 開催場所・日時

    FIKA(長野・上田)
    December 8, 2015 (Tuesday)
    19:00-21:30
    FIKAのシャルキュトリーと編集者山村光春(haluta365)とのトーク。
    定員:30名
    価格:4,000円(税込)
    (終了しました。レポート。


    FOOD FOR THOUGHT (東京・富ヶ谷)
    December 13, 2015 (Sunday)
    11:00-13:00 / 14:00-16:00
    料理家 渡辺有子による料理とオリジナル・ドリンク。山本祐布子によるドローイング展示。
    定員:各回10名
    価格:8,000円(税込)
    (終了しました。レポート。


    Bar Benfiddich (東京・西新宿)
    December 20, 2015 (Sunday)
    15:00-17:00
    バーテンダー・鹿山博康によるオリジナル・カクテルとテイスティング
    定員:20名
    価格:3,000円(税込)
    (終了しました。レポート。


    YAECA HOME STORE (東京・白金)
    December 22, 2015 (Tuesday)
    12:00- / 16:00-
    料理家・細川亜衣による1日レストランのバーカウンターにて。
    価格:5,500円(税込)
    (終了しました。レポート。

    Chioben (東京・代々木上原)
    January 9, 2016 (Saturday)
    15:00-17:00/ 18:00-20:00
    料理家・山本千織によるStählemühleとのペアリングメニュー5皿
    定員:各回8名
    価格:6,000円(税込)
    (終了しました。レポート。

    Camellia(熊本)
    January 23, 2016 (Saturday)
    12:00-14:00
    料理家・細川亜衣による料理とフルーツ・ブランデーを使ったデザート
    定員:12名
    価格:8,000円(税込)
    (終了しました。レポート。

    APOTHEKE FRAGRANCE(千葉・若葉区)
    January 30, 2016 (Saturday)
    15:00 -17:00
    APOTHEKE FRAGRANCE代表との香りにまつわるトークと、テイスティング
    定員:15名
    価格:3,000円(税込)
    (終了しました。レポート。

    HOW TO APPLY / 申込方法

    先着順に受け付けいたします。
    ご予約は、r@hiroshieguchi.com 宛に、希望日程、名前、参加人数、連絡先を記載の上お申込ください。折り返しご連絡致します。
    ※12月13日開催のFOOD FOR THOUGHTはhttp://520fft.tumblr.com、12月22日開催のYAECA HOME STOREはhttp://www.yaeca.com/にて、受付します。

    Illustration by Yuko Yamamoto
    photos by Hideaki Hamada

  • 2015.11.19
    Family's Absinthe

    Family's Absinthe

    2015.11.19

    今日はアブサンの日。
    夏の終わりから、ずっと倉庫にニガヨモギが干してあって、いつ使うんだろうと思っていたのだけど、ついにこの日がやってきた。

    用意するのは、いつもよりもずっと小さな60リットルの樽をわずか3つ。念入りに湯で洗った後、丁寧に拭いて水分を取る。
    しばらく干して完全に乾いたら、その樽をいつも作業している蒸留所の前ではなく、ケラー家のリビングに運ぶように指示される。

    リビングには乾いたニガヨモギが一山あって、他にもハーブやスパイスが入った紙袋がそこかしこに置かれていた。

    このハーブ類の管理はクリストフの奥さんのクリスティナと、ガーデナーのゾニアの担当。
    Stählemühleのアブサンには、"Keller et Fils"(ケラーと息子たち)という名前が付いている。
    その名の通り、ケラー家総出でとりかかるのが決まりらしい。
    ニガヨモギ、ヒソップ、フェンネル等のハーブ類は蒸留所内のハーブガーデンで栽培され、夏の終わりに収穫されて、乾燥・保管される。アニス、スターアニス、コリアンダーシードなどのスパイスは仕入れ。
    それらを配合表に沿って計り、グラインダーで細かくするのが僕の役目。

    簡単そうだが、家庭用に毛が生えたほどの小型のグラインダーは、細かく調整できる代わりにパワーが足りず、特に脂分の多いジュニパーや、細かすぎるフェンネルの実はすぐに詰まってしまうので、粗さを調節しながら、ゆっくりと細かくしていく。

    配合は秘密だけど、元々は19世紀のレシピに基づいて、ハーブやスパイスの香りの質・その強さに応じて配合を細かく決めて、マセレート(抽出)する時間も原料で変えるなど細かい調整がされている。

    僕がグラインダーを操作する横で、クリスティナが他のスパイスの重さを計り、ゾニアがニガヨモギを茎と葉に分ける。
    部屋中がアニスの甘い香り、コリアンダーの懐かしい香り、ジュニパーの実の木っぽくも鮮やかな香り‥、その他ハーブとスパイスの混ざり合った甘苦い香りでいっぱいになる。

    アルコールに漬け込んだ今日の後の作業は立ち会えないけれど、この香りだけでも体験してよかったなと思う。

  • 2015.11.19
    Visit: Arnold Holstein

    Visit: Arnold Holstein

    2015.11.19

    蒸留機メーカーのArnold Holstein社を訪れた。

    蒸留機のポットの開閉口に誇らしげに彫られているこの文字を何度見ただろう。
    Stählemühleももちろんだけど、サンフランシスコのSt. George Spiritsに行った時もこの文字を見た。

    ボーデン湖のほとり、マークドルフという小さな町にArnold Holstein社はある。
    迎えてくれたのはVolkerさん。
    納品でアラスカのアンカレッジから戻ってきたばかりだという。
    工場というより巨大な工房といった趣で作りかけの蒸留機が大小ゴロゴロしている。

    40人ほどの従業員で年間200台もの蒸留機を作って、納品しているという。
    基本的な形はあるが、全てはオーダーメイド。

    世界一の規模じゃないの?って聞いたら、「I hope so.」とまんざらでもないようだ。

    蒸留機の光沢もすごいが、彼の自信もすごい。

    ポットの容量や構造、素材など、先方がやりたいことに合わせてデザインする。
    用途もフルーツブランデー、ジンやウォッカ、ウィスキー、日本の焼酎など、蒸留酒であれば何にでも対応できる。

    日本にもすでに数社の納入実績もあって、数週間前にも、福島にできたばかりのフルーツリキュール、ワイナリーに納品してきたという。
    日本の酒造免許の取得の際の設備条件、広島の美味しい店など、何でも知っている彼。

    カタログに、これはだいたい‥なんて言いながらリアルな価格を書き込んでくれる。
    隙がなさすぎてちょっとつらいがでも頼りになる人がまた一人できた。


    Arnold Holstein
    Am Stadtgraben 15,
    88677 Markdorf

  • 2015.11.16
    Plum Distillation

    Plum Distillation

    2015.11.16

    Drink Planetの連載、今回はプラムの蒸留のことを書きました。

    蒸留をやっている時に限って、こんな田舎まで突然税務署の人が抜き打ちでチェックしに来ることが度々あって、なぜなんだろうって思ってたのだけど、その仕組みがやっとわかりました。

    Drink Planet 「ドイツ蒸留所留学!日記[vol.03] -  ~蒸留にまつわるあれこれ~」

  • 2015.11.12
    Distillery Visit : Schladerer

    Distillery Visit : Schladerer

    2015.11.12

    蒸留所ツアー、次に訪れたのは、Schladerer
    クリストフ曰く、ドイツでもっとも美しい蒸留所とのことで、期待もふくらむ。

    Marderからブラックフォレストの山道をひたすら北上し一時間半、Staufenという趣のある町にある。
    というより、Schladererがその町そのもので、中心部にある白い外壁に囲まれた古い蒸留所が、町の雰囲気を決定づけている。

    着くまでに予定より時間がかかってしまって、約束していたマスター・ディスティラーのトーマスさんはすでに帰った後。取り次いでくれたショップの人と途方にくれていたところ、オフィスから降りてきた代表のフィリップが快く案内してくれた。

    Schladererは1844年に創業されて以来、シュラデラー一族が世襲していて、フィリップは6代目の社長。いかにも育ちの良さそうなやわらかい物腰と流暢な英語を話す好青年だ。
    スタッフは約50人。年間どれくらい作ってるか聞いたら、
    「うーん、8,000,000リットルくらい?正確じゃないけど。」
    って言っていた。そんな数僕にもよくわからない。

    でも確かにSchladererのボトルはこのあたりのどこのスーパーでもみかけるし、ドイツ以外にもアメリカや日本にも(主に製菓用として)輸出しているらしいから、相当な規模なのだろう。

    さて、重厚な建物の中に案内してもらう。最初に入った部屋には年代物の蒸留機が左右に5台づつ、計10台。それだけでも驚いているところに、これはフルーツブランデーのためだけのもので、次の部屋にはガイスト(スピリッツ)用の蒸留機が更に同じくらいあると、追い打ちをかけてくる好青年。

    ちなみに最初の写真は、蒸留所の隅で行っていた経日変化の検証。蒸留日の違うものを一日ごとに並べて違いをみているそうだ。


    奥の部屋には貯蔵タンクが並ぶ部屋。作りも素材もいちいち古めかしいがそれがいい。


    別棟には、果物を加工、マセレート(抽出)、発酵などをするための大規模な施設がある。
    以前釜石で日本酒の蔵元を見学させてもらったときもそうだったのだけど、タンクの上部に合わせて二階フロアがあって上から覗くように作業ができるようになっている。


    落ちたら発酵してしまう。


    出し入れは下から。

    これはもう、ちょっとした工場の規模。とはいえ蒸留所の中はちょうど一日の作業が終わったばかりで人はいないけれど、プラムの匂いが充満しているし、丁寧なものづくりの空気はしっかり感じることができた。

    ショップにはフルーツブランデーはもちろん、ブランデーが入ったチョコレートやちょっとした雑貨まで売っている。

    どうしても小規模で丁寧に作っているとこが善で、大規模なところは悪みたいな一元論的な考え方になりがちだけど、そういうことではなく、フルーツブランデーというものの捉え方の違いで、これはこれでありだなと偉そうに思いました。


    好青年すぎて写真撮らせてって言えなかった。


    Alfred SCHLADERER
    Alfred-Schladerer-Platz 1,
    D-79219 Staufen Germany


  • 2015.11.11
    Distillery Visit : Marder

    Distillery Visit : Marder

    2015.11.11

    滞在期間も残り少なくなってきて、他の蒸留所も見ておきたいとクリストフに相談したら、真っ先に紹介されたのがMarder

    今日は作業を休ませてもらって、蒸留所の見学ツアーに出かけた。

    Marderは、ブラックフォレストの南の端、スイスの国境からほど近いところにあるAlbbruck-Unteralpfenという小さな村にある。

    1953年に創業、2009年からは3代目のステファンが代表となって、2代目である父と家族とで経営しているごく小さな蒸留所だ。

    それでいて、生産量はStählemühleの数倍、そして約40種類のラインナップがあるという。
    アップル、梨、プラム、チェリーといった定番フルーツから、ヘーゼルナッツ、カカオといったナッツ類。変わったところでは、地元のビールメーカー「Rothhaus」と組んで、ビアブランデーなんかも作っている。

    蒸留機が二台あって、一台はフルーツブランデー用の300リットルのもの、もう一台の旧式の150リットルのものを使って、ジンとウィスキーも少量ながら作っているそうだ。

    蒸留所を見学させてもらうと、母屋を中心にして、コンパクトに必要十分な設備が備えられていることがわかる。

    まず母屋には2Fが家族の住居、1Fに蒸留機が設置され、隣にはショップ機能、ちょっとしたカフェもある。地下に降りると、上の蒸留機から直結している貯蔵タンク、ボトリングやラベル貼りをする作業部屋、そしてフィルトレーションと呼ばれるろ過、加水作業を行う部屋が連続してある。


    貯蔵タンク内までは課税前のため、中には税務署立会いがないと入れない。

    外に出ると、今度は運ばれてきた果物を加工する場所。傾斜地を利用して車から直接果実を運び入れて、下でマッシュされたものを受け取るようになっている。

    発酵させるための温度管理ができる部屋は使ってない時はガレージを兼ねていて、農機具などを置く大きな倉庫の一角でウィスキー樽が熟成中。といった具合。

    全てが無駄なくまとめられ、ほぼステファンさん一人で作業ができるように工夫されているのがわかる。

    「果物を提供してくれる生産者のことも、それを買ってくれるお客さんのことも知っている。そして作っているのは自分と家族だけだから、その循環の全てを自分はわかっている。」と彼は言う。
    顧客はほぼ95%はドイツ。一般顧客、レストランやバー、酒屋、でだいたい1/3ずつという配分。一部スイスに輸出することもあるが税制の関係もあって面倒なのだそうだ。

    一通り見せてもらったあとに、試飲させてもらう。同じフルーツブランデーなのに、Stählemühleとは全く方向性が違う。
    彼の素直さ、研究熱心さがそのまま蒸留されたような、素材そのままが味わえる純度の高い味がする。洒落っ気も複雑さもないが、これは一つの大きな個性だ。

    自分と家族でできる規模でここまでの完成度と個性が出せるのだから、蒸留ってやっぱり面白い。


    Marder Edelbrände
    Fichtenweg 5
    79774 Albbruck - Unteralpfen

  • 2015.11.9
    How to say it

    How to say it

    2015.11.9

    ここへきて一人で頭を悩ましているのが、Stählemühleで作っている蒸留酒を総称として日本語でなんと呼ぶか、という問題。

    まず最初に思いつくのは、ドイツ語でブランデーを意味する「Edelbrände(エーデルブランデ)」で、英語でいうBrandy。
    「果物を発酵させてアルコール化したものを蒸留したお酒」というような意味合いになるので、一般的なぶどう由来のブランデーからフルーツブランデー全般まで表現できる。でもこれでは全てをカバーできていない。

    というのは、Stählemühleで作るお酒にはドイツ語で「Geist(ガイスト)」という製法のものもある。
    これは「果物や植物をアルコールに漬け込んで成分を抽出したものを蒸留」する製法で、ハーブや果汁分の少ない果物を使うときに主に行う。
    元の成分の香りがダイレクトに表現できるので、チェリーなどは、EdelbrändeとGeistの両方作っていたりする。
    英語にするとSpirits。ジンやアブサンといったものも入り、指し示す範囲は広い。

    もう一つドイツには「shnaps(シュナップス)」という言葉もある。穀物などを発酵・蒸留したお酒を指す言葉だが、昔ながらのじゃがいもから作るお酒というイメージが強く、あまりいけてない。

    英語にすれば「Fruits Brandy(フルーツブランデー)」という言い方も一般的。ただ、フルーツブランデーという言葉では、果物由来じゃないものが表現できないというのと、日本では異なる意味合いの普及活動もあって、あんまり積極的に使いたくない気持ちも個人的にはある。

    そしてさらにややこしいのが、日本の酒税制上の「ブランデー」と「スピリッツ」の違い。おおまかに言うと、「ブランデー」は果物から作られた蒸留酒、「スピリッツ」は「(穀物から作られる)ウィスキー」または「ブランデー」以外の蒸留酒、という区分になっている。
    つまり、ドイツは製法の違いで「Edelbrände(ブランデー)」と「Geist(スピリッツ)」は分かれていたが、日本では製法は関係なく何から作られているかで名前が違ってくる。
    例えばチェリーから作られた蒸留酒は、製法がEdelbrändeでもGeistでも日本では「ブランデー」になる。しかし果実か果実じゃないかはけっこう曖昧で、今作っているサボテンの蒸留酒はスピリッツになるかもしれない。

    いずれにしても、Stählemühleで作るお酒は日本の酒税制上は「ブランデー」と「スピリッツ」の二種類になる。(そして輸入関税が全然違う。)

    翻ってドイツでStählemühleはどのように表現しているかというと、「Brände und Geiste」(ブランデーとガイスト)としてみたり、「aqua vitae(アクア・ヴィテ)」という呼び方をしている。aqua vitaeはラテン語は「命の水」を意味する言葉で、それが転じて蒸留酒一般を差す言葉としてヨーロッパでは使われているらしい。なんとなくいい感じではあるが、日本では馴染みがなさすぎる。

    結局のところ、クリストフに相談して、「Eau de Vie(オー・ド・ヴィ)」がいいんじゃないかということになった。
    フランス語で、元の意味としては、「aqua vitae」と同じく命の水という意味合いながら、蒸留酒一般を差す言葉としてある程度定着している。
    蒸留酒であれば材料も製法を問わないのも便利だ。

    というわけで長々書きましたが、とりあえず「Eau de Vie(オー・ド・ヴィ)」ということにしてみようかと思います。

    --
    2015年11月20日追記:
    と、思ったんですが、やっぱり「フルーツブランデー」でいいかなと思いなおしました。クリストフもいつもそう言っているし、そのほうがもちろんわかりやすい。
    上に書いたように、「フルーツブランデー」も「フルーツガイスト(スピリッツ)」も製法上はありえるわけだけど、日本での表記はどちらも「ブランデー」になるわけで、植物由来のものは「ハーブスピリッツ」と併記すればいいかと。
    一人で混乱して失礼しました。

  • 2015.11.7
    UDON-tzle

    UDON-tzle

    2015.11.7

    日本にいるときは週2は食べていたというのに、こっちに来てからはすっかり食べることもなく、特に欲することもなかったうどん。
    しかし、ついに体内貯蔵分が切れたのか、どうしても食べないわけにはいかなくなり、一家総出で踏んで、延ばして、切って、食べた。


    この辺の地粉で作ったうどんはちょっと硬いがそれはそれで歯ごたえがあっていい。

    しかしこれ、なにかに似てるなと思ったら、この辺のレストランで何か頼むとほぼいつも付け合せで出てくる、シュペッツレSpätzle)だ。
    恐るべし土地の力。

  • 2015.11.4
    Colors of Cactus

    Colors of Cactus

    2015.11.4

    今年初めて蒸留にチャレンジするというKaktusfeigen(ウチワサボテン)の果実が約280キロ、パレット一つ届いた。
    どこから届いたかというとメキシコ、ではなくシチリア島。
    シチリアのモロ・オレンジ(ブラッドオレンジ)を仕入れている栽培者から紹介してもらったという。コロコロとした見慣れない姿にみんなで盛り上がる。

    手頃なサイズ感につい手にとってみたくなるが、赤紫色の実の表面には細かい棘があって、素手で触ると棘が刺さりその後難儀する。
    半分に切ると完熟した濃紫の果実が現れた。ドラゴンフルーツを彷彿させる、すっきりとして上品な甘みがありとてもおいしい。


    驚いたのはマッシュした時。
    ピンク、紫、黄色‥、鮮やかな色が次々に現れる。

    これを一ヶ月間発酵、その後蒸留して作れるのは良くてもたった30-40本程度。
    でも今まで存在しなかったものが生まれる。こうしたチャレンジが、Stählemühleのオリジナリティを担保している。

    (最初の写真のみ濱田英明さんです)。

  • 2015.11.3
    Prepare for winter

    Prepare for winter

    2015.11.3

  • 2015.11.2
    2 months

    2 months

    2015.11.2

    Stählemühleに来て2ヶ月が経った。この間、果物の収穫をして、加工をして、ちゃんと書けていないけれど蒸留も何度かしている。
    蒸留についてあまり書いていないのは理由があって、Drink Planetの連載でもちょっと書いたけれど、
    クリストフがよく言うことがあって、それは「Distillery is just a proof」、つまり、蒸留は答え合わせという言葉。

    その前の段階でいいお酒ができるかは全て決まっている。だから事前の作業こそが大事で、そちらに作業のボリュームが占められていること。
    蒸留中の作業については蒸留機の温度調整などかなりの部分が機械化されていて、あまり僕が立ち入る部分がない、ということもある。
    まあそういうわけで今日もクリストフが難しい顔で蒸留機を眺めている横で、落ち葉を掃いたり、くるみを拾ったりしています。

    11月末に一旦帰ることになって、12月と来年1月には、東京、長野、熊本、千葉で、Stählemühleのフルーツブランデー・ハーブスピリッツをテイスティングしてもらえるイベントを企画中です。
    なかなか告知が出来ないのは、僕のひとえに怠惰ゆえですが、200種類超のラインナップから、12種類をクリストフと選んで、それを輸出しようと動いているのだけど、日本の輸入の手続きがとてつもなく面倒ということも多分にあります。
    銘柄ごとに必要書類を用意するのはもちろんだけど、検疫所への事前相談も電話かFAXのみでなかなか進まず、答えが来ればあらゆる成分に自主検査か証明書添付が求められているという気すらしてくる。
    本を輸入する時は、「雑誌か読み物か?裸はあるか?」くらいを口頭で聞かれる程度だったから、食品の大変さは段違い。食材を輸入するのがこんなに大変な世界とは。カルディでコーヒー試飲を素通りなんてこれからはとても出来ない。
    いずれにしてももう少々だけお待ち下さい。

    東京、長野、熊本、千葉。イベントの開催地は、将来の蒸留所探しの候補地巡りでもあって、いろいろと見て回りたいと考えています。
    フルーツブランデーの蒸留所に適した条件としては、フルーツが採れること、水がいいこと(できれば軟水)、そしてストーリーがあること。の3つが大切らしい。

    ストーリーがある、というのがなかなかな難しくて、例えばStählemühleは、以前水車を利用した蒸留所だった場所を入手した、というのがいいストーリーになっている。つまりはこの場所には元々蒸留に適した作物と水があって、さらにブラック・フォレストというフックになる環境もある。

    日本だとどこなんだろう。日本全国にいい場所はあると思うけれど、直感と出会いを大切にして色々見て回ろうと思っています。いい場所があればぜひ教えてください。

    (写真は濱田英明さんに撮ってもらいました。)

  • 2015.11.1
    Hama (da) vs Llama

    Hama (da) vs Llama

    2015.11.1

    写真家の濱田英明さんがイタリアでの仕事の後に遊びに来てくれた。
    子どもにも大人にも絶妙の距離感で近づいて、本人すら気づいてなかったような魅力的な表情を撮ってくれる彼をもってしても、空気を読まないことでおなじみのラマたちには勝てなかったみたいだ。


    今やみんなご存知、人気写真家の彼だけど、写真家になったキャリアはまだ3年程でしかない。急激に売れっ子になった彼には彼の悩みがあるらしく、何だか今回は詰問調だ。
    僕に聞いてもらちがあかないと思ったのか、次はクリストフを捕まえてあれこれ聞いている。

    彼の熱意に押されてか、それぞれがこれからやろうと考えていることや、何を一番大事にしているかってことを正直に語り合う。そんな話をすることっていつも一緒にいると実はほとんどなくて、こういう機会を作ってくれた彼に感謝。

    将来のことは誰だって不安だけど、立ちすくんでしまったら不安のまま。
    まっすぐじゃなくてもとりあえずは進んでいきたいものです。

October

  • 2015.10.29
    taken by Otti

    taken by Otti

    2015.10.29

    Since Otti bought new mobile, he took many photos of me and sent some.
    It is funny for me that I haven't seen myself so much..


  • 2015.10.28
    Breathing

    Breathing

    2015.10.28

    収穫された果物は、細かくマッシュした後、酵素とイースト菌を加えてさらによく混ぜる。
    いつもの青い樽に入れ、ふたにオレンジのキャップをつける。このキャップ、上のふたは水に浮かんでいて中の空気を外に逃す作りになっている。つまり呼吸ができるようになっている。

    そうしてふたをした後、倉庫で保管。
    倉庫といっても元農場の簡素な倉庫。温度調整のために入れられたオイルヒーター二台が健気に頑張っているため、ほんのりと暖かい。

    しかし耳をすますと、ポコポコと不規則な音がする。
    糖分を分解しアルコールとガスに変える、呼吸の音。


    一ヶ月程度発酵させた後、蒸留へと進みます。

  • 2015.10.26
    Juice factory

    Juice factory

    2015.10.26

    ちょっと時間があいてしまったが、マルメロのこの作業の続き。
    今日のために助っ人もやってきた。
    トータル3000キロ近いマルメロを蒸留所の前まで運ぶ。
    箱に一段だけ入れて高圧洗浄機で洗い、表面についた産毛をとっていく。

    これがなかなか大変で、高圧洗浄機から大きな音が出る中、びしょ濡れになりながらも、やっていることは足で箱を揺らしてマルメロをコロコロ転がす、というアンバランスな作業が午前中いっぱい続く。


    午後からは1000キロほどの緑色のマルメロを近所にあるジュース工場に持っていく。
    工場といっても見た目は大きな農家の倉庫といった趣。
    その場でジュースにしてくれるらしい。
    訪れた時にはりんごの作業中。外の入口の足元にあるプールに放り込まれたりんごは、地下を通る間に洗浄され、細かく砕かれる。

    りんごが一段落したところで、持って行ったマルメロをプールに放り込む。

    上に進むと波状にシートが重なったプレス機があって、そこの間を果肉が通るときにジュースの成分が絞り出され、それを集める。というのが大きなラインの流れ。

    この工場は自社でもちろんジュースを作っているが、近所の人はいつでも採れた果物を持っていけばラインに入れてもらえる。
    格安でジュースにしてもらえて、工場はラインの空き時間を有効活用できる。
    ジュースにした後の皮やカスは肥料になる。
    結局1000キロのマルメロは530リットルのジュースになった。

    その後、戻って黄色のアルメロは自分たちでマッシュ。匂いが強いので他の果物で使っているマッシュ機とは分けて、旧型のものを使う。果肉が硬く旧型の機械では太刀打ちできず、度々止まってしまう。

    ただ置いているだけでも香りがいいものだけど、マッシュすると更に強力な酸味と果実味があって爽やかな匂いがが一面に立ち込める。

    その後、先ほどのジュースと混ぜてよくよく混ぜて発酵させる。

  • 2015.10.25
    golf monkey

    golf monkey

    2015.10.25

    日曜日だけど、近所のゴルフ場で、ジントニックを出すバーをやってほしいとクリストフからお願いされて、家族とオティ、クリストフの娘のロッタと夕方のゴルフ場へでかける。

    クリストフがこのクラブの会員で年に一度彼がオーガナイズするトーナメントがあるらしく、今日がその日。

    ここには収穫でも何度か来たことがあるけれど、森の中にあって環境もよく、コース内にもたくさんの果樹の木も植えられていて気持ちのいい場所だ。ゴルフというとなんとなく敬遠してしまうが、こういう場所ならやってもいいかなとも思う。偉そう。

    さて、ジントニックバーだが、Monkey47のジンもスロージンも選べて、しかもフリーだというのに、コースを終えたメンバーには、ビールに押されてどうも旗色が悪い。

    しかし、徐々に人が集まりだすとジントニックも出るようになってきた。子どもや女性もけっこういて、カジュアルな感じでみんな楽しそうだ。

    こういう場所がコミュニティやネットワークを形成する場所になっているのかなと思ったけれど、クリストフに聞いたら、自分はただのスポーツとして楽しんでる。ということでそういうのを持ち込むのは嫌いのよう。
    でも、彼が司会もこなすエンターテイナーだというのがわかったのが今日の収穫でした。

  • 2015.10.24
    ima is ami

    ima is ami

    2015.10.24

    設計事務所imaの小林さん、マナさんの二人が、フィンランド出張の帰りに遊びに来てくれた。

    二人は、僕が以前渋谷の片隅で飲み屋をやっていた頃に知り合ったからかれこれもう15年くらいになる。
    その後、お店や事務所のインテリアデザインをやってもらったり、毎年一緒に泊まりがけの忘年会をしたり、仕事も生活も関係なく大変お世話になっているのだけど、節目節目で二人のポジティブな後押し力のおかげで僕はずいぶん助けられてきたなあと思う。そういう人きっとずいぶんいるんじゃないかな。

    僕がやっていたお店にもイベントにも必ずと言っていいくらい二人は来てくれて、マナさんは直感的にいいねって言ってくれるFacebookが具体化したような人だし、小林さんはじっくり話を聞いて考えて、ええなあって言ってくれる。

    今回も僕が今やっていることを二日間じっくり見てもらって、一緒にStählemühleの作っているお酒を飲んで、すごく楽しんでくれたように思う。
    二人が気に入ってくれればたいていのことはうまくいうのは今までの事例で証明済みだ。あとは僕が頑張るだけ。

    最初の写真は、帰りにチューリヒ空港に行く前に一緒に寄ったシャフハウゼンの街並み。イメージするスイスっぽいスイス。


  • 2015.10.23
    Nutcracker Family

    Nutcracker Family

    2015.10.23

    ひたすら拾い、ひたすら割る。くるみ割り家族。

  • 2015.10.22
    tractors

    tractors

    2015.10.22

  • 2015.10.21
    unknown roots

    unknown roots

    2015.10.21

    何やら見慣れない木の根が袋いっぱいに届いた。高圧洗浄機で根に付いた土を取ると、皮の一部も取れて、バニラのような甘い香りが立ち上る。
    このMeisterWurzなるもの、白い小さな花が立体的に重なったこの辺りではよく見かける種だけど、日本だとなんというのかわからない。

    こういう時はまずドイツ語でWikipediaを調べ、左のメニューに日本語があればそれを見ればいいのだけど、今回はない。
    英語はあるので、英語のWikipediaを表示、タイトルの「Peucedanum ostruthium+日本名」くらいのキーワードを入れて調べる。って流れ。
    結果、「カワラボウフウ」というセリ科の植物が近いようだ。ボウフウの根には独特の香りがあって、漢方薬や養命酒などにも使われているらしい。

    その後、MeisterWurzは砕いてアルコールに浸け蒸留し、スピリッツにします。

    養命酒とStählemühleのスピリッツが同じものからできてるとは。洗練て大事。長生きも。

  • 2015.10.19
    Distillery is just a proof.

    Distillery is just a proof.

    2015.10.19

    DRINK PLANETの連載「ドイツ蒸留所留学!日記」の二回目が更新されています。
    今回は収穫した後の話。
    この時に採った、Vogelbeer(rowanberry)の加工方法について書きました。

    -
    ドイツ蒸留所留学!日記 [vol.02] - ~蒸留は答え合わせ~ 

  • 2015.10.18
    fallen leaves

    fallen leaves

    2015.10.18

    すっかり落ち葉に覆われたStählemühle。
    集めて拾って運んで(そして散らかして)くれるアシスタントたちのおかげでなんとかやっています。

  • 2015.10.17
    klein oder groß

    klein oder groß

    2015.10.17

    大きすぎるソーセージ、小さすぎるキウィ。
    極端なのも悪くない。

  • 2015.10.17
    Curled roof

    Curled roof

    2015.10.17

    このあたりの大きな農家の屋根の端が、なぜか外向きにカーブしている。
    ちょっと町の方に行くとほとんど見ないから、この地域独特のものかもしれない。

    何でだろうと考えると、おそらくだけど、
    冬は雪が降るから屋根の角度は急にしたい。その一方で、農機具を置いたり作業をしたりするので、軒下は広く取りたい。でも、軒下に柱があるのは邪魔だしカッコ悪い。
    そんな3つの問題を解決するために、この外向きカール屋根はできたんじゃないかと思う。


    これが、


    こうなって、


    こうなった。

    でも、すでに軒下の役目は果たしていないし、雪が積もらないくらい小さなサイズでもカールしてたりするから、ほぼ意匠化している。

    けっこう気になって見ていたのだけど、もう見過ぎててしまって、今やこれくらい微妙なカールにぐっときたりする。

    しかしこの形、何かに似てるなあとずっと思ってたのだけど、これだ

  • 2015.10.16
    yellow or green

    yellow or green

    2015.10.16

    ナシが終わったと思ったら、突然やってきた Quitte(マルメロ)ブーム。
    蒸留所の木は黄色に実り地面に落ち、近所の人からどんどん持ち込まれ、農家からはどっかり仕入れ。
    たった2日でゆうに3000キロは集まった。
    倉庫中に甘い香りが充満している。

    マルメロには果汁分が少ない。
    そこで、熟した黄色いものはマッシュしてまるごと使い、黄緑のまだ硬く果汁分が少ないものは近所のジュース加工場に渡して、ジュースにしてもらってから戻してもらうという。

    「というわけなんで、黄色いマルメロと黃緑のマルメロに分けて」ってお願いされるも、これが難しい。
    黄色と黄緑って一つながりの色だし、同じ実でも見る場所によって色が違ったりする。

    まずは明らかに緑のものを除けていく。その次に明らかに黄色のものを除ける。
    ここからははっきりいって気持ち次第。黄と思えば黄、黄緑と思えば黄緑。一緒に作業やっている人の意見にも左右されるので、なかなか定まらない。


    これが黄色。


    これが黄緑。どうでしょう?


    ようやく選別し終わったものの、実には桃の産毛のようなものがついていて、脂肪分が多く味にも影響がある。
    この産毛を全て洗い流してからじゃないと、加工には進めない。

    というわけでこの項続きます。

  • 2015.10.15
    Shut up and Work

    Shut up and Work

    2015.10.15

    ナシの今シーズンの収穫が終わった。この日から採り始めたから、約一ヶ月間。計7500キロ。7.5トン。
    オティと二人で色んなとこ行って、色んなナシを採ったなあ。
    今日は最後なので嬉しくて、子どもたちも連れて出かける。


    ナシはりんごと違って柔らかいので、落ちた時の衝撃ですぐに傷んでしまうし、そこを目掛けてハチが群がってくる。
    収穫する時は常にハチとの戦いで、手にするまでハチがいるのに気づかなくて、けっこう射されたりもする。
    最初に射された時はあまりに痛くて、その日の夕方に薬屋(Apotheke)に行って塗り薬を買った。

    次の日、「ハチに刺されたから薬屋さんいってさあ。」って話をオティにしたら、
    「なに!ヒロシはハチに射されたくらいで薬屋なんて行くのかよ。ア、ア、アポテ〜〜ク(笑!!」
    ってえらいバカにされて、それからは、必ず手袋をするようにして、射されても我慢して言わないようにしていた。

    まあそんなことも今日でおしまい。

    収穫の時は、ハーベストカー2号(プジョーのBOXER)を横付けして、ラジオを大音量で流しつつ、地面に這いつくばって採るわけだけど、決まって流れる曲があって、あまりにダサくてすっかり覚えてしまった。

    もはやダサすぎて好きというか、曲に合わせて「Shut up and Work!」って歌いながら作業すると、すごくはかどります。


    Youtubeで探してみたけど、とても最後まで見れたもんじゃない。

  • 2015.10.14
    wine like a bread

    wine like a bread

    2015.10.14

    スーパーの果物売り場に、見慣れない飲みものが入ったガラス瓶があって、手にとって見ていたらフタがちゃんとしまってなかったのか、中の液体が床にこぼれてしまって、慌ててその場に戻して逃げてきた。(すみません)

    その時はちゃんとフタが閉めてない方も悪いよね、そうだよね。ってことで自分の中では解決していたのだけど、その後、ベルリンの知人の家で「この時期にしか飲めないワイン飲みます?」って出てきたのが、まさにこれ。

    Federweißer(フェーダーヴァイサー)という、つまりは発酵途中のワイン。瓶の中でも発酵が進んでいるため、フタも完全に閉めていないというわけだ。
    発酵しきれてないから糖分がまだずいぶん残っていて、デザートワインように甘いけれど、これはこれで美味しい。

    たまに寄る酒屋にも、外に量り売りの樽が出ていて、聞いてみたらこれもフェーダーヴァイサーだった。

    クリストフにアップルワインができたから持っていく?、って言われて、色気のないポリタンクを渡される。これは恐らく、蒸留のために発酵させているりんごの、途中のものをすくったもの。なんか濁っているしイースト臭が若干あるもこれは確かにお酒だ。

    キルシュのワインというのも頂いて、こうなると何でもワインになってしまうんだなと感心してしまう。

    なんとなく、ワインといえばぶどうで、お酒といえばしっかり瓶詰めされて店頭に並んでいるもので、って思いがちだけど、糖分があるものが発酵すれば、自然とアルコールが出来て、それはワインともいえるものになる。

    それはまるでパンのようだ。

  • 2015.10.13
    Egal

    Egal

    2015.10.13

    相変わらずちっともドイツ語が覚えられないのだけど、毎日耳にしていると、なんとなくわかってくる単語もある。

    アイマー(Eimer/バケツ)、キステ(Kasten/箱)、ファス(Fass/樽)...つまり毎日使っている入れものだったり、
    アプフェル(Apfel/りんご)、ビーネ(Birne/洋梨)、クイッテ(Quitte/マルメロ)‥って毎日採ってる果物だったり。

    そういうのは別にして、僕が気に入っているのは、エガール(Egal)という単語。
    日本語にするのは難しいのだけど、「まあ君が自分で判断すればいい。」みたいな意味だと思う。
    僕が「この木とこの木とどっちから収穫しようか?」って聞いたり、「これ手で運ぶより楽だからトラクター使ってもいい?」みたいに聞いた時に、「エガール」って言われることが多い。

    「別にどっちでも」みたいな投げやりさとも、「Up to you」みたいな相手に任せちゃうような感じとも違って、主体的な判断を求めるようなニュアンスがあって、けっこう好き。

    あとは、「オーケー、アレスクラ。」(Alles klar/Alright)って言って電話切るのも、とりあえず全部解決した気になっておすすめです。


  • 2015.10.12
    grape hunter

    grape hunter

    2015.10.12

    ブランデーといえば、コニャックにしてもアルマニャックにしても、グラッパにしても、一般的にはぶどうが原料だけど、Stählemühleでも、いくつかのぶどうからブランデーを作っている。(他が多すぎてあまり重視されていない感はあるけれど。)
    使う品種は主に、シャンパンにも使われる黒ブドウのピノ・ムニエ。あとはマスカット、マスカットの混合種のMuscat bleuから作られる銘柄もある。
    樽熟成をしないため、一般的なぶどう由来のまろやかなブランデーとは一線を画したシャープでフレッシュな香りが特徴で、なかなかいい。

    BRUTUSを見てたら、ぶどうの栽培方法は、生け垣のようにぶどうの木を並べる「垣根仕立て」か、藤棚のように上から実がぶら下がる「棚仕立て」か、みたいな文があって、そういえばここでのぶどうの収穫を書いてなかった。

    Stählemühleのぶどうの栽培方法は、同じように名前をつけるなら「壁仕立て」。カッコつけて言ったものの、つまりは家の壁に生えている実を採らせてもらう、というスタイル。

    このあたりの大きな農家の家ではたいてい、家の壁を覆うようにぶどうのつるが伸びていて、手入れが出来ない人は放りっぱなしになっている。
    そこで僕たちの出番。例によって、首からかごをぶら下げてはしごを上り、壁に張り付くようにして収穫する。

    ここまでくっつかなくてもいいんじゃないかと思うけれど、外からは見えなくても内側に実がなっていることが多くて、自然とこういうことになる。
    収穫したぶどうの量に応じて家主には代金をお支払いし、壁もすっきりする。なかなかいい取引じゃないか。

    中から見るとこうなる。

    時には収穫したぶどうを売りに来てくれる人もいて、そういう人にも重さいくらで買い取る。

    10キロと1キロの重りが吊り合うように調整したはかり。

  • 2015.10.11
    Sunday 3

    Sunday 3

    2015.10.11

  • 2015.10.10
    Happy Birthday Mito

    Happy Birthday Mito

    2015.10.10

    左から4歳の誕生日、去年のクリスマス、5歳の誕生日のプレゼント。

    なんだろうこの執着。


    そしてちょっと目を離すとバラしてる妹。

  • 2015.10.9
    safety arrived

    safety arrived

    2015.10.9

    献本やら送本やら一緒に送ってくれたオススメ本やら、明里が来た時にお願いしていた本やらで日本語の本が一気に増えた。わざわざananの美乳特集までお送りいただき恐縮です。自分宛てに荷物が来るのがこんなにうれしいとはね。

    翼の王国 10月号』、「感じる曲げわっぱ」というタイトルで、秋田県大館市の曲げわっぱ職人3方を取材、執筆しました。三者三様の曲げられないこだわりポイントがあって、その違いがうまく書き分けられてるといいけど。写真は小野田陽一さん。相変わらず青い。

    BRUTUS No.810』、ヘネシーのタイアップページで恵比寿のワインバー、Waltzの大山さんと対談しました。開店前の人気店を独り占めのもったいないい時間でした。日本のワイン、盛り上がってますね。

    nice things. 11月号』で、「ずっと持っているもの」を取材してもらいました。確かドイツにくる前日が取材日で着るものもなく、ありえないほど短パンでベッドに座ってる写真が、とても小さく使われています。

    IDEA No.371 : アイデアのアイデア』は、宗くん、古賀さん渾身の一冊。こんなに字の多いデザイン誌がこれまであっただろうか。うれしくてちびちび読んでます。

    『あなたを選んでくれるもの』。ものを通じてその人を語るというある意味ありきたりなことをこうもフレッシュに表現できるのは彼女のナイーブな視点があるからこそ。
    Kさんが翼の王国と一緒に送ってくれた『鳩の撃退法』も下世話過ぎてこの地では最高です。
    『職業としての小説家』は、先日の「村上さんのところ」を熱心に読んでいた身としては、すでにどこかで読んだような話が多くて、一人の人間が自分を語るちょっとした限界を感じました。

    それでは原稿依頼もただの送本もお待ちしています。

  • 2015.10.8
    Swiss price

    Swiss price

    2015.10.8

    ベルリンから飛行機でチューリヒ空港へ帰ってきて、空港に隣接する駐車場へ向かう。
    丸4日間停めていたポロ。トラブル続きだったが、ここ数日調子がいいので気を抜いていたのが良くなったかのかも知れない。

    当然のようにエンジンがかからない。ライトもつかない。
    つまりバッテリーが上がっている。

    他の車にバッテリーを繋がせてもらってエンジンかけたいところだけど、困ったのは人っ気がないこと。
    平日の朝の巨大駐車場には出し入れする車もなく、ゲートも無人。上にも下にも事務所のような場所もない。
    徹底的に人間の排除された空間。

    なんとか駐車場の精算機にインターフォンのマークを見つけ、ボタンを押して通話に成功。
    出た女性に相談するも、私にはどうにもできないからこの番号にかけてみてと案内される。
    その番号にかけると、よくあることのようで、すぐに車を向かわせて対応できる。
    ただし、130スイスフランかかるという。
    辺鄙な場所でもなく、空港の駐車場で、15000円!

    ちなみに、駐車料金は4日間で110スイスフラン。

    しかし背に腹は代えられない。
    お願いすると、5分で来て、5分で繋いで、3分でカード切って帰っていった。

    出ようとしたら今度は駐車券を失くしてしまっていて、またインターフォン越しに対応してもらう。
    あれしてこれしてこのボタンを押して、って妙に親切にしてくれるからもう嫌な予感しかしないのだけど、案の定再発行するのに、20フランかかった。この時間2分ほど。

    物価が高いと言われるスイスだけど、結局のところ高いのは人件費で、スイスで何か人間にサービスを受けるときは、1分10フラン(1200円)かかると思っていたらいい、というのが今日の教訓。

  • 2015.10.7
    Artists' house

    Artists' house

    2015.10.7

    ベルリンでは何軒か友人の家におじゃまさせてもらった。

    小金沢健人さん家、Ryu Itadaniくんの家、SHUKYU MAGAZINEの伊藤耕平さんの家。

    どこの家でも男たちが料理をしておもてなしてくれる。

    住む場所も、建物の感じも、インテリアも、どこかそれぞれの作品とリンクしていてなんともいい感じだ。


    都会に暮らすって大変なこともたくさんあるけどやっぱりいいよなあと改めて思ったよ。

  • 2015.10.6
    Bar Convent Berlin

    Bar Convent Berlin

    2015.10.6

    Bar Convent Berlinへ。
    お酒の中でもバーで飲まれるお酒や道具に特化した展示会で、5年前に50社ほどではじまったものが、今年は300社を超える参加だというから、盛り上がっているフェアなのだろう。

    クリストフがメイン・ディスティラーを務めるMONKEY 47も参加していて、勉強になるから来てみたらと誘ってもらった。


    フェアを見渡すと、ビールやウォッカやジンからはじまったクラフト系の流れは、ヴェルモットやビターといったリキュール類や、コーラやトニックウォーターといったものにまで波及していることがよくわかる。

    素晴らしいものもたくさんあって、例えば、ドイツのツァイトヴェルクでフルーツブランデーを作っているSchladerer、デンマークの男性が一人でつくる極小ウォッカブランド、Den Klodsede Bjørn vodka、30種類を超えるというメスカルの原料アガペを使い分ける、メキシコのMarca Negra、シュナップスと同じフルーツから香りも作っている、洗練されたボトルがスイスっぽいHumbelなど、どれも味もさることながら、そこにいる人と話せば真摯に作っていることが伝わってくる。

    とはいえ、やっぱり展示会は展示会というかどうしても見た目重視のプレゼンテーションになりがちで、どこも、趣向を凝らしたブース、洒落たボトルのデザイン、そしてちょっとしたストーリーがついてくる。
    それが悪いことではないのだけれど、こうもどれも同じだと白けてしまう。
    特にジンについては飽和感がすごくある。コッパー製のボトルなんて必要ある?

    最後にクリストフと一緒に会場を回って、真似っ子を表す単語をたくさん聞けたのがいい英語の勉強になりました。
    copycat,plagiary, pastich, painful, no idea...。

  • 2015.10.5
    Jewish Museum Berlin

    Jewish Museum Berlin

    2015.10.5

    久しぶりのベルリン。ベルリン・ユダヤ博物館へ行く。

    入口がわからず往生するが、隣のコレギエンハウスから入ると、地下からトンネルを抜け、元々は東西ドイツの壁があった場所に建てられた、ダニエル・リベスキンドのジグザクな建物へと続くようになっている。
    地下には3つの長い通路があり、ドイツからの亡命を象徴する「亡命の軸」、ドイツの歴史の中での継続性を象徴する「持続の軸」、これらを横に貫く「ホロコーストの軸」が組み合わさっている。

    冒頭の写真は「ホロコーストの軸」を抜け、外へ出た先にある高い壁に囲まれた空間。上部に切り取られた壁の一部から覗く光をただ見つめるしかない。

    しかし、展示の本分は「持続の軸」の先にあって、ドイツにおけるユダヤ人の歴史をただただ解説する展示が続く。オーディオガイドで150箇所以上のポイントがあったから相当なボリュームだ。
    古代からナチスの迫害を経て現在までのユダヤ人の歴史を淡々と解説する展示には強い説得力がある。

    戦争責任といえば、謝罪するかしないかという軸でしか語られないように見える国がある一方で、徹底的に語るというやり方でその責任を果たすというやり方もあると思った。

  • 2015.10.4
    Lead to zeppelin

    Lead to zeppelin

    2015.10.4

    ボーデン湖(コンスタンス湖)のあたりを車で走ると、決まって飛行船が飛んでいる。
    何かの広告かと思っていたけれど、どうもそっけない。

    調べてみると、飛行船(ツェッペリン)を発明したツェッペリン伯爵が作ったツェッペリン社という会社があって(ややこしい)、その会社がこのあたりにあるらしい。

    つまり、この飛行船は何かを宣伝しているわけではなくて、飛行船そのものを広告しているわけだ。
    そして飛行船には乗ることができる。ちなみに30分で220ユーロ。

    わかってしまうと特に面白くもない話だけど、書いちゃったのでアップしてしまう。

  • 2015.10.3
    horse beauty

    horse beauty

    2015.10.3

    Eigeltingenからちょっと行った先に乗馬施設があって、今日は年に一度の大会が開かれる日。
    行った時間が早くて、大人の部の前の子どもの部が行われていた。
    ルールもわからず見ていると、言われたとおりに回ったり走ったり止まったりしてその正確さを採点する、というものらしい。

    馬も乗っている子どもも精一杯おしゃれして懸命に乗りこなす姿があまりに素敵で、つい撮りすぎてしまった。

    今日の大会には出ていないけれど、クリストフの娘のロッタも乗馬をやっていて、SKYという馬を飼っている。
    このあたりでは乗馬をやるということは馬を飼うということとイコールらしく、週に何日かは厩舎に行って世話をしているみたいだ。

    馬の尻尾をポニーテールにしてる人いた。

  • 2015.10.2
    Be Quiet

    Be Quiet

    2015.10.2

    3本の木に、真っ赤に色づいたVogelbeer(rowanberry)の実がたわわになっている。

    はしごに昇り、この実を採るのが今日の仕事。
    4,5mもある高さの木にはしごをかけて昇るのはちょっと怖いけれど、慣れればまあなんとかなる。

    問題は、ここがゴルフ場の中。しかも湾曲したコースのちょうど真ん中あたりにあること。
    どういう契約になっているのかよくわからないけれど、ゴルフ場に入らせてもらって、生えている木になった実を収穫してもらうことになっているらしい。

    平日とはいえコースに出ている人はそれなりにいて、ショートカットを狙ってなのか、単にヘタなのかは不明ながら、僕がいる木に向かって打ち込んでくる人がいる。
    特におばちゃんゴルファーは容赦がない。彼女が見ているのは木の向こうに見えるグリーンだけ。
    時に脇を通り過ぎ、時に木に当たるボールをかいくぐり、ツァックツァックと100キロの収穫。

    ちなみにこのVogelbeerから作るブランデーは、Stählemühleの中でも特に高額なもので、理由はこの収穫の危険さ分も多分にあると思われます。

  • 2015.10.1
    she at work

    she at work

    2015.10.1

September

  • 2015.9.29
    here she comes

    here she comes

    2015.9.29


    3 hours delay , 12 hours flight , 2 hours waiting.
    Here comes Akari finally!

  • 2015.9.28
    One month

    One month

    2015.9.28

    一ヶ月が経った。
    初日と格好変わっていないように見えて、実はふたりともオーバーオール新調しています。
    すっかりオーバーオールの楽ちんさが気に入って、Yarmoの通販で購入。
    今いるところには物理的なものは何もないけど、今まで日本には発送できないから諦めていたヨーロッパのECサイトで買えるのが元通販マニアとしては楽しい。次はManufactumにいきたいところ。

    日々の行為と妄想(©梅棹忠夫)はこのサイトでできるだけ書いているつもりだけど、StählemühleのFacebookページで「Hiroshi's Diary/蒸留所の見習い、ヒロシの日記から」なるシリーズも始まったので、もし興味あればそちらもいいねして覗いてみてください。
    僕がドイツ語のテキストを書いているわけではなくて、クリストフに写真を渡して、彼が僕のサイトを見ながら書いてくれています。クリストフから見た僕の日常というか、こういうことを学んで欲しいってことが書かれている。ような気がする。

    クリストフとは何度かゆっくり話す機会も持てて、僕がやってみたいこと、これから一緒にできそうなことなどが見えてきた。
    12月に帰った時のことや来年のこと。
    まずは日本で今作っているものを飲んでもらえる機会が作れるといいなと思っています。

    --
    One month has passed since I came to Stählemühle.
    We wear new overall pants not same as a month before.
    Me and Christohp are talking about what I do next. - After we go back to Japan December and after that.
    I hope to make a chance to drink Stählemühle in Japan at first..

  • 2015.9.27
    Sunday 3

    Sunday 3

    2015.9.27

    Black Forest cake, Spirit of forest, Feldbergkirche

  • 2015.9.26
    Draw the distiller

    Draw the distiller

    2015.9.26

    今保管している果物たちの発酵が終われば、いよいよ蒸留がはじまる。

    Stählemühleにある蒸留器は、Arnold Holstein社で作られた、銅製の美しいものだ。
    ポットの容量は150リットル、恐らく商業的な規模としては最小サイズながら、その分隅々までこだわった作りになっている。構造やデザインもクリストフがアイデアを出しながら作ったオーダーメイド的なものらしい。

    週末にクリストフが行った蒸留に立ち会わせてもらった。
    しかし、肝心の蒸留機の仕組みがよくわからないので、話がちゃんと理解できない。
    そこでこっそりメモを取っていたら、クリストフが色々と書きこんでくれて、これが冒頭のメモ。
    もともとの絵が意味不明なのにさらに色々加わり、結果なんだかわからない。

    これを日本語にすることで、自分なりに理解していきたい。
    他の人がみてもよくわからないと思いますが、あまり気にしないで大丈夫です。

    1. ポットスチルに入れられたアルコール度数30%程度の原料は、加熱され、アルコール分を含んだ蒸気が上から棚段式蒸留塔に送られる。ポットスチルの上段には原料をセットできる棚があり、そこを蒸気が通る際に香りが加えられる。
    2. 棚段式蒸留塔は文字通り、途中に5段の棚が設けてあり、それぞれの段が1個の蒸留装置になっている。温度が上がって軽くなった蒸気は棚段に空いた穴を通って上の段に上がって行き、一方、棚に溜まった液は棚のフチから、下の段に降りて行く。
    下に降りた蒸留液は再度蒸留され、また一定量以上の液はポットスチルに戻される。
    棚段式蒸留塔は全段使うわけではなく、フルーツブランデーの場合は3段ほど使うことが多い。
    3. 昇った蒸留液は背面にある充填塔に収納される。蒸留塔では濃度の高いアルコールに最後の香りづけを行うこともある。
    4. 冷却塔を通り、アルコール度数80数%になった蒸留液が口から出てくる。
    5. 初留分と後留分は成分が異なるため中留分とは別に分ける。初留分は香りの成分がより多く含まれるため、再度蒸留する際に使用したり、別商品にすることもある。

    これに蒸気の流れ、原料の流れ、冷却する水、洗浄する水の流れが加わるとわかりやすいのだけど、今のところ曖昧なところもあるのでそれはおいおい。
    -
    I draw the distiller in order to understand the structure of this.
    Writing/reading in Japanese is good help understanding everything for me...

  • 2015.9.25
    Fog morning

    Fog morning

    2015.9.25

  • 2015.9.24
    chestnut identity

    chestnut identity

    2015.9.24

    蒸留所に見慣れない実がなる、一本の木がある。
    こぶしくらいの大きさに、やる気のなさそうにまばらに棘があって、触られたいのか触ってほしくないのかよくわからない。

    その実が日に日に大きくなって、ある日地面に落ちてきた。
    割ると中から栗のような実がいくつか出てきた。

    栗のようだがどこか違和感がある。
    それは栗のヘタ、というか、フタというか、尻というか薄茶のザラザラした部分の位置が定まってないこと。

    ささいことなのにどうしても栗には思えない。栗の栗らしさって意外とこんなところにある。

    (ちなみにこの木、Horse-chestnut、セイヨウトチノキの木でした。)


    There is a tree having strange nuts in Stählemühle.
    This nuts looks chestnut but something incompatibility- the position of seat is various.
    I guess identity of chestnut is this part... (after all this is Horse-chestnut)

  • 2015.9.23
    Wash and Mash

    Wash and Mash

    2015.9.23

    今まで収穫のことばかり書いてきたけれど、実はというかもちろん次の作業がある。
    それはマッシュだ。
    できるだけ細かくして、発酵させたり成分を抽出したりしやすくするのが目的。

    果物は、枝から採られ、フカフカの地面から取り上げられた瞬間に劣化が始まる。
    手段は選ばない。とにかく素早く、とにかく細かくする。
    だから、たいていは採ったその日にマッシュまで行う。

    マッシュするための一連の機械。
    洗って、昇って、粉砕。
    りんごや梨など大きくて硬い果物に使用する。

    マッシュされたりんご。
    見た目はあれだけど、辺り一帯にりんごの鮮烈な香りが立ち上がる。

    マッシュした果物は発酵ものは酵素とイーストを加え、さらにハンドミキサーが巨大化したような機械で混ぜ、しばらく発酵室で保管します。
    (抽出ものは、アルコールに漬け込みます。)

    --
    The next step after harvesting is mashing fruits.
    Avoid deterioration, We should mash them as asap.
    Big wash and mash machine is used for hard fruit- apple and pear.

  • 2015.9.22
    Car for her

    Car for her

    2015.9.22

    近所のおばあちゃんが二人でりんごを採っている。
    僕も毎日やっているからわかるけれど、点在するりんごを腰をかがめて拾っていくのはとても疲れる作業だ。

    しかし、彼女たちには秘密兵器があった。

    りんごを採るための手押し車。

    前に進むと、ドラムに付いた針がりんごを差し、かごのところに来ると自然とりんごがかごに落ちる仕組み。
    自転車と手押し車のパーツを組み合わせて作ったような構造もすごくいい。

    This is German traditional car(tool) for harvesting apples.
    It looks combine of wheelbarrow and bicycle parts. nice!

  • 2015.9.21
    Firefighter

    Firefighter

    2015.9.21

    Stählemühleで火事があった。
    ラマの小屋の干し草から引火、建物が倒壊したところにいた僕が、落ちてきた木に挟まれ動けなくなった。
    しかし、通報によって駆けつけた地元の消防隊員によって間一髪救出され、その場で応急処置を受けた。

    ...という設定で、今晩、防火訓練が行われた。

    消防団の人たちは地元のボランティアなので、仕事の後、すっかり日が暮れた後から訓練がはじまる。
    Stählemühleのある場所は、2つの村のちょうど間に位置するので、2つの村から2台の消防車がやってきた。
    訓練とはいえ、皆ファイヤーマンコートに身を包み、見た目はなかなか立派。
    集まったのは総勢20人ほど。この間のムフラーさんもいる。

    僕はといえば、ラマ小屋で横たわり救助を待つ。
    合図したら叫んでって言われて、なんて言っていいかわからず、
    「Help me!! I can't speak Germany!!」と連呼。
    だいたいいつもと言っていること一緒だ。

    終わった後は、皆にりんごと洋梨とシトラスオレンジのフルーツブランデーを飲んでもらい、作業を労う。
    こういう形でコミュニティが形成されている。

    --
    Fire practice held at Stählemühle at night.
    About 20 firefighters by local volunteers trained in case of fire occured and someone injured (it's me!) .
    After the practice, they drunk a shot of Stählemühle fruit brandy. I guess it helps sustain local community.

  • 2015.9.20
    Sunday 3

    Sunday 3

    2015.9.20

    Worship, Rest of apple, Ed Ruscha

  • 2015.9.19
    Bazaar

    Bazaar

    2015.9.19

    東京でもニューヨークでもアートブックフェアが開催されているこの週末、僕も負けじと、幼稚園のバザーに来てみた。

    会場は幼稚園に隣接する小学校の体育館。しかし早く来すぎて誰もいない。

    しばらくして行ってみたら、今度はものすごい人。
    子どもの好きそうなキラキラした服、ガチャガチャしたおもちゃ、キャラキャラした雑貨。こういうのはどこでも一緒。

    そんな中から、動物上半身下半身合わせカードと、トラクターのミニカーを選びとった娘たちに、滞在の成果を感じつつも、ちょっと不憫になったのでした。

    We visited bazaar held by kindergarten. Our children chose animal puzzle and mini tractor from many glittering toys and clothes. I'm glad but a bit sorry that our Stählemühle life changes their interest..

  • 2015.9.18
    Translation: How I was embraced by the monkey

    Translation: How I was embraced by the monkey

    2015.9.18

    Monkey47のウェブサイトで、蒸留所のオーナーのアレクサンダー・シュタインと、マスター・ディスティラーのクリストフ・ケラーによるDistiller's Blogがスタートしています。
    現状はお互いのバックグランドを紹介し、二人が出会い、プロジェクトがスタートするところところを双方が書いているという状況。
    クリストフのバックグランドはだいたいわかってはいたのですが、アレクサンダーのことはよく知らなかったのでちょっと訳してみました。

    彼の、妄想が先に立ちそれに引っ張られて行動してしまう感じは嫌いじゃない。
    来週、Stählemühleと同じく、Philip Mainzer(E15)のデザインでMonkey47の新しい蒸留施設が完成します。訪れるのがいよいよ楽しみになってまいりました。

    --
    How I was embraced by the monkey (from Monkey 47 Distiller's Blog 31 AUG. 2015)
    by Alexander Stein

    私はいかにしてその猿にとりつかれたのか
    アレクサンダー・シュタイン

    私は、その瞬間を昨日のことのように覚えています。
    2006年の雨の秋の日、私はデトロイトで机に座っていました。
    ドイツからの古い友人が電話をかけてきて、私の人生を全て変えることになる話を聞かせてくれました。それは、モンゴメリー・コリンズという、将校であり、類まれなる美食家の人生の物語でした。
    私たちの小さな猿-モンキージンの創設者です。
    コリンズの波乱万丈の生涯は、私をすっかり魅了しました。旅の多い外交官の息子から兵士へ、そしてマドラスからベルリンを経由して黒い森(Black Forest)へ、そして、世界を股にかける男から黒い森のささやかなレストラン宿のオーナーへ。
    その話は最初から私をすっかり虜にしました。
    黒い森に生息する原料を使い、古いレシピを現代に蘇らせたジンを作るというアイデアに、私は感激、というより取り憑かれてしまいました。
    これはもう"ジン感染症"です。ジンウイルスは私をがっちり掴み、私の幸福を決定する上で危険なほど重要な存在になったのです。

    話は最初から始めましょう。たくさんの予測可能な、いくつかは全く予想外の問題が、無数に発生したからです。

    当時、私はフィンランドの電気通信グループ、Nokia社でゼネラルマネージャーとして働き、若い家族と一緒にデトロイトに住んでいました。
    ジンに関して言えば、私の唯一の知識と経験は、製造工程の知識などは全くなく、それを飲むことだけでした。だから、私がジンのプロデューサーになるための前提条件は、頭の中にあるプランしかありませんでした。
    実際、親しい友人や親戚の間で私の新しい "執着"への関心は、冷ややかなものでした。ほとんど氷点下といってもいいかもしれません。
    2006年の当時、ジンはまったくファッショナブルな飲み物ではありませんでした。そして、純粋に飲むことが喜びのためにあるようなスピリッツでもありませんでした。
    すべての蒸留家やお酒の目利きやバー店主が、(自称)ジンの専門家に変異した、今日とはまったく状況は違ったのです。

    周りの人々の狼狽をよそに、私は最終的に2008年にNokiaの仕事を辞めることを決めました。南・北アメリカの様々な場所で数年を過ごした後、私はドイツ、バーデン・ヴュルテンベルク州の私の古い故郷へと戻りました。
    私の過度にモチベーションの上がった状態では、この転居はターニングポイントになりました。ジン・プロデューサーになるための条件は改善されました。私は仕事を辞め、アメリカにも住んでいない。何も今の私を止めることができません!

    残念ながら、蒸留ついての私の知識と経験はまだ希薄、というよりも存在しないという明白な事実を見落としていました。
    だから、私は共にアイデアを具現化することができる、蒸留責任者を見つけなくてはなりませんでした。 いくつかの偶然が重なった結果、私は世界最高の蒸留家の一人であり、伝説のフルーツブランデーを生産するクリストフ・ケラーに出会ったのです。

  • 2015.9.17
    Perfect Apple

    Perfect Apple

    2015.9.17

    りんごが落ちている。村のそこいら中に。
    道端の木から落ちたりんごが道路にまではみ出している。
    でも、いつのまにかきれいになくなっているのが不思議で、人間なのか動物なのかその両方なのか、拾ってくれる人がいるのだろう。

    Stählemühleの今年の目標はりんご1000kgだそうで(ちなみに洋梨は5000kg)、昨日まででだいたい900kgほど集められたので、今日は蒸留所内に点在するりんごの木になった実を棒で落としてみんなで拾う。

    家族総出。

    ちなみに最初の写真は娘が選んだ一番きれいな形のりんご。
    そう言われるとそう思えないこともない。

    でも、ずっと腰をかがめて拾っていると、りんごだって梨だって、なんだって芋に見えてくることを彼女は知らない。
    僕が選んだ一番いい形のりんごはだからか芋っぽい。

    --
    Apple is falling.
    In the village on the ground. sometimes up to the road.

    I'm wondering that fallen apples are gone in unawares,
    There would be someone who will pick apples by human or animals , maybe its both.

    This year's our goal is 1000kg of apple (incidentally pear is 5000kg!),
    We have roughly collected about 900kg up to yesterday, today we all picks up the last apples in site of Stählemühle.

    By the way, first photo is most beautiful form of apples chosen by my daughter Mito.
    It looks so when She said so.

    But, I have picked up so much fruits every day. Finally I feel even pear and apples looks potato.
    So the best shape apple I choose is something like potato-ish .

  • 2015.9.16
    TV Star

    TV Star

    2015.9.16

    テレビの取材チームがやってきた。
    収穫から蒸留までを二日間かけて取材する、ドイツの情熱大陸みたいな番組らしい。
    僕はいつもは取材する側か、たまに取材される側かどちらかなので、今日みたいな第三者的な立場は無責任で楽しい。

    クリストフがヒゲを整えて出てきたのにも驚いたけれど、
    りんごの木までジープをすっ飛ばしたり、
    収穫した果物を入れるいつものプラスチックのケースが、突然木箱になったり、
    いちいちその場でナイフを取り出して気難しい顔して食べてみたり、
    ちょっとした演出がおかしい。

    でも、どう見せたいかってことは、どのようなブランドにしたいかってことなわけで、彼がStählemühleに込めたロマンティックな思いが垣間見えた一日でした。

    このベストも初めて見た。

  • 2015.9.15
    Blue Barrel Control

    Blue Barrel Control

    2015.9.15

    収穫した果物を入れておいたり、マッシュする作業をしたり、しばらくの間倉庫で保管したりと、何かと使う青い樽。
    サイズがいくつかあって、一番大きい樽が160リットル。
    この160リットルの樽にマッシュされた洋梨を入れて倉庫に運ぶ。

    160キロの樽を動かす方法
    1. 左手で台車の枠を、右手で樽を押さえ、前に押し、台車の下の板を樽と地面の隙間にいれる。
    2. 左手で台車の枠を持ったまま、右手で樽の縁に指を掛け、一緒に引っ張る
    3. 台車を傾け、樽を預けたまま、動かす。

    結果...微動だにしない。
    二ヶ月後に再アップします。

  • 2015.9.14
    Traubenkirsche - Bird Cherry

    Traubenkirsche - Bird Cherry

    2015.9.14

    Traubenkirsche。そのまま訳するとグレープ・チェリー。英語だとBird CherryやHackberryといって、野生のさくらんぼとして珍重されている。ドイツでは宝物のチェリーと言って大事にするそうだ。独特の苦味があってとてもおいしい。

    それをどうやって集めるかというと、畑があるわけではなく、自生している木を探してその木から収穫する。
    いつものハーベストジープに、はしごやかごなど道具一式を詰め込んで出発。

    小さな道沿いにハーベストジープを停めて、黒々と大きな実がなるTraubenkirscheの木の下に陣取る。
    手早く釣り下げ式のバケツをかぶり、はしごを木にかけたオティが、採り方を教えてくれる

    「ホルンダラとは違って実だけを取っていくんだ。指の間に実を挟んで引っ張る。ツァックツァック...ほら簡単だろ。」

    なんだツァックツァックって。でも確かにそんな感じ。引っ張るとポロポロと枝から実だけが取れる。
    ツァックツァック、ツァックツァック。go goみたいな意味らしいけど、日本語のサクサクみたいでくせになる。

    気づけば手は真っ黒。かごはいっぱい。
    ハーベストシーズンは続く。

    本当にその辺の道沿いなので、しょっちゅう何してるんだと尋ねられたり、道を聞かれたりする。

  • 2015.9.13
    Sunday 3

    Sunday 3

    2015.9.13

    美術、湖、和食。

  • 2015.9.12
    Fishing with Muffler

    Fishing with Muffler

    2015.9.12

    「ヒロシは肉食べてるのか? 毎日肉食べないとパワーが出ないぞ。」っていつも聞いてくるオティが、ある時、車に乗っている時に「ヒロシは魚食べてるのか?」って聞いてきた。
    確かに、こっちに来てから魚を食べていない。海から遠くてそんなに種類がないことと、スーパーでもちょっとした切り身がそれなりの値段もして、じゃあソーセージでいいかってことになっていた。
    なぜそんなことを聞くのかと尋ねると、この道を曲がった先に魚屋があるという。

    こんな山の中に! しかもここは家からけっこう近い。

    その会話の記憶を頼りに、魚屋に向かった。

    なにもない山道を魚の絵だけを頼りにしばらく行くと、道は一軒の家の前で私道になってしまった。どうみてもただの家。
    ここじゃなかったのかと諦めて帰ろうとしていると、ガレージで作業をしていた男性がこちらをみている。
    一応この辺に魚屋がないか?と聞くと、ここだと言わんばかにうなづき、ついてこいという。

    家の裏にまわった先にはいくつかの池。どうやらそこで魚を養殖しているようだ。

    慣れた手つきでエプロンを締め、網を手にすると、池にバサン。

    なんかいっぱい入っている網からニジマス的な様相の魚を取り出し、木の棒でガツン。

    そうやって生き殺し?にした魚をバケツに入れて、はいどうぞってそんな魚屋。
    結局、1キロ、6.5ユーロ。鱗やら内臓やら取ってくれて+1ユーロ。ニジマス的な魚を無事買うことが出来たのでした。

    ムフラーさんの作業場はすごく清潔でした。

  • 2015.9.11
    pear to pear

    pear to pear

    2015.9.11

    コンスタンス湖の方まで車を走らせ、着いたのは地元ビールメーカーがスポンサードするサッカーチームのグラウンド。の脇にある小さな果樹園。

    持ち主が高齢のためもう手入れができなくなったこの果樹園の洋梨をとらせてもらう代わりに、こちらで下草を刈ってあげるという約束をしているそうだ。

    下草を刈るのはこちらにもメリットがあって、ひと目で落ちている果物が見えるので、次に来た時には効率よく収穫できる。
    そういうわけで木の下は特に念入りに。
    洋梨の場合はだいたい1シーズンに3回収穫できるそうで、まだまだハーベストシーズンは続く。


  • 2015.9.10
    Chasing Cows

    Chasing Cows

    2015.9.10

    朝からハーベストカー2号を走らせ知り合いの牧場へ。
    広々とした敷地に伸び伸びとこぶのあるゼブ牛がくつろいでいる。

    この古い農場には25種類の果実が植えられている。
    もちろん農薬は一切使っていないビオのもの。牧場に入らせてもらって収穫するのだ。


    そこにたわわに実ったりんごが今日のターゲット。
    一つ問題があって、棒で木をつつくとバラバラバラとりんごが落ちてくる、と同時に牛たちがわらわらと近づいてくる。
    彼らがりんごを一口で飲み込むのと僕が拾うのと競争だ。

    牛の鼻息を背中に感じながら急いで拾う。酸味のあるもの、甘さの強いもの、りんごの種類ごとに味は違うが、どれもとても香りがいい。

    彼らのプレッシャーのおかげで午前中で200キロほど収穫。牛たちも満足したようだ。

    まれにこんな陰惨な事故も。

  • 2015.9.9
    Going after Holunder

    Going after Holunder

    2015.9.9

    Stählemühleでは200種以上もの蒸留酒が作られている。Gesamtsortiment(一覧)を見ると、洋梨、プラム、りんご、柑橘、ベリー類といった一般的な果物から、マッシュルームや玉ねぎといった野菜、野生の実、ナッツ、ハーブ類と本当に様々だ。さらに洋梨だけでも野生種から栽培種まで何種類もあるのだから恐れ入る。
    これら200種をどうやって調達するかというと、自社農園で作られるものももちろんあるけれど、当然それだけでは間に合わない。近くの農家から購入したり、自分たちで山へ収穫に走り回ったり、近所の人に頭を下げたり...。本当にありとあらゆる手を使う。
    Stählemühleの人たちはどこに何が生えているかを全て把握していて、そろそろ収穫できそうなところに、ハーベスト号と呼んでいるジープに乗って採りに行く。
    9月のこの時期はまさにハーベストシーズン。何をどうやって収穫したのか、って話がしばらくは続きます。。

    今日はHolunderの収穫。ホルンダラ、日本語だとニワトコ、英語だとelderberryの一種になるらしい。
    これは野生種なので、あちらこちらに生えているものを取りにいくスタイル。

    まずは蒸留所の敷地内で、道沿いになっている実を見に行くものの、どうも生育が思わしくない
    そこで、牧草地を横切って数百メートル先にある隣の家の敷地に。
    出てきたのはウティさん。何やら冗談を言い合いながら、ウティとオティがホルンダラの木を見ている。大きな幹にびっしりと実がなり、これは収穫しがいがありそう。

    しばらく和やかに話していたが、結局のところ、ウティさんちに生えている実は切らせてもらえなかった。
    理由は自分がジュースにするから。

    仕方がないので蒸留所の道沿いに戻り、オーバーオール型収穫マシンをかぶって、実を取っていく。黒くて実がしっかりついているものだけを選んで、足元の箱がいっぱいになったところで終了。

    ホルンダラは、すっぱ苦くて、ブルーベリーが干からびたような味でした。(表現そのうちなんとかします。)

  • 2015.9.7
    Automatic limited

    Automatic limited

    2015.9.7

    手配してもらっていた車がマニュアル車だったりして手間取っていたが、ついにマイカーがやってきた。
    12万キロも走っているポロというかボロだけど、自分で好きに動けることがどんなにも自由なことか。

  • 2015.9.6
    hay day is hay day

    hay day is hay day

    2015.9.6

    「蒸留していようと、本を作っていようと関係ない。干し草を作るときは干し草を作る時だ。」ってクリストフのインタビューであったけど、今日がまさにが干し草の日だった。

    数ヘクタールはある大きな牧草地で、すでに刈り取られ点在している牧草を、まず後ろに回転する棒がついたようなトラクターでかき集めていき、次の車がキューブ状に圧縮し、紐でしばり、ブロック状にしていく。

    その後をついていくのが僕を含めた丸腰チーム。干し草ブロックをいくつかのかたまりにまとめていく。見た目のボリュームほどは重くないけれど、うまく持たないとバラけそうだし、草がチクチクするので難儀する。

    最後に登場するのが大きな荷台を引いたトラクター。ゆっくりと走るトラクターの荷台にこの干し草ブロックを載せる。
    待ち構えているオティに向かって、ポンポンと干し草ブロックを放り込むと、彼がどんどん高く積んでいく。

    牧場を一往復すると、干し草はトラックの荷台いっぱい、背丈よりも上に積み上がった。それくらいで一旦蒸留所に戻り、今度は厩舎の上の干し草倉庫にいれるという作業が待っている。

    コンベアで上に上げ、今度はバケツリレー方式で、奥から積み上げていく。
    最初は軽口を叩きつつやっていた皆も、最後は無言で無限にあるんじゃないかという干し草ブロックを淡々と運び積む。
    それを2セット(約200個)やって終了。

    干し草づくりは年に2回、6月と8月末に行う作業で、6月は草の生育がいいので量も多くもっと重い。4セットやることもあるそうだ。

    さて、この干し草がどうなるかというと、飼っている動物たちの餌になる。一般的には牛や馬だと思うけれど、Stählemühleで飼っているのは、ラマ、アルパカ、ブラックシープ、ゴートヤギ、孔雀、変な柄のニワトリ、といった具合で普通の動物がどこにもいない。
    彼らが何の役に立ってるのかとクリストフに聞いたら「Just for fun」だそうだ。これだけの大変な作業を「Just for fun」のために...。高尚というか趣味人というか。
    しかし徹底的にコモディティ化したもの(この場合は牛や馬)には興味を示さない姿勢は、すごく共感できる部分でもある。

  • 2015.9.5
    Last day of summer

    Last day of summer

    2015.9.5

  • 2015.9.3
    Oxalis - Red clover

    Oxalis - Red clover

    2015.9.3

    8時半前に下に降りていくと(僕が住んでいるところは蒸留所の上)、すでにオティが来ていて準備をしている。僕は主に彼から現場の作業を教えてもらうことになっている。
    ルーマニア人のオティはドイツ語はもちろん話すが、英語はあまり得意ではない。でも聞けば理解できるというので、彼がドイツ語で話し、僕が「それってこういうこと?」って英語で問い直し、それに対して「プリーマ(good)」とか「ナイン(no)、つまり...(ドイツ語)」って感じで話を進めていく。
    最初はまどろっこしいかと思ったが、モノが目の前にあるのでなんとなくわかるものだ。

    今日の作業はOxalis(Red clover)を漬け込んだ液を漉す作業。
    クローバーの酒なんて想像もつかないが、3日間、砂糖と水に漬けられていたクローバーの液は深いルビー色で、すでに独特の苦い匂いがしている。
    なめてみるとクローバーの青々しさと酸味が合わさって、例えるなら薄くしたルバーブのような味。
    なかなか表現するのは難しいけど、これがクローバーの匂いや味だって思うものに男っぽさと高級感を加えたような...。すみません唐木くんの本でも買って文章の勉強します。

    さて、100リットルの容器にぎっしりとOxalisが詰め込まれた液から、葉っぱをより分け、大きな濾紙をつかって漉していく。
    ゆっくりやればいいからと言われつつも、濾紙はすぐに目が詰まってきてしまい、とてもじゃないがこれじゃ終わらない。そこで濾紙を手に持ちぎゅっと絞るようにすると、けっこう勢いよく液が落ちていく。
    しばらくしてクリストフが見に来て、濾した液をチェックして、透明度が足りないことを指摘される。
    急いでやったのがよくなかったようだ。
    結局、もう一度全ての液を濾し直し。100リットルのタンクに半分くらいの量、ピンク色に澄んだ液体が出来上がるまでほぼ一日かかった。

    この液体からどれだけの量のお酒ができるのかと思うと、なんとも贅沢な話だなあと思う。

  • 2015.9.2
    monkey class

    monkey class

    2015.9.2

    家から数キロ行ったところにEligeltingenという町があって、そこに小さいながら町の機能がある。
    町役場のようなところで短期の住民登録を済ませて、4歳の娘が来週から通う幼稚園へ。
    タンポポ幼稚園は小中学校の隣にある、まだ出来て4,5年の新しい幼稚園。すぐそばには動物公園もある。
    近隣の町や村からみんなが通うようでそれなりに大きい。
    3歳から5歳までの通常のクラスに、2歳以下の託児所的クラスも併設されている。

    娘のクラスはモンキークラス。猿組。さっそく先生がドイツと日本の位置を子どもたちに見せてあげてくれている。
    それぞれのクラスの教室の他に、リラックスルーム(昼寝部屋)、ドレッシングルーム(衣装&ままごと部屋)、クラフト部屋(実験道具、工作道具のある部屋)など、目的に応じて部屋を使い分けているようだ。
    校庭には盛り沢山の遊具。巨大そうめん流し機のようなポンプ付きの遊具が気になった。

    大変そうなのは持っていくものがけっこうあって、朝と昼にお弁当。週に一度は外に出かけるので上下の雨具とか。

    でもまずはドイツ語の環境に親子ともどう適応していくか。担任の先生はちょっとだけ英語を話してくれそうなので、なんとか単語で会話しつつ、子どもの成長に期待するしかない。
    と言っていたら、娘は帰ってきたら緊張したのか知恵熱を出して寝込んでしまった。
    なにせ幼稚園中退の父親なので、あまり過度な期待はしないで見守ろうと思う。

  • 2015.9.1
    Translation: Our/Vodka

    Translation: Our/Vodka

    2015.9.1

    共通のブランド名ながら、色々な都市で蒸留所を作り、その都市ならではのウォッカを作る、「Our/Vodka」というプロジェクトというかプロダクトがある。
    今までは、見た目はお洒落だけど、大企業のペルノ・リカール社がやってるコマーシャルなものという印象しかなかったんだけど、この間壮行会やってもらった時に、塩川いずみさんに「Our/Berlin」をプレゼントしてもらってからすっかり気になる存在に格上げされた。

    そうしたら、行きの飛行機の機内誌に、Our/Vodkaを立ち上げた女性のインタビューが出ていて、暇ついでに訳してみたものを載せてみます。
    読後の印象としては、彼女の情熱はすごいと思うし(ディスレクシア!)、各都市のOur/Vodkaを飲み比べてみたいと思うものの、どうしてもマーケティング臭というか、ギャルソンのゲリラストアみたいな感じがしてしまう。良くも悪くも。

    --
    FREE SPIRIT / OUR/VODKA (from Scandinavian Traveller (SAS) / August 2015)
    by Lars Collin

    (intro)アントレプレナーのAla Caapは自身のアイデアを長い間胸に秘めてきた。
    そのアイデアとは、小規模の蒸留所を世界の各地に作り、それぞれがその土地ローカルのウォッカを作るというもの。
    近年になって、彼女のアイデアは、「Our/Vodka」という現実の形になりつつある。

    --
    ペルノー・リカール社の北欧ヘッドオフィスの8F、その一角で5人のスタッフが小さな世界を作り、自分たちの仕事に没頭していた。壁には世界の各都市の時間を示すいくつかの時計、世界地図にはベルリン、シアトル、デトロイト、ロンドン、そしてアムステルダムの位置に注意深くピンが射されている。
    Ala Caapが率いるこのチームは、Our/Vodkaを世界中に広める戦略部隊だ。
    Our/Vodkaの成功は、世界的なクラフト醸造所のトレンドにのったものだ。クラフト醸造所と同様に近年マイクロ蒸留所も増え続けている。

    「Our/Vodkaは、ローカルであり同時にグローバルでもあるの。」彼女は言った。
    「私は4年間ペルノー・リカール社でフルタイムで働いてきて、このようなコンビネーションを実現したブランドは一つも見たことがありません。これはビッグブランドが悪(不利)になることさえある現代への挑戦でもあるんです。」

    ペルノー・リカール社はローカルマーケットで、その存在価値を加速させることを求めてきた。
    そして、彼女はあることによりそれを可能にすることを証明してみせた。それは強固なパートナーシップだ
    「私は、地元を愛し地元と成長している若い起業家と、真のパートナーシップをどうすれば結べるかをまずは考えました。私たちは全ての機材を提供します。私たちは彼らに蒸留技術を全てを教え、私たちのハンドブックを提供します。
    それから、彼らは鍵を受け取ります。オープニングの際、シンボリックに、実際に私は彼らに鍵を手渡すのです。」

    「「Our/Vodka」のやり方は、ペルノー・リカール社のやり方とは全く異なります。通常、彼らのブランドは、世界中どこであっても同じ見え方・品質を求めます。
    「Our/Vodka」はそれぞれの場所で作られ、原料も異なります。当然、味もそれぞれの都市で異なります。
    「私はこのことをよく10人の子どもを持つことに例えています。子どもたちはもちろん自分の子どもであり、同じDNAを持っています。しかし、ベルリンで育つ子ども、デトロイトで育つ子ども、その他の場所...、それぞれが個性を持って成長していくことを願っているのです。」

    その土地の起業家は、「Our/Vodka」の義理の親としての役割を果たします。全ての親は異なるバックグランドを持っていますが、この原則は全てに適用されるのです。道のりはたくさんあるものの、全てはまっすぐに前を向いています。

    「絶対不可能だと最初は言われました。このアイデアを進めようとしたときに、夫は私が首になるのじゃないかと心配しました。実際、私は数回首になりかけました。
    これは直感によって進められているプロジェクトなのです。
    私は二年間、通常の業務の後にこのプロジェクトを進めました。そして週末になると、心は起業家になったのです。そして私は強固な意志を持ち続けました。

    Caapは頻繁にアメリカを訪れます。この二年に22回、プロモーションのために訪れました。彼女の行動力と情熱は「Our/Vodka」の成功の大きな部分を占めています。

    私はこの会社の世界に、適応し学んできました。私はマーケティングの訓練を受けましたが、私の心はイノベーターであり起業家なのです。
    私はディスレクシアなので、アカデミックなキャリアの形成とはかけ離れています。しかし、私のプロフィールはこの経験によってよいものになりつつあります。
    私は実行すること、何かを作り出すのが好きなのです。


    --
    「Our/Vodka」について

    「Our/Vodka」は2016年までに11のマイクロ蒸留所をヨーロッパ、アメリカの都市に作ることを計画している。最初はOur/Berlin、次にOur/Detroit、Our/Seattleがすでにスタートしている。蒸留所には各国の規定によるが、テイスティング・バーとショップが併設されている。
    このアイデアは地元の起業家に地元との積極的な関わりをもたらしている。
    Premiseはペルノー・リカール社が保持し、ビジネスが立ち上がるまでの全ての費用を彼らが負担します。地元の起業家は利益が出始めた時に、利益の20%をペルノー・リカール社に収めます。

August

  • 2015.8.31
    Plum Harvesting

    Plum Harvesting

    2015.8.31

    オレが枝持ってダーって振るから、

    ボトボトって落ちてきたプラムの実を、

    さあヒロシが拾えー!

    僕にも一番面白そうな枝振るところやらせてくれよ、って思うけど、

    「この果物畑は4年前、オレが一人で200本手で植えて、毎日バケツで水やりしたんだ。」

    って言われたら従わざるをえない。

  • 2015.8.30
    Start working day morning

    Start working day morning

    2015.8.30

  • 2015.8.29
    Interview with Christoph Keller

    Interview with Christoph Keller

    2015.8.29

    ドイツの南、Stählemühleという小さな蒸留所に到着しました。しばらくここで働きながら生活します。
    こうなるまでにはいくつかの出来事があったのだけど、雑誌で読んだ、Stählemühleの代表、Christoph Kellerのインタビューが大きなきっかけになりました。

    仕事と家族、都会と田舎、表現と経済

    一見相反するようなことに対してどのように解決していくのかという考えが、一つ一つとてもよく理解できるし、実際に訪れてみて、高いレベルで実践していることが伝わってきた。
    明日から働くにあたって久々に読み返してみたけど、やっぱりいいんだよなあ。
    拙い訳ですが、僕が訳したものを以下に貼り付けておきます。
    インタビュワーはトマス・ジュッペ(TJ)、写真はライナス・ビル、だったんですが誌面が手元にないので僕の写真で。

    --

    Stählemühle - aqua vita (from condiment magazine 02/2012 )

    Christoph Kellerは1990年代にRevolverという出版社を創設した。その後、Revolverはヨーロッパの最も多くの点数のアートブックを出版する出版社の一つに成長した。
    アートの世界で過ごすうちに、彼の興味は町の中心からシフトし、南ドイツの田舎、コンスタンス湖のそばに家族とともに引っ越しをした。
    そこで、彼はシュナップス(ジャガイモや穀類、果物から作られる蒸留酒)を2005年に作り始める。18世紀中頃に建てられた水車小屋付きの畑を購入すると、その蒸留所をStählemühle(スティーレミューレ)と名付けた。

    畑の面積の限界もあって、彼の蒸留所プロジェクトは大規模なものではない。しかしその代わりに、限定数だけ作られる彼のプロダクトは、細部まで綿密に気が配られたものだ。品質が最優先で多くの量を作るのは不可能だから。
    熱心な研究によって、クリストフは伝統的な蒸留酒(スピリッツ)の製法をアップデートした。それは例えば今まで長い間使われてこなかった植物や、伝統的なシュナップスでは好まれていない植物を原料に使用する。掲げられたたくさんのコンクールのメダルは、彼の努力の成功を証明する。

    彼の特別な感覚はその環境に呼応して発揮されている。珍しいりんごの品種のそばに、見たこともない二色のヤギ、たくさんの種類のベリーが植えられた小路には、黒と白のブチ模様のクロアチアのオオツノヒツジの群れが座っている。オオツノヒツジは毛を取るために育てられているのではなく、毛皮のためにいる。

    畑の果物も同じようなもので、その生産量は商業的に使うにはとても少ない。そのことは彼らの存在の、ある意味シンプルな記録を形作る。まるで、Stählemühleはアクティブなミュージアムで、そこでは伝統が引き継がれて、また制定されているように思えてくる。

    TJ- なぜ田舎に?

    それは哲学的な質問だ。面白いことに、私たちは情報をどこででも得られるデジタル機器を持っている。しかし同時に田舎から都市への移動が活発に行われている。いくつかの特殊でフリーキーなものを別とすれば、文化的な生産活動は都市でしか行われていない。

    別の方向で考えてみようと、2002年に家族とテストをしてみた。それはデンマークのBornholm島という小さな島の、海岸沿いに立つ家に引っ越してみたんだ。とても美しい島だ。
    このような機会を子どもたちが成長して学校に行く前に体験しようと思ったんだ。

    文化的な活動を、都市の中心から離れても出来るかどうかというのが大きなテーマだった。結果、私たちは生活も働くことも、都市から離れても完全に機能することを発見した。
    オーケー、それならば都市から離れて、子どもたちに違う側面の滋養を見せてあげたい。例えば、食べものを自分で作ること、動物と暮らすこと(君がさきほど見たような、犬や猫ではない動物だ)、自然と深く繋がること。
    結果、人生の展望が大きく変化した。突然、そこには死があり病気があり、責任があり、配慮があった。

    以前は、フランクフルト中心のアパートメントに住んでいた。ご存知の通り、そこにはセントラルヒーティングがあり、ゴミは定期的に回収される。そして、その分の賃料を払う。それは自分の欲望、例えばどのような栄養を摂るかといったことを、考える機会をなくしてしまっている。

    畑に来ると、別の生活がある。サラダを作るにも1~1時間半はかかる。食べ物をつくる全てに関わることになる。土を耕し、種をまき、雑草を取り・・・。収穫し、食べるまでにはとても時間がかかる。
    そのような状況では、文化的で知的な習慣だけではなく、とても平凡な、どのように着るかということや、どのように食べるかという習慣に、多くの時間を費やすことになる。

    しかし、それはひとりよがりなことではない。私はヒッピーでもグリーンパーティの一員でもなければ、アントロポゾフィー主義者でもない。ましてビオ信仰者でもない。

    私たちは単に別のことをやることに興味があるだけだ。そして人生のスピードを変えることにも。それはまったくロマンティックなことだ、もちろん。それはノスタルジックなこともわかっている。
    私は、古いこと、古くからの習慣、古くからの製造方法、古くからのクラフトマンシップ、古くからの家の建て方に魅了されている、

    TJ- しかしそれを成立させるためには決定的な問題があります。そのような生活にシフトする前に、都市で文化的な中心にいる間に、あなたは文化的な関わりを確保しなければならなかったのでは?

    私は、田舎では文化的な生業を確保することは難しいことだと思っていたが、実はそうでもなかった。もし私が文化的な活動の一端や、以前から行っていた文化的な交流を引き受ければ、引き続き活動を続けることは容易だった。
    そこで、私はいくつかの本、出版活動、エキシビションには関わっていくことに決めた。都市の人々と一緒に発展させながら。それが私にとってアートシーンとの繋がりになっている。それを何と呼ぶにしろ。

    しかし、それは徐々に少なくなってきている。自分の興味関心は急激に変化している。りんごを収穫し、動物の世話をすることの方が、映画に行くことよりもずっと楽しい。
    カルチャーは、ある意味、その重要性を失ってしまった。ここでいうカルチャーとは、"ハイカルチャー"のこと。もちろん私は毎朝新聞は読むけれど、それは人生の一部ではもはやなくなっているんだ。

    それはとても奇妙で、独善的に聞こえるかもしれない。しかし君が見ている通り、私たちはバランスのとれた生活を営んでいる。私たちは自分たちで生産した毛糸でセーターを編んでいるわけではないし、自律自治の生活をしているわけでもない。
    スローダウン。スピードが変化しているだけなんだ。

    例えば、時に天気に依存することもある。干し草を作る時、5ヘクタールの刈り取りをする。それは最低4日の晴天が必要になってくる。だからいつも天気予報を見て、太陽を見上げながら暮らしている。

    そのタイミングには、その作業しかできない。他のことはできないんだ。蒸留していようと、本を作っていようと関係ない。干し草を作るときは干し草を作る時だ。
    天気や環境によってやることが決められるのは、とても面白いことだ。

    TJ- それはつまり、締め切りが別の方法でやってくるということですか?

    農業にももちろん締め切りはある。しかしそれは自分で終わらせるということではない。何かが終われば、次がやってくる。たいていの作業は毎年行うもの。羊がいれば、分娩の時期があり、きれいにして爪を切る時期があり、毛を刈る時期がある。それは毎年同じ時期にやってくる。毎年毎年、ずっと続くことなんだ。そして、天気や温度などの条件によって、リズムは異なってくる。

    以前、アートシーンの中に暮らしていた時は、プロジェクトベースで動いていたから、完全なでっちあげエコノミーだった。プロジェクトをやっては次のプロジェクトへ。プロジェクトは最初から計算されていて、そのプロジェクト分のお金をもらっては次のプロジェクトへと使っていた。
    アーティストとして、プロジェクトは展覧会やフェアなどを行う。パブリッシャーとして本を作り、キュレーターとして展覧会を次々と企画する。そして最後に請求書を書く。それをとても短い期間で行っていた。長い期間のプロジェクトだとしても、二年が最長だ。多くのプロジェクトはそんなに長期間かけるものではない。どんなに長くても一人の人生をかけて行うプロジェクトだ。
    一方農業はといえば、それは世代にまたがるプロジェクトだ。もし、例えば土地にelsbeerの木を植えたとしたら、最初の実がなるまで約30年かかる。

    つまり、もし何かを植えるということは単に穴を掘ってそこに苗を入れる、ということではないということは明らかだ。常に水をやり手をかけて、時々は小枝を切らなくてはならない。
    だから、農業に従事するということは、短期間のプロジェクトから距離を置くということでもある。そして時には経済活動からも。もし繁殖用の鶏を2.5ユーロで買うならば、その鶏自体の価値は0で、卵を産む装置としての価値でしかない。
    それはホビーでもなければ、経済活動でもなく、ましてプロジェクトでもない。それは単に何かと生活を共にすることなのだ。

    TJ- 農場を運営するには多様なレイヤーがあるでしょう。Stählemühleをスタートするときにどのようにそれを学んだのでしょうか?

    パブリッシャーとしても私は何度も以前から話してきた通り、私たちは何かをその手ではじめる前に本によって学び始めることができる。農場について言えば、学ぶことは容易だ。ここに来た時、私たちにはアイデアがあった。ばがばかしいほど小さい、わずか6ヘクタールの農場で運営するための。(ちなみに、ドイツで経済的に成立するためには、70-80ヘクタールの広さの農場が必要だと言われている。)
    私のアイデアは専門化すること。リファインするために、ノーブルにするために、いくつかの果物を、贅沢なものへと変更した。そのアイデアは2人の4つの手で行うことが出来た。このばかばかしいほど小さなサイズの畑で、確かな知識を持っていれば。
    これは後ろ向きだが、自分の手を使って既存の自然から何かを作る、経済的なアイデアだ。結果、私たちのプロダクトはハイエンドなものになったんだ。
     
    TJ- それでフルーツスピリッツが立ち上がったんですね。

    スピリッツのキングはフルーツブランデーだ。これほどバラエティがあり、これほど可能性があるスピリッツは他にない。アップルブランデーをグラスで飲むことは、りんごの樹の下にいるような感覚をもたらしてくれる。そして同時に、花も、実も、そして赤い色も。人生のサイクルのある種。香りにおいては。りんごが表現できるすべてを感じることができる。

    これは、純粋に感覚的な経験だ。時に私は、単に匂いをかぐだけで、フルーツブランデーはほんの一口口に含むだけで満足してしまうこともある。その後、口の中にその匂いを満たして、わたしの心の中はしばらく、素晴らしい気持ちでいっぱいになる。次にタバコを吸うまでだけど(笑。

    私たちは自分たちが作るものをシュナップスとは呼んでいない。EdelbrandまたはEau-de-vieと読んでいる。それはシュナップスと人が混同するのを避けるためだ。
    以前はシュナップスと呼んでいた、しかしそれは表現として正確ではない。ドイツのメディアは、ここ50年、シュナップスをただのアルコールのこととして伝えてきた。それが何であれ。
    それは小麦から作られていて、ウォッカにもなれば、フルーツブランデーにもなる。単に酔っ払うことができれば、何でも構わない。シュナップスは時にはビールにアルコールを強くするために加えられたりもしていた。北ドイツでは、ビールに一杯のシュナップスを加えて、アルコールを強くすることがある。南ドイツを除いては、これがドイツでの一般的なシュナップスの認識だ。
    南ドイツは、むしろオーストリアやスイスの文化圏に属していて、そこにはフルーツブランデーの伝統がある。

    TJ- あなたは病気をしますか?

    全くしないよ。毎朝7時のEau-de-vieが、ウィルスから体を守ってくれる(笑。
    しかし、真面目な話、村の昔の蒸留所には毎朝7時にシュナップスを飲んで、全く病気にならず、膝も悪くしない人がいたそうだ。私はそんなことはしないけれど、彼は確かにそれが健康の秘訣だと言っていた。

    TJ-これはまるで長く語り継がれた神話のようですね。アルコールの効用には、古い信仰がたくさんあって、逆もまた同様です。あなたはきっとたくさんのこのようなことに出会うでしょう。

    もっとも明らかな神話は、シュナップスを少しだけ飲めば、消化がよくなるというものだ。

    Eau-de-vieを食後に飲めばお腹の調子をよくしてくれる。これは完全な間違いだ。完全に反対の例で、腹の酸を少なくしてしまう。酸を希薄にしてしまうんだ。だから消化作用は弱まってしまう。
    一方、血液の流れをよくして、それは消化を助けることになる。だから、確かにこれは難しい神話なんだ。

    錬金術士のルーツはすべて、健康と密接につながっている。蒸留技術が進化したのは、最初は香水の製造のためだった。飲用のためではなかったんだ。
    最初の蒸留は、紀元前3000年の古代エジプト、アラビア。それはとてもシンプルで、機械すら使わなかった。銅製のヘルメット状の器に蒸発したアルコールを濃縮して集めたものだった。

    それはローズ・ウォーターのために行われた。アラブの国々では、女性のための美しい香りとして作られた。それは中世の初期まで行われた。蒸留は香りを収集するために行われていた。中世において、少し状況は変わった。なぜなら突然、蒸留は薬剤師や錬金術士の仕事になったから。
    まだアルコールを作るためではなかった。それは人生の真髄を見つけるための行為であ、人生の水ーaqua vitaと呼ばれた。
    それはまた人生の公式を見つけるためであり、全てのものに共通する公式と考えられていた。そして錬金術の研究とも関連付けられていた。

    この錬金術の研究において生まれた興味深い副産物は、陶器と火薬だ。この2つはどちらも蒸留の過程で発見された。16世紀から17世紀にかけてのことだ。その後、アルコール蒸留が発見された。そしてそれでお金を稼げることも(笑。
    私が蒸留について語る時、物事の真髄を発見するこのプロセスについて語っているんだ。

    TJ- つまり、蒸留の起源が医学の進歩から生まれたのなら、医学的な成分がEau-de-vieには含まれているのですか?

    いいえ、それらは消滅してしまう。エキス分は存在するけれど。例えば、植物は蒸留によって薬になる。しかし、一般的には果物やワインの蒸留されたものは、味にのみ作用する。

    TJ- 私はあなたがどんなものを体に取り入れてもビクともしないのは、毎日の生活習慣に関係があるのじゃないかと思いました。

    私の祖父母は、にんにくを絶対的に信用していた。彼らははにんにくの小さなかたまりを毎日たべていた。そして98歳と99歳まで生きたのだから、それは彼らの生活習慣との関係はあると思う。

    しかし、私にとってはアルコールは重大なものではない。私は果物からEau-de-vieを作ることを愛している。もし可能なら、アルコールがなくてもいいんだ。アルコールは香りを抽出するために必要で、アルコールには、香りの分子を束ねる力があるんだ。だから、果物の蒸留にはアルコールは関係ない。

    例えばウォッカ、これは私の最大の敵だ。ウォッカを飲む人は、全く何も理解していない。ウォッカというものの考え方は、純粋で中性のアルコールで、何も味がしないこと。それは面白くも何ともない。

    TJ- しかし、もちろんウォッカの周辺には贅沢な産業がありますよね?

    そう。ウォッカを作るのはたくさんのお金を生み出す。悪夢のような。
    特に若者が飲む酒としてウォッカはたくさんのお金を産む。なぜならウォッカは何も味がしないから。そしてとても安価だ。1リットルあたり60セントで作ることができる。ジンやオーガニックまたはフルーツブランデーを好まない人にも簡単に飲むことができる。
    ジンやオーガニックまたはフルーツブランデーには印象的な味があって、それらを若者は理解することができない。たくさんのウォッカを飲む方がずっと簡単なんだ。

    私たちの世代になると、みんなウィスキーについて語りたがる。それはヨーロッパでは大きな話題だ。スイスでもオーストリアでも、そしてドイツでも。現代ではみんなウィスキーを作っている。
    2009年にスイスには60もの異なるウィスキーメーカーがあり、さらにそれ以上の銘柄が他国から輸入されている。たくさんの本やウイスキーにについて語られた言葉もある。
    しかし、ウィスキーはごく限られた味の幅しかない。ウィスキーが好きな人はきっとこう言うだろう。
    「そんなことはないよ。ウィスキーにはとてもバラエティがあるじゃないか。」
    しかし、ウィスキーの原料は大麦かライ麦しかない。そして基本要素は穀類だ。だから、味の範囲はフルーツブランデーほど広くはないんだ。
    野生の果物、ベリー類、モモやチェリーなどの核果類、南国のトロピカルフルーツ、柑橘類、それら全てからフルーツブランデーは作られる。どれもが完全に異なっているし、その香りにも大きな幅がある。
    つまり私は3つのものと戦っている。ーウォッカ、ウィスキー。そしてグラッパだ。

    TJ- グラッパも!?

    グラッパはピザのようなものだ。グラッパはワインを作り終えたあとの残りからつくられたものだ。だから、感覚的に面白くないと私が説明する3つのうちの一つだ。
    これらのものには深みがないんだ。

    TJ- 僕の友だちが最近、フランスのシャンパーニュ地方のワイナリーを訪れた時に、そこには全長28キロにもなる地下貯蔵庫があって、100万本を超えるボトルがあったそうです。

    悪くないね。

    TJ- 確かに悪くない。しかし同時にこれはラグジュアリーブランドがラグジュアリーであるために在庫量を調節しているということでもあります。

    これは、eau-de-vieのシーンでも同じ問題がある。フルーツブランデーの世界には、いくつかのビッグネームがある。ヨーロッパで知られている彼らは、とてもよく売れている。
    彼らのブランデーはとても高価で、完全に贅沢品だ。しかし、同時に大量生産品でもある。ほとんど工業的に作られている。もし人々がもっと学習すれば、一年に500本しか作らないような、たくさんの小さな蒸留所があることを知るだろう。

    彼らは独立したアプローチで、彼らのやりたいことに注力したものづくりをしている。それは本当に贅沢なもので、本当の人の手によって作られたものだ。
    問題は単に、彼らがどのように客とのコミュニケーションを取るかだ。村の小さな蒸留所がどのようなことを行っているかを、どのようにして伝えるのかがわかっていないんだ。
    インターネットはその状況をいくらかは改善したけれど、私たちが10年前に蒸留所を始めた時には、全くチャンスがなかった。コンスタンス湖の湖畔の小さな村の蒸留所でシュナップスを作り、ただ座って売れるのを願うしかなかったんだ。

    TJ- 同時に、伝統的なコミュニケーションの方法にも役割がありますね。例えば、あなたが特別な植物や果物を探している時に、新聞に広告を出してその植物を育てている農家を探すことができる。

    確かに。それは製造・生産のためのやり方で、それは地域に根ざしている。しかし、一方で私たちの蒸留酒はこの村で売るために作っているわけではない。私たちは私たちの活動に捧げてくれるグルメで、愛好家を、ドイツ全土で探している。
    生産に関しては、それは地域密着型の作業だ。
    私たちはわざか1200本のボトルしか一年に生産することができない。それ以上は無理なんだ。だから、それは価格にも反映される。一本のボトルには100ユーロの労働費が必要なんだ。

    TJ- あなたは以前、現代美術の展覧会とは違って本には説明の必要がない、とおっしゃいました。Eau-de-vieにも同じことが言えるのでしょうか?

    Eau-de-vieの方がより良いだろうね。
    アートブックはそれ自体が語るけれど、たいていはアートの歴史についての知識が読者には必要とされる。コンセプチャル・アーティストのジョナサン・モンクも彼の作風がわかっていれば作品自体が説明してくれる。エド・ルシェのアーティストブックもそう。つまりメタレベルのアートやアートの歴史についての知識が必要になる。
    Eau-de-vieについては、完全に異なる。必要なのは実際の味覚だけ。他には何もいらない。それが私にはとてもやりがいになっているんだ。

    ご存知のように、私がアートブックの出版を行っていた時は、家族の誰にもそれを見せることがなかった。誰も理解できないから。
    私が畑を始めると、本を作っているオフィスにも、時に近所の人が訪れてくるようになった。3メートル先には近所の人の畑があるのだから。彼はトラクターを停めて、長靴のまま仕事場に入ってくる。
    「ヘイ、調子はどうだい?」
    「今この本とこの本を作っているんだ。」
    それを聞くと彼は首を振って「きみはどうやって暮らしてるんだい?」と聞くんだ(笑。

    例えば私の母親に、今まで自分が何をしているか話したことはなかった。60年代から私はアーティストブックを作るアイデアをもっていたにも関わらず。
    ブランデーの場合はとてもクリア。誰でもいい。私のブランデーを飲み、好きか嫌いか言ってもらえばいいのだから。

    TJ- なるほど。シュナップスは一瞬で伝えられて、感覚に訴えかけられるわけですね。それならば、あなたはシュナップスに対するセミナーや教室をやったらいいんじゃないですか?

    私たちはまだ知られていない、特別な果物を沢山使っている。私がシュナップスの香りや味について話す前、まずはこのフルーツについて知ってもらわなくてはならない。どこで育ったフルーツか、中世ヨーロッパで生まれたという歴史のあるフルーツだったり。実はこのあたりに自生していて、簡単に手に入れることもできて、とてもおいしいものもある。ジャムにしてもおいしいし、蒸留することで香りを取り出すこともできる。フルーツを知ることは感覚を鍛えるはじまりにはちょうどいい。

    鼻をで嗅ぐことも大事で、シュナップスはとても鼻孔をくすぐる香りがする。若いころ、人は100種類以上の匂いを嗅ぎ分けられる。赤ちゃんの頃くらい若い時だけど。
    嗅覚の問題点は、嗅いだ瞬間に言葉と結びつけられてしまうことだ。その匂いに言葉が当てはまってはじめて、人は匂いを特定することができる。きみはこう言う。
    「オーケイ、この匂いは以前嗅いだことがある」
    でもこれは単に言葉の問題なんだ。

    たいてい、私たちは知ったものにしか匂いを感じることができない。
    「これはオレンジのような匂いだ。バニラのようだ、チョコレートのようだ。」といった具合に。
    本当の名前ではないけれど、実際のものにちなんだ名前を付ける。それは私たちの脳が、たくさんの匂いを分類して、理解するために自然に行っていることだ。それは、一つ一つの特別な匂いの可能性を失っていることでもある。これは自分の頭の中の閲覧データを削除しているようなもので、それによって処理を早くしているんだ。
    赤ちゃんはおそらく最もシュナップスをテイスティングするのに適しているだろう。彼らは香りや匂いについて無限の可能性を持っているんだから。

    もちろん、Eau-de-vieについて学べば、別の次元まで到達することはできます。しかし正直なところ、ラベルのないシュナップスを飲んでみて、コンクールで審判を務めるプロフェッショナルでも、それが何からできているかを特定するかは、とても難しい。チェリーか洋なしかでさえ、それを判断するのはとても難しい。ラベルがそれを助けてくれるんだ。

    私たちが作るいくつかの蒸留酒はとても複雑だ。ナナカマド(ベリーの一種)のように複雑な香りを持つものの特定は、とても難しいだろうね。

    いちごは特定は簡単だけど、そんなに強い香りではないので、アロマはとてもマイルドなものになる。いくつかの銘柄はエキスパートだけに向けたもの。それらは普段からEau-de-vieを飲み、テイスティングをしていない人にとっては意味のないものなんだ。香りとは奇妙なもので、それぞれのレベルに応じた難しさがある。それはまるでコンピューターゲームのようだ。

    TJ- 何が一番難しいですか?

    ひとつは野生の果物だ。ナナカマドや、野生のプラム、野生のサービスツリー、セイヨウサンシュユのような。またはエルダーベリー、レッドエルダーベリー、ブラックチェリー、レッドチェリー、サンザシ、ホワイトビーンベリーのような。野生の果物は複雑な香りを持っていて、一方、人工的に育てられた果物は単純な香りを持っている。野生の果物は、香りの幅を持っている。なぜなら、例えばゴールデンデリシャスのようなブランドりんごより多くの遺伝的な情報を持っているから。
    人工的な遺伝子的育成というのは種のバラエティを減らし、分裂を防ぐもので、果物の一つの特徴だけを強めていくということなんだ。

    TJ- それでは野生のベリーはどのようにその"野生"を保持していくのでしょうか? なぜなら彼らは十分な量の実をつけるように育てられるわけですよね?

    いや、それは違う。

    TJ- つまり、本当に野生の環境で育ったものを収穫するってことですか?

    エルダーベリーのようにいくつかは栽培するけれど、ほとんどのベリー類は野生のままだ。栽培することはできないし、意味がない。それをやるにはたくさんの作業があるし、経済的に考えても意味がないんだ。

    TJ- それでは、商業的に必要な量はどうやって手に入れるんですか?

    商業的な量は手に入らないよ。だからいくつかのブランデーは一年に5本しか作れなかったりもする。でもそれが大切なことなんだ。
    ちょうど今、 セイヨウサンシュユが収穫の時期で、従業員たちはバイクに乗って森中を走り、セイヨウサンシュユを探しまわっている。彼らはどこで育つかを知っているんだ。私は地図を作ってどこに何の木があるかをみんなに伝えている。うまくいけば、今週終わりまでに100キロほど収穫できる予定だけど、それで作れるのはたった3リットルのブランデーなんだ。

    TJ-最初の話に戻って、あなたは都市から離れて田舎にやってきたのは、ここにいても文化的な生産活動を続けられると思ったからですよね。
    しかし、この今やっている肉体的な労働は都会と関連しているように見えます。つまり、作るのは田舎だとしても、マーケットはベルリンやハンブルグだということです。

    それはまたユートピア的考えに戻るね。二人で畑を耕し、小さな畑で収穫した作物で、生活を営む。これが成立するのは、ある価格帯で商売ができた時にのみ可能だ。もし、ディスカウントのスーパーマーケットに販売するならそれは不可能。彼らは量を求めるから。
    私は量については真逆の考えを持っている。より小さく、少ない量で、しかしより高価なものを作るようにしなくてはならない。もちろん、このユートピア的なアイデアは、ある特定の人々相手にしかできることではない。
    「もっと少ない量でいいから、いいものを飲みたい」と思う人にのみ成立する。
    だから私の商品を購入する人には、色々なところに住んでいる人がいる。顧客は、熱心なグルメで愛好家で、特別なものを求めているような人、もしくは、同じような感覚を持っているレストランや、料理家なんだ。

    単にこれ以外のやり方ではできないんだ。計算してみると、私たちは時給5ユーロで働いていることになる。これは全て生産したボトルが売れた時の合計金額から計算した金額だ。
    売っている価格はほとんど作っている原価とイコールだ。ボトル一本の価格帯は30ユーロから180ユーロで、価格はほとんどそこにかかっている費用だ。
    収穫までにかかっている時間や、フルーツを探す時間、フルーツを買う価格、それがフルーツの価値になり、他にも使うエネルギーや水、税金などを考えると、定価は、ほとんど瓶の中に使われたお金といってもいい。
    いくつかのボトルには、一本あたり20キログラムもの果物が使われている。

    TJ- あなたはそれを変えたいと思っているんですか?

    うーん、私は今まで言ったことをやりとげたいと思っている。でもまだそこまで到達してない。それはあくまでもプランだ。そうするために、コントロールしているところ。
    もし、今までこのようなものを買ったことのない人がいたら、私はEau-de-vieをあげてもいい、とにかく味わってほしいんだ。
    それがオープン・ディスティラリーを毎月一回(現在は2年に1回)やっている理由だ。そこでは来場者は味わうことができる。
    もちろん、私たちはより民主的で平等な世の中を望んでいるけれど、素直なところ、私たちが作っているのは贅沢品だ。しかし、私は贅沢品が、誰が買うか?どんな人が顧客か? によって決まるわけではない。その製品にどれだけ手をかけているかによって決定するんだ。

    TJ- しかし、ラグジュアリーな世界にいることで、お客さんから遠ざかってしまっているのではないですか? 今はお客さんを知ることができる規模感なのでしょうか?

    私がアートブックの出版を始めた時、最初の2,3年は、いつもこう言っていたんだ。
    「私はお客さんを個人的に全て知っている。誰が自分たちの本を買ったかを。」
    私は出版社が大きくなるまで、かなり長い期間そのことを言っていた。
    Eau-de-vieに関してもきっと同じだと思う。私たちは年間1200~1500本しか作っていないし、それを誰が買ってくれたかは知っている。
    出版社の最初の頃と同じなんだ。

  • 2015.8.6
    Poison Oak

    Poison Oak

    2015.8.6

    Juniper Ridgeとのハイキングの時に、絶対触るなと言われたPoison Oak(ツルウルシ)。
    気をつけていたはずが知らぬ間に触っていたようで、数日後、しっかりかぶれた。
    備忘をかねて別ポストに。

  • 2015.8.5
    Hiking with Juniper Ridge

    Hiking with Juniper Ridge

    2015.8.5

    僕が蒸留に興味を持ったきっかけは二つあって、一つはこれから勉強しに行くStählemühleで、もう一つが、このサンフランシスコ、オークランドのJuniper Ridgeだ。

    Juniper Ridgeはどんなことをしているかというと、カリフォルニアの公立公園などで採取した植物を素材に、主に香りを作っている。 自然とクリエイティビティとを「蒸留」という技術が橋渡ししている。蒸留の誕生は錬金術と結びついていたというのが、こういう例があるとよくわかる。

    さて、Juniper Ridge。今回、代表のホールにコンタクトをとって、ハイクに同行させてもらうことになっていた。 月に一度、主に従業員を対象に行なっているカリフォルニアの国立公園を歩くハイクだ。 今日はMt Tamarpais 国定公園を約3時間かけて歩くという。
    Juniper Ridgeのオフィスのウェアハウスのあるオークランドから車で一時間。ベイエリアから橋を渡り、監獄があることで有名なアルカトラズ島を横目に通り過ぎるころから景色が変わる。

    乾いた空気の中、緩やかに高度を上げながら緑に覆われた山が近づいてくる。 駐車場で先に来ていたチームと合流し、ホールの到着を待つ。彼は今日NYからSFに戻ってきて、その足でハイクに合流するそうだ。 軽く昼食を食べているとホールが到着。世間話の続きのようにハイクがはじまった。
    しかし、ただ歩くわけではない。 彼が最初に指示したのはこんな言葉。

    keep touching , keep picking , keep smelling ,

    とにかく気になった植物があれば手に取り、もぎ取り、匂いをかぐのだ。
    ホールが早速足を止めてみんなの注意を促す。ダグラス・ファー(ベイマツ)の大木に顔を押し当ててにおいをかぐ。青っぽい針葉樹の匂い、としかいいようのがない匂い。
    ところが今度は手のひら同士を合わせ、そこにダグラス・ファーの葉を二十秒ごしごしとこすってから嗅いでみてと言われてやってみる。さっきとは全然違う。葉の青っぽさは後に引込み、複雑な深みのある木の奥にあった香りのようなものが立ち現れた。

    圧巻は、日陰の草むらの斜面に横になって、「草をかきわけ地面に鼻をくっつけ、15分寝転んでいなさい。」という指示。
    両手の親指と人差指をくっつけ三角を作り、地面に載せる。鼻を三角の中心に据える。しばらくは草のにおい、その後徐々に土の匂いがしてくる。土の匂いとは、腐敗した土の匂いだったり、土の中に暮らす微生物の匂いだったり。たぶんそういった匂いが徐々に嗅ぎ分けられてくる。

    傍目からは集団自殺にしか見えなかったと思うが、これはなかなか衝撃的な体験で、その後、ホールがそれぞれの手で作った三角めがけて葉を入れてくれたのだけど、研ぎ澄まされた鼻に飛び込んできた葉の香りは本当に鮮烈な体験だった。

    全く日にあたらない日陰で休憩。岩にはりついた苔に鼻を近づけてみろと言う。まったく日に当たらない場所でカビ臭いかと思ったら、そんなこともなくしめった大地の匂い。そこはかとなく土が発酵したようないい匂いがする。

    終わった後はオークランドのウェアハウスに戻って、軽いパーティに。マッドサイエンティストといった風貌の技術担当者、トムが作った新しい香りを試し、各々が感想を言ってみたり、さとうきびで作った度数90%を超えるアルコールをフラスコから直接飲んでみたり、フラスコに満たしたどでかい水タバコを回しのみしてみたり。

    植物へのアプローチの仕方はちょっとわかったけれど、そこからどのようにして木々の香りを取り出すのかは、ちょっとよくわからない。 後日また伺わせてもらうことにした。

July

  • 2015.7.18
    漆の木

    漆の木

    2015.7.18

    久しぶりに輪島を訪れた。

    前回訪れたのは数年前。漆塗師の赤木明登さんの器の蒔絵の図案を妻が描くことになり、作業の間の子守が僕の仕事。蒔絵師の瀧本みえさんの作業場におじゃまし、忙しそう仕事をする皆の周りをうろうろしていただけだったけど、僕だけが漆にかぶれた。

    乾いていない漆は空気を通じても感染するものらしい。手から始まった痒みは顔や脚に広がり、果ては...まで。なんともつらい思いをした。

    そんな経験があったから、今回の能登では出来上がった漆器を見せてもらうくらいで、前日にお邪魔した蒔絵師の瀧本みえさんの作業部屋にも極力入らず、液体の漆にはできるだけ近づかないようにしていた。

    三日間の滞在を終え、帰る間際に赤木さんと世間話をしていると、ふと玄関先にある漆の木が目に入る。
    この時期、木には緑の小さな実がなっている。これを煎ってコーヒーにする人がいるという話を教えてもらい、へえなんていいながら何気なく葉に手を伸ばすと、赤木さんが「あっ!」と叫んだ。

    かぶれるのはうるし樹液だけで、葉っぱを触るくらいでかぶれるはずないと思っていたので、冗談かと思ったらどうやら本気らしい。

    工房の薬品で手を洗ったが、数日後、触った左手の平はすっかりカブレ、現在は足の先にもなぜか飛び火して広がってきた。

    輪島の漆、侮りがたい。

  • 2015.7.10
    Studio Visit: APOTHEKE FRGARANCE

    Studio Visit: APOTHEKE FRGARANCE

    2015.7.10

    そっけないパッケージとは裏腹に、変態的なラインナップの多さ、そして静かながら熱意を感じるblogの文章が気になって、コンタクトを取り、APOTHEKE FRGARANCEのスタジオを訪れた。

    千葉駅からモノレールに乗り替え数駅、シャッターの閉まる店が目立つ商店街。唐突にAPOTHEKE FRGARANCEのスタジオが出現する。
    APOTHEKE FRGARANCEは、2011年にスタートしたルームフレグランスブランド。千葉県千葉市内の自社工房で、商品の調合、生産、パッケージングまでのすべての制作作業を、ハンドメイドでおこなっている。

    元々はクリーニング店の作業所だったというここは、天高がある大きな空間に、仲間たちとリノベーションしたというラフなインテリアがマッチしている。

    ブランド名であるAPOTHEKEはドイツ語で「香料、薬草を調合する所」や「調剤薬局」の意味。その名の通り、棚にガラス瓶が並ぶどこかの実験室のような雰囲気だ。

    元々はアパレルの仕事をしていた代表の彼(理由あって名前は秘密)、海外出張も多くその時に東南アジアやイスラム圏で見た「香料屋」に出会った。そこで漂う香木や沈香や伽羅の独特の香りや、その場で香りを調合してもらい香水瓶に入れて購入する香油のシステムなどが、香りに興味を持ったきっかけだったそうだ。

    その後独学で香りの調合やプロダクトを制作しようと試みる。インターネットでやり方を調べ、香料は海外から購入。
    しかし思ったようなものができない。そこで香料会社に就職し、数年の経験と学習を積み、APOTHEKE FRGARANCEを立ち上げたという。

    アトリエには1000種類を超える香料があり、それらをブレンドして作った約70種の香りを用いた商品を製造してる。キャンドルから始まった商品ラインナップも、今ではルームスプレーやお香など多岐に渡る。
    調香はもちろんだけど、スティックインセンスのスティックへの香りづけも、キャンドル瓶へのろう詰め、そしてポートランドの活版工房で印刷しているという商品ラベルを貼るのも、全てこの場所で行われている。

    「いかに香りを集めてどのように組み合わせるか、本当にこれだけなんです。」と彼は謙遜されていたが、全ての行程を自分たちで行っているブランドは国内では聞いたことはない。
    いつかは作りたいと話してくれた、ゼロから香りをクリエイトしたAPOTHEKE FRGARANCEオリジナルの香水もとても楽しみだ。

    APOTHEKE FRGARANCE
    http://www.apothekefragrance.jp/